自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

子供の臓器移植ーーその問題点

2011年04月14日 | Weblog

 僕は50代でドナーカードを持ったが(これでも当時としては早い方だった)、歳をとるにつれて僕の臓器は使いものにならなくなるだろう。
 昨年7月の改正臓器移植法に基づいて初めて、脳死と判定された15歳未満の子どもから臓器提供を受けた移植手術が行われた。
 臓器提供者になったのは10代前半の男の子で、事故で重いけがをした。心臓が10代の男性に移植されたのをはじめ、肺や肝臓、腎臓なども各地の患者に移植される。
 臓器提供する家族は常に厳しい決断を迫られるが、子供の突然の死に直面した両親にとってはとりわけ、つらい決断だったに違いない。その重い決断を尊重し、臓器移植を定着させていくためには、課題はなお多い。
 大切なことは、臓器提供までの経過をわかりやすく説明する透明性だ。子供の場合はとくに、虐待ではないことの確認もいる。かつて高知大学付属病院で行われた移植医療では(ドナーが大人であったが)、その過程で無呼吸テストと脳波の判定の順序を間違えるという重大な問題が生じ、報道され、その報道結果がその後の移植医療に活かされた。
 改正臓器移植法は、本人が拒絶していない限り、提供の意思が不明でも家族が同意すれば、脳死判定後に臓器の提供ができるようになった。旧法では15歳未満の子どもからの提供はできなかった。それだけに、本人が拒絶していないことの確認や、家族が臓器提供について十分な情報を与えられた上で、自由な意思で判断したことの保証が重要だ。こうした過程を可能な限り明らかにする必要がある。
 今回、家族もできるだけの公開を考えたという。だが日本臓器移植ネットワークは、家族のプライバシーを理由に、少年の脳死判定をした病院がどこにあるか、また、同意を得るまでの時間的な経過や病院内の倫理委員会の審議など、詳しい過程を明らかにしなかった。
 プライバシーの遵守に配慮しつつ、臓器提供に至るまでの経過を明らかにすることはできるはずだ。家族の葛藤もふくめて伝えてこそ、移植への理解が広まるのではないか。
 もう一つの問題点。脳死からの臓器提供は、子供の場合は大人より難しい。脳死判定もそうだし、臓器提供に対応できる医療機関も限られる。技術的な態勢の整備はもちろん、信頼されるシステム作りが欠かせない。