八咫烏神社 ときどき社務の備忘録

旧大和國宇陀郡伊那佐村鎮座・八咫烏神社から発信。
のんびり更新です。最新情報はSNSをご覧ください。

朝顔が教えてくれた。

2012年05月29日 | つれづれ
エコを気取りつもりはありませんが
グリーンカーテンに挑戦してみました。



簡単なキットを購入して取り付けたので
意外と簡単にできました。
朝顔もホームセンターで購入したものです。

何てことない風景ですが
朝顔もこういうふうに体裁を整えてあげると
「よしよし、丈夫に育てよ、元気に育てよ」
と、何やら愛おしさの様な感情が生まれて来ます。
「育てている」という自負(自覚)が
僕の中に「いつくしみ」という感情を芽吹かせたのでしょうか。

案外、そういうものなのかもしれません。

金魚にも犬にも我が子にも
あるいは神さまにさえも
そういう感情は、
自らの行動をきっかけに生まれてくるのかもしません。


「神は人の敬いによって威を増す」(御成敗式目)

神主ならずとも
一度は耳にする有名なこの言葉。

日常の何気ないことのなかにも
気づくべき真実はあるのだなあ。



金環日食、あるいは平成24年旧暦4月朔日。

2012年05月21日 | つれづれ
かねてからテレビや新聞などで報道されていましたように
今朝は金冠日食の日でした。

そういう世間のトレンドに疎い僕は
そのことをすっかり忘れていましたが
日供の際にそれを思い出して、びっくりしました。

先日の週間天気予報で
「今日は曇り」との予報だったで
ほとんどあきらめていたのですが
どうしてどうして、今朝は快晴。

快晴ながらも金環日食の影響?か
陽の光がちょっとぼやけた感じでした。

それにしても、このタイミング。
旧暦四月の朔日(一日)新月のときに金環日食とは。
なんだかいろいろと想像力をかきたてられます。

また、偶然とはいえ
この瞬間に大祓を奏上できたことは
感慨深いものがありました。

日供をおわり、自宅に戻るとき
境内から仰ぎ見ると
我がうるわしの伊那佐山のちょうど上あたりに
お日様がおられました。



これもまた感慨深いものがありました。

専用ゴーグルがなかったから
肉眼で確認はあきらめかけていたけれど
たまたま雲がお日様を隠して
ほんの一瞬、金の環のかかったお日様を拝めました。

有り難し。



ウル庚申

2012年05月02日 | ブログ
4月29日は「昭和の日」でした。

この日、
神社では特にお祭りはありませんでしたが
我がムラ(高塚地区)では、
今のこの時期、特有の行事がありました。

それが「ウル庚申」です。

いわゆる庚申の行事は日本中、
津々浦々で行われています。

この庚申の行事の中でも
「ウル庚申」は、
閏年だけに行われるという行事で
地域によって伝承が微妙に異なっているようです。

…ということは
「閏庚申」と書くのが正しいのかもしれませんが
地域の伝統行事なので、ここではちょっとぼかして
「ウル庚申」と表記することにします。

以下、不勉強でいろいろとわからないことや
知らないことも多々あるのですが
備忘録的にちょっと紹介させていただきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この日、午前中は庚申塚の草刈りと清掃でした。

我がムラで庚申さんが祀られているのは
高塚地区の「七塚」のひとつ、「犬塚」です。

昔から七つある塚の内、この犬塚だけが
西国三十三ヵ所詣での石碑や
大峰山の先達の名を残す石碑などが残され、
大切にされてきたことが偲ばれる塚なのです。

それは、
どうやら五穀豊穣と関係があるらしいのですが
資料に乏しく残念ながら詳しい事はよくわかりませんでした。

ここ高塚地区における「ウル庚申」は
3年・4年・3年・4年…
というサイクルで行われているそうです。

さてさて、
昼からいよいよ「ウル庚申」の行事です。
普段の庚申さんは、
夜間に女性が中心になって行われることが多いのですが
「ウル庚申」では、出席するのは男性のみです。
(ただし、当番の家は給仕の関係で女性も加わります)



まず、庚申さんの掛軸にむかい、皆で般若心経を3回あげます。

その後、祝宴。わいわいいいながら飲んで食べます。
そして宴たけなわとなった時期を見計らって次の行事に移ります。

檜の細長い枝を切って表面を削ってつくったもの。

よく見ると先端には葉っぱがつけられたままです。
物の本によるとこれを「イキトウバ」というのだとか。



この枝に昔からこのムラで代々伝承されてきた文字を
各戸の男衆が数文字ずつ分担して書き入れていきます。

飲み食いした勢いで、
やはりわいわいいいながら文字を書き入れていきます。

全ての文字が書き終わったら再び般若心経を3回あげ、
その後、皆で庚申塚(犬塚)へ。



竹でつくった御供台や御供え、
竹でつくった花瓶とお花、
そしてイキトウバを立てて、
ここでまた、般若心経を3回あげます。



これで「ウル庚申」の行事は滞りなく修了。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

行事から数日たった今、
少しずつ奈良県内の「ウル庚申」について紐解いてみました。
だいたい同じだけどちょっとずつ違うムラの行事。

興味はつきませんねー。