穀雨。百穀を生ずる雨の意。
四月になると、農作業は忙しくなる。良い雨が田畑を潤おし、花を濡らす。
この時期の雨は茶の生育にも大切である。江南の茶どころでは、清明の頃に早くも一番茶を摘む。穀雨までの茶を「雨前茶」と言って珍重する。摘んだ茶の葉を臼で轢くと真っ青な粉末(抹茶)ができる。
雨は山の薬草を肥えさせる。明へ渡った僧絶海は、洪武帝の命を受け、徐福の伝説を詠った。徐福は秦の始皇帝の圧制を避けて、日本の熊野へ来たのだと。
「熊野峰前 徐福の祠 満山の薬草 雨余に肥ゆ」(絶海)
穀雨とはよく言ったもので、山の幸、畑の幸を食すると、体内が清らかになるような気がする。
適度な穀雨で被災地が潤うことを願う。