スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

スウェーデン料理と新しい変化

2005-06-09 18:56:55 | コラム
デザインのためにスウェーデンに来る人はあっても、グルメのためにスウェーデンに来る人はあまりいないだろう。肉料理だけでなくて、サーモンなどの魚料理が食べられるのはよいとしても、それから、発酵した魚の缶詰Surströmmingが食べられるのはよいとしても、全般としてはあまりバラエティーにほとんど富んでいないし、味付けも塩味ばかりで、コクがない!

ミートボールköttbullarなどはおいしいけれど、日本人にとっては別に珍しいものではないと思う。(珍しいと言えば、こちらではミートボールに甘酸っぱいジャムを添えて食べるのだ!)ウプサラに住むある日本人夫婦が行っていたのだが、スウェーデンに来る前に東京・六本木のスウェーデン料理のレストランで食べた、オードブルのほうが、本場で食べたスウェーデン料理よりもおいしかったって話していた。六本木のレストランでは日本人向けの味付けをしているということだろう。

ちなみに、日本で「オードブル」とか「バイキング」というけれど、これは英語じゃない。英語ではbuffet-styleという。じゃあ、スウェーデン語かというとそうでもない。スウェーデン語では「Smörgåsbord」。smörgåsというのは、バターをつけたパンのこと。bordは机(食卓)。つまり、長机の端にパンとバターが置いてあり、その後に、サラダや肉料理、魚料理、デザートが様々な皿に並べてあり、それを自分の取り皿に順々にとっていき、自分の席でパンをつまみながら食べるというスタイル。典型的なスウェーデン料理のようだ。時はさかのぼってバイキングの時代にも、祝い事をするとき(例えば、他の国を荒らしまわって勝ったとき?)に人々がいろいろな料理を持ち寄って(一説には、征服した土地の名物を持ち寄らせて)、それを各自が少しずつとって食べた、というから、その辺りの連想から日本人が「バイキング」スタイルと名づけたのだろうか? それとも、もう単純に「スウェーデン」=「バイキング」という連想だろうか?

英語の辞書を見てみたら、smorgasbordという言葉は英語にもなっていた。さらには、日本語の国語辞典にも「スモーガスボード」という項目を見つけて驚いた。ちなみに、スウェーデン語の発音は“スメゥルゴスボード”に近い。(多分これ、カタカナをそのまま読んだら南スウェーデンの方言に聞こえると思いますが)


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そんな“味気のない”スウェーデンの食文化も70年、80年ごろから、スウェーデンに移り住んできた移民によって変わってきたようだ。イタリア料理、ギリシャ料理、トルコ料理の食文化が入ってきたり、今ではどこの街角にもピザ屋・ケバブ屋があって、スウェーデンではファースト・フードになっていたりする。(ケバブはトルコ系(?)の羊肉料理。でも、ここでは安い豚肉を使っているようだ。)

最近では、アジア系のレストランもある。寿司を代表とする日本料理も少し入ってきていて、テイクアウトの寿司パックとか寿司ランチ見たいのもあるけれど、日本人の本職さんが営む日本料理店を除いては、日本料理とは名ばかりで、アジアの他の料理をごちゃ混ぜにした“アジア風料理”店だったりする。

そんな中、先週、レバノン料理を食べた。続きは明日。