スウェーデンの今
スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員
 



暫定税がついに期限切れを迎え、ガソリン・軽油の価格が大幅に値下げされることになった。

この動きは、環境対策や温暖化対策のためにガソリンに対する課税をさらに強めていこうとするヨーロッパやスウェーデンの視点からすると、理解の域を超えたもので、全く論外だと思う。スウェーデン人の友人や研究者仲間に早速メールで伝えておいた。


日本の報道を追っていても、地方の財源不足を懸念する与党に対して、何が何でも暫定税の廃止を訴え、譲ろうとしない民主党の強硬な姿勢ばかりが伝えられ、では民主党は与党が懸念する問題に対してどう対処するつもりなのか、さらには、揮発油にかかる課税、地方の財政、道路建設などに対して、いかなる大きなビジョンを持ち合わせているのかが、一向に見えてこなかった。一種の「ポピュリズム」ではないかと思う。

道路建設や公共事業が無駄という主張は分かるが、その主張だけにとどまらず、では暫定税の廃止によって打撃を受ける地方の財政をどう維持していくのか、それを含めた大きな視点が欠けていたと思う。

報道も、この部分を民主党にもっと追及してほしかった。

この暫定税廃止によって、化石燃料の消費量が拡大し、二酸化炭素の排出量がさらに増えることを危惧するような声は無論、ほとんど聞かれなかった。ましてや「環境税」の議論なんて…。(与党の誰かがインタビューに対して「環境対策」という言葉をちょこっとだけ使っていたように思う)

以前もふれたように、「環境税」 (1)環境対策に使途を特定した財源としての意義と、(2)使途が何かはもはや重要ではなく、むしろ環境税課税によって環境に望ましくない商品・サービスの価格を意図的に高くすることでその消費量を抑える、という需要抑制の意義がある。(2)の場合は、税収確保のためというより、「税収がむしろ上がらないほうが望ましい税」と位置づけになる。

スウェーデンにおける「二酸化炭素税」の導入根拠は(2)のほうであり、使用目的は特定されていない一般税扱いである。

(1)、(2)のいずれの捉え方をするにしろ、これまで道路の建設・メンテナンスに使われていたガソリン税(揮発油税)をそれ以外の使途に使えるようにする、という意味で、3月末に土壇場になって福田首相の出した「一般税化する」という案は、環境税や二酸化炭素税の導入に向けた第一歩かな、という気もした。しかし、民主党は取り合う気なし。(ただし、この案は自民党内でもしっかり練られたものではなく、道路系の議員が強く反発していたようだ)


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