自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

「レベル7」の重み

2011年04月13日 | Weblog

(原発にはどうしても関心があるので、朝刊より)
 あってはならぬことで、世界トップになってしまった。
 福島第一原発事故の評価が、1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故と並ぶ最悪の「レベル7」(深刻な事故)に引き上げられた。
 大気に出た放射性物質の総量を見積もった結果だ。事故の巨大さを深く心に刻まなくてはならない。
 「レベル7」を、原発周辺に住む人々の避難、長期の健康管理や地域の復興計画、国のエネルギー政策など、さまざまな施策を考える出発点としなければならない。
 半減期の長い放射性物質も多く出たのだから、住民の健康診断を長く続ける必要がある。農林水産業の再生には、残留放射能を把握したうえでの対策が求められる。そして、原発依存社会を見直す動きも強まるはずだ。
 放出量はチェルノブイリ事故の1割前後だという。だがそれよりも深刻な一面もある。複数の炉が一斉に機能不全となり、1ヶ月たっても安定しない。いつどのように事態が収まるかの出口も見えない。私たちの前には、巨大な敵がまだ居座っている。いま最も力を注ぐべきは、事故をこれ以上、大きくしないことだ。
 11日夕の余震では、福島第一1~3号機の炉への注水が約50分間、外部電源が絶たれたことで止まった。電源が復旧してことなきを得たそうだが、事故炉を冷やす必須の作業が、綱渡りの状態にあることがわかる。
 注水は、最悪の事態を防ぐ生命線だ。いかに余震があったとはいえ「電源喪失」を二度と繰り返してはならない。一つの電源がだめになっても、作業員を危険にさらさず、自動的に別の電源に切り替える仕組みを工夫してほしい。
 「レベル7」を重く受け止める。
 大切なことは、放射性物質の放出の規模が最大の「7」級だということを踏まえて、観測態勢を強め、それに沿って機敏な対策をとることだ。政府は円形状に避難域を定めていたのを改めた。だが新しい地域設定も、不変のものととらえるべきではない。
 「レベル7」で、原発周辺の人々が負わされる重荷の大きさがはっきりした。それを、どれだけ国民全体で分かち合うことができるかが、いま問われている。なぜなら日本は世界に向けて一つだから。