八咫烏神社 ときどき社務の備忘録

旧大和國宇陀郡伊那佐村鎮座・八咫烏神社から発信。
のんびり更新です。最新情報はSNSをご覧ください。

頭屋渡しの行事

2011年10月12日 | 奉務メモ
我がお宮は三ヵ大字(高塚・池上・比布)の氏神さまです。
ですので、頭屋(当屋)渡しの行事は
それぞれの大字で行われているようです。

頭屋さんはどの地域でも
だいたい「くじ引き」で二人選出されている
とのことです。

「本頭屋・副頭屋」とか
「雄頭屋(オトヤ)・雌頭屋(メトヤ)」とか
その呼び名もいろいろです。

本頭屋あるいは雄頭屋になった家では
小さいお宮や御幣などを預かり
一年間自宅の床の間などで奉仕なさいます。

さて、我がお宮の宮本である高塚地区でも
もちろん頭屋さんがいます。

我がムラの頭屋さんには
我がお宮の由緒正しき扁額と
合祀された高塚六柱神社の扁額を
御分霊として一年間祀っていただいています。

今年は頭屋さんの家で不幸があったために
これは恐れ多いということで
急きょ自治会長さんの家に移っていただく事になりました。

そこで最近、
臨時に頭屋渡しが行われました。

時間は夜も更けた午後六時半。

まず御分霊としての扁額を拝殿にて捧げ
各家の男衆が寄り合い拝礼をすることで
一度、頭屋としての役割をリセットするものとしました。

その後、御渡り開始です。

そして、棒に吊るした太鼓を前後に持ち
その太鼓を打ち鳴らしつつ
「センダリャク、マンダリャク」
と男衆一同は掛け声をしながら行列。
このようにして
御分霊は臨時の御渡り先へと渡って行きました。

いわゆる「一社の故実」から
我がお宮の神主の場合、
こういう場面に遭遇するのは実は珍しいこと。

氏子さんたちならではの神祭りは
神職でも知らない事が実際まだまだ多いのです。

地域の大切な行事ですから
無理にその内容について聞き出すことは避けたい、
と個人的には思っています。

でも、なるべく知っておきたいなあ。

今回はその一端を垣間見た出来事でした。