八咫烏神社 ときどき社務の備忘録

旧大和國宇陀郡伊那佐村鎮座・八咫烏神社から発信。
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お宮はつづく。いつも何度でも。

2008年12月01日 | お祭り
この間の休日、となりムラの垣内で、
(垣内=かいと:村の区画を小分けにした小集落)
まつられているあるお宮さんの御祈祷がありました。
今秋の例祭の時に、
立ち枯れてしまった松の木を切るお祓いをしたのですが
あとでお社の屋根が傷んでいるのをムラの人が発見されて、
後日、板金作業の前に御祈祷(奉告祭)ということになった次第です。

そのお宮は垣内から山の中を
さらに10分ほど登った峯の頂にあります。
少し息が切れますが、
下駄はこういう道にこそ、その機能をいかんなく発揮するものです。
お宮では、すでにムラの係の人たちが準備をしておられました。

御祈祷のあとで少しムラの皆さんと話をしました。
実は昔このお社は、ずいぶん長い間放置されていたそうです。
しかし30年前に「このままではいかん」とムラの人たちが奮起して
元は石塔だけだったこのお社に現在の屋根が設けられたそうです。
その後、他の垣内の小祠と観音堂も両脇に移築されてきたのだとか。
その当時は、お祭り自体も奉納相撲などがあって賑わったようですが
近年は、やはり過疎化の影響などもあって静かな
(でも和気あいあいとした)お祭りへとかわったといいます。

ふと、ムラのひとが
「これからのお宮さんは、どうなんのやろなあ」とポツリ一言。
どのムラでもお宮の維持にまつわる悩みや不安は一緒なのかもしれません。
そういう不安は我がお宮にも無いとはいいきれませんし、
危機感をもつことは大事なことです。

しかし「そう悲観的になることもない」と僕は思っています。
日本人が日本人らしく生きていくことを求め続ける限り
お宮はたとえいつか廃れたとしても何時でも蘇れるのだ、と
過去の歴史はいつも教えてくれているのですから。

(写真は一昨年秋撮影。境内地より鳥居を見下ろしています)