スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

東南アジアでの地震と津波(2)

2004-12-30 05:04:16 | コラム

欧米諸国の中でタイへ一番多く旅行するのは、スウェーデン人なのだそうだ。人口の比較的少ないスウェーデン。だから、これはもちろん絶対数ではなく、人口比での話。昨年のタイへの旅行者の数は国民1000人あたりスウェーデンが23.4人と、その後に続くノルウェーとスイスの15.6人を大きく引き離している。絶対数で見ても、昨年はスウェーデンが21万人と多く、イギリス、USA、ドイツ、オーストラリア、フランスに次いで第6位。。(Dagens Nyheter 2004/12/29)

北欧はこの時期、極端に日が短い。さらに、どんよりとした天気が続くスウェーデンの秋にうんざりした人々が、暖かいところを求めて旅行に出るのが、ちょうどこの11月、12月。しかも、12月下旬はちょうどクリスマス休暇と重なる。そのため、地震に伴う津波がタイや周辺の海岸を襲ったとき、少なくとも15000人の旅行客がそこで滞在しており、ちょうど夏休みに次ぐハイ・シーズンだったようだ。

行方不明者の数は増えるばかりだ。スウェーデン外務省は約1500人行方不明だと発表しているが、メディアなどの独自の調査によると実際は3000~4000人に昇るとされる。ノルウェー外務省は446人、それまでの発表から半減した。フィンランド人は240人。デンマークは19人。(DN 2004/12/30) おそらく、旅行者の絶対数と比例しているのだろう。

政府やスカンジナヴィア航空は緊急の航空機を手配して、負傷者の輸送を行っているが、普段は300人以上乗れる旅客機も、座席の多くをはずして、3段式の担架に付け替えると、結局1機あたり担架24~36人分と座席20人分にしかならないのだそうだ。

寄付金は赤十字社やテレビ局を中心にたくさん集まっているのだという。スウェーデンの新年は、個人それぞれが花火を買って、カウントダウンの直後に打ち上げる。小型の花火でも100kr(1500円)以上、大型の連発花火になると1000kr(15000円)以上になるという。そんなことに大金をはたくようなら、困っている人々に募金をしようじゃないか、という声があちこちで聞かれるようになったのは、僕も嬉しいかぎりだ。

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