写真はクリックするとたいていは違う写真になりますがクリックしても変化しない写真も数枚あります。
まずは押上。クリック後の写真は踏み切りを挟んで曳船川通り側にある入り口。
半蔵門線と一緒になる前は道路の向い側、東武の操車場側にあったのだ。今入り口があるこのあたりには古い祠があり、野良猫のたまり場所になっていたのだが…
押上の商店街の通りを八広へ向かって行く。明治通りを横切ってしばらく行った辺りにある変な銅像というかオブジェ。説明の看板も見当たらないので以前から不思議に思っていた。
鐘ヶ淵通りを横切るとまもなく八広の駅だ。昔は木根川橋のたもと近くの土手上に鄙びた駅舎があったはずだが…
そうだ思い出した!確かに今の鉄橋よりもう少し下流にあったのだ。古い鉄橋は土手上の道すれすれで大人が首をかがめて通らなければならないような高さだったのだ。数年前鉄橋を架け替え、荒川の前後はかなり高架になっている。
八広駅から荒川の土手下へ抜ける道で「ナー」と鳴きながらオイラに擦り寄ってきた猫。「よしよし 人懐っこいやつめ」と頭を撫でてやる。次に体を撫でてやったのだが驚くほど痩せてガリガリなのでビックリした。
オイラがエサを持っていないとわかると諦めたように離れて行ったが遠くへは行かず道路をフラフラうろついている。小学生の男の子二人が自転車で通りかかったが自転車を避けようともしない。
男の子達は猫を見て「ずいぶん痩せてるなあ。何か買ってきて食べさせてやりたいよなあ」と話ながら通り過ぎていった。猫は近くの美容院の店先にうずくまっている。
あれじゃ飢え死に寸前だ。なんだか胸がつまるような思いがして『カリカリでも買って来てやろう。でもそれまでここにいるかな?』と思いながらも急いで商店街のほうへ引き返したがなんだか袋小路が多くてかなり遠回りし、やっと賑やかな通りにでた。
コンビニがあった。最近のコンビニは大抵ペットフードをおいているのだ。しかしこのF.マートにはなかった。「ペットフードくらい置いとけよと」舌打ちしたい思いで店を出る。
あたりを見回すが他にコンビニなどはない。感に頼り少し歩いた所にドラッグストアがあった。ここならあるだろうと店内に入ると意外に広い。探す時間が惜しいので店員にキャットフード売り場を訊いて手ごろな乾燥フードを買った。
雨がぽつぽつ降り始めていた。また回り道しながら猫がうずくまっていた美容院までもどって来たがやぱり猫はいなくなっていた。あきらめきれず近辺を行ったり来たりして雨がしのげるような場所を探したが見つからない。
雨はだんだん本降りになってきた。縁の下とか奥まった所へ雨を避けて逃げ込んでしまったのなら探すのは無理だろう。せっかく腹いっぱい食べさせてやろうと思ったのに、縁がなかったんだな。と諦めて木根側橋を渡る。雷鳴がすごい。
四つ木駅。ここは昔、平和橋の自動車学校に行ってた時たまに利用したことがある。
立石の駅前の商店街に自転車を停めたとたんすごい土砂降りになった。運が良かった。アーケードのある商店街なので雨宿りできる。
商店街で腹ごしらえをした後、商店街と平行してある飲み屋の多い旧商店街(クリック後の写真、こちらもアーケードがあるのだ)などで暇をつぶしたり駅の屋根つきの陸橋の上から携帯で電車の写真を撮ったりして1時間以上暇をつぶしたが雨足は一向に弱まらない。
ふとカメラを見るとスイッチをオフにしているのに電源が入った状態になって表示パネルが作動している。何度かスイッチのオン、オフを繰り返したが直らない。商店街の入り口とか陸橋で写真を撮っている時かなりカメラに雨の飛沫がかかっていたからそのせいかもしれない。
気がついたときはすぐ拭き取るようにはしていたのだが…悔やまれる。遅ればせながら用意してきたスーパーの小さめの袋をカメラにかぶせる。『まさかこのまま壊れるってことはないよな。乾いて水分がとべば直るよな?』と少し心配になる。
自転車に鍵を厳重にかけてここに置いて電車で帰ろうかとも思った(四つ木、八広、曳船、押上)と10分くらいなのだ。『いけね。曳船駅の写真撮るの忘れた』しかし、気持ち小降りになってきたようなので思い切って自転車で帰ることにする。
同じ道を引き返しまた木根川橋を渡る。もしやと思いあの猫のいた路地をまた通ってみるがいない。ピンとくるものがあって線路の高架下の八広駅の自転車置き場に行ってみたら…居た…
自転車の陰にうずくまっている。声をかけたら寄ってきたので急いでカリカリの袋を破るのももどかしく食べさせてやる。入れ物がないのでアスファルトに直に置いた。
さっそく食べ始めたがいくらも食べないうちにエサから離れ、雨水の流れ込んだ水溜りで水を舐めている。何故だ?痩せているのはエサに不自由しているからではなくて病気か何かなのか?
こちらを見上げてきたので今度は太いコンクリートの柱の根元に少し置いてやる。ここなら自転車のタイヤに踏まれる事もないだろうから後で又腹が空いたら食えるだろうと思ったのだ。
今度も少し食べただけでエサから離れてしまい近くをうろついている。何故だろうと思っているところへ駅に向かうらしいオイラと同年輩の奥さんらしきが声をかけてきた。
てっきり猫にエサをやっている事に文句を言うのかと思っていたが表情は穏やかだ。「エサをやってるんですか?」というので「ええ、でもあまり食べないんですよ」と答えた。
それをきっかけに、最初すりすりしてきた時に痩せてガリガリなのでビックリした事、可哀想に思ってエサを買ってきてやった事などを話した。すると意外にもその奥さんは「この猫は缶詰しか食べないんですよ」と言った。
この近所のひと数人で面倒を見ているのだとか。エサが食べられなくなってガリガリになったので一緒に面倒を見ている仲間の人が病院に通わせているのでもうじき普通に食べるようになるはずだと教えてくれた。
オイラが「ちゃんと面倒を見てもらっているのなら安心です。良かった」というと「エサをやってくれてありがとうございました」と自分の猫のようにお礼を言って改札の方へ立ち去った。いやいや良かった良かった。心温まる気がした。
ふと気がつくと少し離れたコンクリートの柱の陰にさっきの小学生二人組みのうちの一人の男の子がアンパンのような物を手に持っている。そういえば先ほどからなにやらウロウロしていたのを目の端で見ていた記憶がある。
ま、ニャン吉よ。こんなにみんなで面倒見てもらえる野良はちょっといないぜ。おみゃーは幸せモンだ。早くモリモリ食べられるようになれよな。