スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

私のサイクリング日記

2005-06-14 05:31:28 | コラム
大きな湖、Vättern湖の周り300kmを一周する自転車の大会Vätternrundan(ヴェッテルンルンダン)まであと一週間を切ったものの、トレーニングのほうがあまりうまくいっていない。

ヨンショーピン周辺の練習コースは以下の通り。
Jönköping – Gränna
Jönköping – Aneby
Jönköping – Hjo – Karlsborg
Jönköping – Habo – Mullsjö
Jönköping – Skövde
Jönköping – Vaggeryd



このうちKarlsborgまでの往復は2年前に一度試したことがあるが、これはかなりきつい。

スウェーデンをサイクリングの絶好の場として日本に紹介してはどうかと思うことがある。なぜ絶好かというと、まず大きな山がほとんど無いこと。坂道もそれほど多くないし、従ってトンネルもほとんど無い(この点は隣国ノルウェーとは大違い)。それから、交通量が日本に比べたら格段に少なく、自転車で走りやすい。さらに、多くの国道には路肩にわりと広めのスペースがとられている。道端にはそれほどゴミが散乱していない(定期的な清掃車のおかげか?)。一般国道の制限速度というのはなんと時速90kmだが、私の父に言わせれば、スウェーデンのドライバーはサイクリストを見つけると減速し、親切に大きく迂回してくれるがとても印象的なのだそうだ。

問題は大きなトレーラー。2両編成になっているやつで、後ろから轟音とともに近づいてくるときは、普通のトラックか長いトレーラーか分からない。通り過ぎる瞬間に強い横風によって外側に押されるので、バランスを崩さないようにしっかりと自転車を支える。で、やっと通り過ぎたと思っても、2両目がさらに通過する。で、2両目も通過した後は、今度は風が進行方向に流れて内側に思いっきり吸い込まれるので、今度は反対側に力を入れて自転車を支える。こんな駆け引きは今でも気が抜けない。

今日日曜日もやっぱり朝から雨が続くものの、この日を逃したらもう練習する日がなくなってしまう。この日はまだ試したことがない、南方面、つまりヨンショーピンからヴァッゲリュード(Vaggeryd)を制覇してみることにする。武器は詳細な自動車道路地図。これで、どのルートにするか決めるのだ。高速道路や国道のほかに小さな道がたくさんあり、ここを走れば、のどかな農村地帯を心地よく駆け抜けることができる。ただ、入り組んでおり、標識を見逃して道に迷う危険性も高くなる。

この日は出だしから雨がパラついていたが、途中から土砂降りになる。でも、幸い、スポーツ用品店で勧められて買った上着を着ていると、いくら表面はびしょ濡れになっても内側までしみることはない。そして、雨が上がって乾いた風が1時間も吹きつければ、瞬く間に乾いてしまうという優れもの。Högförsというスウェーデンのメーカーだ。

スウェーデンにはテントや寝袋などのキャンピング用品や登山用品を昔から作っている企業がいくつかあり、機能的でその質が高いことは世界的にも知られているようだ。自然の中でのアクティビティに大きな関心があり、国内での需要が相対的に高いためか、国防軍ご用達の軍事産業として国に保護されてきたためか、原因は定かではない。

Vaggerydからの帰路は、高速道路と並行する国道を走る。この道は高速道路ができる前はおそらく幹線道路だったのだろうけれど、今では3分に1台ぐらいしか車に出会わない。それでも、旧幹線道路だけあって幅広くてとても走りやすいのだ。近い将来、自分で「スウェーデン自転車道路マップ」なるものを発行するとすれば、“5つ星”をつけたいほどの絶好のサイクリング・ロードだ。

以前にカールスタード(Karlstad)の北で走った道は、廃線になった鉄道を自転車専用道路に改装した道だったけれど、それまでは電車が走っていた道とあって、かつてのローマの街道を思わせるような一直線で起伏の無い道が30kmも続いていた。これはとてもいい有効利用だと思った。

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大会は今週の金曜日から土曜日にかけて。大会を間近に控えた今では、平日でも仕事が終わった後から、外が暗くなる22時ごろまでサイクリングをしている人を見かける。