僕ら庶民にとっての庶民の味の一つが鯵である。鯵は春から秋が旬。身の両側に「ぜいご」と呼ばれる固いウロコがあるので、これを取り除けば、如何様にも料理できる。
鯵は普通は「真アジ」を指すが、その種類は多く、ムロアジ、シマアジなど、日本近海に約50種類が棲息しているそうだ。
良質のタンパク質が豊富に含まれており、ビタミンB群やミネラルも富んでいる。脂肪にはDHA(ドコサヘキサエン酸)、FPA(エイコサペンタエン酸)などの不飽和酸が多く、血液をサラサラにして血中の中性脂肪やコレステロールを下げてくれる。加えて、動脈硬化や心臓病、高血圧など生活習慣病の予防も期待できる。
僕が一番好きなのは、一夜干しの「ヒラキ」なのだが、これは僕んちの土地柄なかなか入手できない。鯵の「タタキ」も旨いが、これも同様なかなか手が届かない。小鯵の南蛮漬けは骨ごと食べられカルシュームも摂れるので便利な食品だが、これは僕はあまり好きではない。仕方がないので、何夜干しか分からない、もしかしたら人為的に干した「ヒラキ」を食することが多い。
回転寿司で出てくる寿司ネタの鯵は外国産だろう。それでも、僕は鮪などより鯵をすばやく取る。庶民の味、鯵ではあるが、新鮮な近海の鯵は庶民にとっては高嶺の花になってしまった。極めて残念なことではある。
今年の春は三陸の漁港に鰺も他の魚もあがらないかもしれない。地元の漁師の方々の悔しさが察せられる。一日も早い出漁を願う。