原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

世は、おんなの時代へ

2011年11月25日 09時08分07秒 | 社会・文化

 たまに深酒をすると、復活に時間がかかるようになった。迎え酒などしようものなら、二日酔いがさらに日を重ねる始末だ。鍛錬不足なのか体力不足なのか。明らかに後者である。朦朧と酔い続ける脳細胞が、このところ盛んにある風景を映し出す。東南アジアの風景である。東南アジアの国々を巡り歩いた時代があった。特にインドシナ地域は思い出が深い。脳細胞が旅を呼び起こすのだろう。このエリアにはたくさんの山岳民族がいる。タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジアなど数国があり、彼らはその国境を越えて生活している。彼らの生活がその原風景とともに思い出される。

少数山岳民族と呼ばれる彼らは、自分たちが所属する民族のアイデンティティーをかたくなに守る。それが服装の色や模様などの違いとなる。一目で他の民族と区別できるのはそのためだ。もっとも同じ部族(ミャオ、アカ、黒モンなど)中国国内の少数民族は同化政策で漢民族化しているからここはちょっと事情が違うかもしれない。だが東南アジアの彼らはそうではない。言葉も習慣も昔のままを堅持している。

現在はどこのエリアも観光開発が進み、かなりの僻地まで観光客が訪れる。当然、少数民族が生活するエリアもその範疇にはいる。そうした地域に必ず登場するのが、お土産売りの子どもたち。昔のブログでベトナムの黒モン族の少女の話をしたが、彼女たちのような物売り少女はミャンマーでもインドネシアでもカンボジアでも同様に存在する。しかも中心となって活動しているのが小学6年生くらいの少女。これも見事に同じだ。

生活の知恵なのであろう。実に巧みな英語を使う。時には「お兄さん!」と日本語でも声をかける。そして実にたくましくお土産を押し付ける。その積極性と執拗さに負けてしまって、ついに買わされてしまう。東南アジアではその連続であった。

ところが、なぜか物売りの少年の姿がめだたない(いることはいるが)。しかも彼らは物売りとしてあまり商売気がない。積極性をあまり感じない。自然に彼らからものを買うことはなかった。

この違いは、何なのだろうか?東南アジアの女性の強さはどこからきているのだろうか。考えてみれば、少女だけでなく、大人も女性が圧倒的に活発なのが東南アジアだ。ベトナムの市場で大声で客に呼び掛けるおばさんやミャンマーのレストランのおばさんなど実に印象的であった。精力的であった。なんとなく男たちの存在感が薄い。

ベトナム女性と結婚して現地で暮らす友人が、ポツリと漏らした。「ここは女性が強くて、大変だよ。ベトナムの女と結婚したら辛いよ」

ベトナム女性は美人が多いことで知られているが、内実はこういうことらしい。畑仕事をする黒モン族もアカ族も大半は女性。働き者でもある。まさに社会生活の中心に女性たちがいる。男の影が薄い。

徒然なるがままに思いめぐらしていくと日本にたどりつく。教科書をつくる会社の友人の言葉を思い出した。「最近の高校の女生徒は成績がいいよ。それに比べると男子はなあ」。大学で講師をするある人は「うちのゼミは断然女性がリードしているよ」。

私の頭の中で東南アジアと日本が直結した。日本は昔から男性優位の国で男尊女卑の遅れた国だと、昔のウーマンリブ(今はジェンダーフリーか男女共同参画社会)の連中がわめきたてていた。が、日本はもうとっくにそんな時代は消え去りつつある。家庭の内はずっと昔から主婦主導であった。最近、仕事でも女性の進出が目立つ。私の数少ない経験でも、優秀な女性が多かった。特に若い男子にはずいぶん裏切られた。いつのまにか日本は変わった。そう考えると、すっきりする。

ところがである。就職難の現代、女子学生(大学生と言う意味)の就職は男子以上に厳しいらしい。就職試験などの成績は女子学生の方が断然いいというのにである。どうやら企業の男どもはまだ気づいていないようだ。普通の男ができる仕事は女でも軽くできるということを。

東南アジアの少女の例を出すまでもなく、セールス活動は明らかに女性の方が優れている(あくまでも私見だが)。根性と粘りは男がどれほど頑張っても太刀打ちできない。

では男たちはどう生きればいいのか。男たちは製造業に打ち込めばいい。つまり造り手に回ればいいということ。そして販売はすべて女たちの手にゆだねる。こうした構造改革をしたらどうなのだろうか。世には優秀にもかかわらず、埋もれたままの女性がたくさんいる。彼女たちをもっと活用する工夫をすればいい。バブル以降、一向に浮上しない日本経済を復活させる、大きなきっかけになるのではないだろうか。

世はまさに、おんなの時代に突入しているのだから。

徒然なるままの妄想は、とめどがなく流れていく。やはり、これは二日酔いの影響か。

*写真は岩間幸司氏。共著「ベトナム」より複写


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2 コメント

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女系社会! (numapy)
2011-11-25 10:27:29
考えてみれば、日本は卑弥呼の時代から女系社会でしたね。実は、それが上手く行く。
女の視野は生物学的に男より広いし、女の融和術は根源的なもんです。動物では、♀が♂を選別する。より強い子孫を残すためだと言われてます。
いつから男は男社会を形成したのだろう?一つは旧約聖書が挙げられます。二つめには、戦争が挙げられます。男が優位性を保つためには戦争続行しかない!
話は変わりますが、北海道の女も強いですね。
この辺の話は、一献傾けながら・・・
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世界的に女の天下 (原野人)
2011-11-25 13:59:44
もはや北海道だけではないですね。
それでいいのではないですか。所詮男なんて女の添え物。神はアダムの肋骨からイブを作ったと言うが、全く逆だと思いますよ。
大和撫子は昔から強かった。真実です!
というより、最近、男がよりダメになったことがさらに輪をかけたようです。これまで目立たなかったところまで、わかってしまったから。この責任は我々にもありますね。反省しながら、今日も飲みます。
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