原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

イマジン(Imagine)

2013年02月26日 08時26分20秒 | 社会・文化
  ジョン・レノンのイマジンの歌詞で「想像してごらん、国なんてないことを」という一節がある。国際線に乗ってユーラシア大陸の上空を飛んでいると、いつもこの歌を思い出す。果てしなく広がる大地にはたくさんの国がひしめいている。しかしその国境線はどこにも見えない。それでも地図には明快にその境が記されている。国というものの存在が否が応でもそこにある。ジョン・レノンは宗教とか人種とか考えずにみな一つになればいいという。天国も地獄もない世界があるのではないかと言う。この歌は大好きなものの一つだが、現実はまったく違う。レノンもまたこの矛盾を痛いほど知っていたと思う。だからこそ、Imagineと言っているのだ。 . . . 本文を読む

台湾シリーズ⑧―日本を残そうとする台湾

2013年02月22日 08時09分29秒 | 海外
  今週の読売新聞(2月19日)の記事に注目した。「日本レトロ」台湾でブーム。日本の統治時代に建てられた日本家屋が台湾の歴史的建築物として評価され、民家やカフェなどに再利用されているとのこと。民間だけのブームではなく行政院(政府)も協力している、という。実は2000年頃から、台湾は日本ブームとなり、日本時代の古い民家や宿舎などが再利用される動きが目立っていた。そのまま観光施設となった建物もたくさんある。蒋介石の呪縛が解け、民主化運動の大きなきっかけとなった影の主役として、日本の存在があったことはたしかであった。 . . . 本文を読む

中国人の道徳心!?

2013年02月19日 08時21分49秒 | 海外
  先日、ロケットニュースが報じていた。「オランダ航空がわがまま中国人が騒いで離陸できず」「置き去りにして離陸強行」。いやはや、この国はまだこんなことをしているのか。これは北京空港での話である。もしオランダのスキポールなら、そのまま警察へ連行されたであろう。北京だから後の便で送られる程度で済んだ。理由は言葉の行き違いという話。だが、その時の乗客らの話では、6人の中国人が遅れてきた上に(ファーストクラス)、シートベルトをしない、携帯電話をやめないなどの行為があったらしい。そして乗務員とトラブル。彼らの道徳心はどうなっているのだろうか? . . . 本文を読む

まかり通る、日本式の安全神話論

2013年02月15日 08時11分34秒 | ニュース/出来事
  また不幸な事件が起きた。今度はグアム島である。日本の秋葉原で起きた通り魔事件とほとんど同じような事件であった。例によって、日本のテレビ局は現地にスタッフを送り込んでの賑やかな報道合戦を展開している。衝撃的な事件で負傷者の大半が日本人ということで報道が拡大するのはやむを得ない。だが、どうもその方向性というか、肝心な部分に違和感を感じてしまう。テレビで現地の人が感想を述べていた。「百%安全のグアムでこんな事件が起きるなんて信じられない」。この言葉を追従するように報道が続く。安全に対する認識がちょっと違うのだ。 . . . 本文を読む

酒はそんなに「悪」なのか。

2013年02月12日 07時58分47秒 | 社会・文化
  酒、つまりアルコール系飲料のこと。日本酒、ウイスキー、ビール、ウォッカ、ジン、ワインなどなど。ま、その種類は果てしなくある。国々に酒があり、人類の歴史上もっとも古くからある嗜好品である。ところがこの酒類に関する評価はすこぶる良くない。最も厳しいのはイスラム教徒。彼らのコーランには、酒は背徳。悪魔であってアッラーを礼拝するのを妨げる。とまで断じている。この宗教を主とする国では当然ながら禁酒令が発布されている。外国人はその限りではないが、飲みずらい雰囲気が漂う国となる。欧米は自由かと言うと、それがそうでもない。意外に制限のある国が多い。 . . . 本文を読む

納豆文化を侮(あなど)るなかれ!

2013年02月08日 08時30分34秒 | 社会・文化
 仕事で約3週間ほどミャンマーを旅したことがある。高原地帯が連なるシャン州(中部山岳地帯)には、インレー湖という美しい湖がある。ここで通訳兼ガイドのお嬢さんが、「納豆は好きですか?」と聞いた。「もちろん大好きだよ。だけどミャンマーにあるの?」。「ハイ」と言って出されたのが煎餅状の菓子。いわゆる乾燥納豆である。口に入れると確かに納豆の味。だがこれは日本の納豆とはちょっと違う。それを伝えると、にやりと笑う。当然承知という顔。そして、「明日の朝、楽しみに!」と言った。その翌日、ホテルの食卓に本当に日本式の糸引き納豆が登場していた。 . . . 本文を読む

スポーツ界に、天才は存在しない。

2013年02月05日 08時19分29秒 | スポーツ
  先日、逝去された名横綱大鵬関が残した言葉が印象的だった。彼の全盛時代、よく言われたそうだ。「大鵬関は天才ですね」と。ところが彼はこの言葉が大嫌いだったという。自分が関取として強くなるためにどれほど努力しているかを、評価されないように感じたからだと告白していた。たしかにプロの世界では天才という言葉がよく使われる。プロの世界に飛び込むアスリートの肉体的特性は素晴らしいものがあり、常人とはかけ離れている。だからこそ使われる言葉だ。だが、その素質を開花させるためには激しい修練と努力が必要なことは当然。プロであるだけにより厳しいのである。 . . . 本文を読む

台湾シリーズ⑦―神に祀られた日本人

2013年02月01日 08時18分00秒 | 海外
  森川清治郎という名前を聞いてピンとくる人はそうはいないだろう。だが、台湾の中西部嘉義県では有名人。「義愛公」の名で神として祀られている日本人なのである。副瀬村にある富安宮にはいまも御神体として彼の彫像が祀られている。明治以降の日本は欧米にならって植民地政策をとり東南アジアに侵略したという前提で歴史が語られ、植民地の一つに挙げられる台湾(現中華民国)に多大な迷惑をかけたと主張する人がいる。彼らがどれほど真実をゆがめているか、すでに多くの人は気づき始めた。森川清治郎は当時の日本の、海外進出における真の姿を語っている。 . . . 本文を読む