原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

鎮魂の海へ、祈りの岩。

2015年06月30日 09時43分27秒 | 地域/北海道
世界のどこにでもあるが、風景が作る物語というものがある。奇岩の類はとくに物語の素材となる例が多い。太平洋に面した道東の海岸線にもこうした物語は点在している。偶然見たのだが、海に立つ岩がそこにあった。この岩にも物語があるのだろうと、写真に収めた。ところがこの岩は無名だった。観光リストには載っていない。この岩から北へ少し行くと涙岬があって、そこにある立岩には悲恋物語がある。どうやら私が見た岩はあまり人目に付かずに今日まで来たものか。名もなき岩が妙に印象に残った。 . . . 本文を読む

復活。

2014年11月06日 14時57分02秒 | 地域/北海道
  「復活」と言っても、イエス・キリストや小松左京と関係あることではない。機能不全に陥っていたわがパソコンが、ようやく復活した。まだ完全とは言い切れないのだが、写真の入力が可能となった。というわけで、ブログも再会ということに。 休んでいたこの数カ月の間に道東の短い秋も去り、初冬の風が頬に直撃するようになっていた。足早に去っていった秋の面影を、写真のテストを兼ねて追いかけてみた。道東の秋もまた捨てがたいと、あらためて感じている。 . . . 本文を読む

快晴の摩周湖へ

2014年05月16日 10時00分00秒 | 地域/北海道
  摩周湖には数々の伝説があるが、晴れた日の摩周湖に遭遇すると幸運が訪れるという、ものがある。摩周湖は意外に晴れる日が多いということはさておき、やはり晴れれば幸運と思う方が精神的に相当いい。黄金週間も過ぎた5月12日。急に春らしくなった暖かさに誘われ摩周湖へ。快晴の摩周湖の美しさは表現に困るほど圧倒的。まだ雪が残る斜面や緑の葉をつけていない樹々の佇まいが、別世界に思わせる。晴れた摩周湖の幸運のおすそ分けを、と思いながら写真を撮った。本当に幸運が訪れるのか、信じるか信じないかは・・・・・・。 . . . 本文を読む

サクラサク。

2014年05月13日 09時46分57秒 | 地域/北海道
  携帯電話などなかったずっと昔、緊急の連絡と言えば電報がいちばんであった。受験の合否を知らせる暗号のような電文が「サクラサク」であった。これはもちろん合格の知らせ。一方「サクラチル」となれば不合格となる。受験シーズンはこの悲喜こもごもの電報が日本中を駆け巡ったのである。私もこの電報を利用したひとりであった。だが、この思い出には少しばかり苦いものが残っている。大学の受験のために東京に出て、その合否が発表された日、愚かなことをしでかしたからである。 . . . 本文を読む

中頓別では普通ですが、それが何か。

2014年02月11日 09時31分26秒 | 地域/北海道
  たぶん、全国的には全く話題となってはいないと思うのだが、北海道ではちょっとばかり話題となった話がある。村上春樹作の短編小説「ドライブ・マイ・カー」のなかで、タバコを投げ捨てるシーンがあり、それを見た主人公が「たぶん中頓別町ではみんなが普通にやっていることなのだろう」と、主人公の感想が記されていた。この部分に中頓別町の町議が噛みついた。掲載された月刊文芸春秋に抗議。町民の名誉を傷つけられたという。道民としてもこの抗議はなんだかな?という感じ。小説に登場するというのは、いろいろな意味でむしろチャンスだと、思うからだ。 . . . 本文を読む

15年目は重連で、馬と走る。

2014年01月28日 09時21分56秒 | 地域/北海道
  Sl冬の湿原号が1月18日から始動している。釧路を出発に1月の週末は川湯まで。2月から3月9日までは毎日標茶までの釧網線を走る。往復1便ずつ。重連が走ったのは1月25日と26日の二日。この25日に合わせて標茶の牧場ではSLに並走する乗馬イベントが行われた。馬とSLの並走は今年で15年目。重連と走るのは初めてとか。1年にたった一度の、しかもわずか数分の並走イベント。事前に道新などで予告されていたせいか、かなりの人数が集まっていた。メディアも数社が来ていた。観覧場所も改良。昨年の逆向きSLとはやはり趣が違う。まずは成功!おめでとう。 . . . 本文を読む

道東では日常ですが、それがなにか!

2013年11月22日 10時35分53秒 | 地域/北海道
  今年6月の道議会でヒグマの生息数調査が公表された。正式な生息数の調査が12年ぶりというのも驚きだが(何ともぬるい行政)、その前回調査の2倍の生息数に増加していたのである。あくまで推定生息数だが2244頭~6476頭。ここ数年目撃情報が頻繁に報じられていたが、個体数が増えたなら当然のことであった。しかも地区別にみると、道東・宗谷地域では1153頭~3386頭となる。どうやら全道のヒグマの半分以上がこの地域に集中しているらしい。知床半島周辺はことに多いとか。道東に生活する我々にはあまり穏やかな情報ではない。 . . . 本文を読む

満を持す、木々たち。

2013年05月17日 08時03分36秒 | 地域/北海道
  5月も早や中旬。東京をはじめ本州の各地では真夏日がすでに記録されているとか。しかしながら、わが道東の涼しさはどうしたというのだろう。すぐそこまで春が来ているのは分かるのだが、どういうわけか直前で足踏み。わが山の自然たちは新芽をいっぱいに膨らませながら、春を今か今かと待ちわびている。まさに満を持す状況だ。気象の神様はどうやら北海道だけ見落としているらしいが、それでも遅い春は必ず来る。そう信じて待つ木々の姿をみると、明日を信じてもいいのかもしれないと思わせる。遅いぶん、一気にいろいろな春が咲き乱れるに違いない。それを楽しみに、春を待つ! . . . 本文を読む

松浦武四郎が見た風景

2013年05月03日 07時54分52秒 | 地域/北海道
  北海道の名付け親でもある松浦武四郎は、1845年(弘化元年)に初めて蝦夷地探検を行い、1855年(安政2年)に蝦夷御用御雇に抜擢され、再び蝦夷地を踏査。道東を訪れたのはその6回目の踏査(1858年)の時であった。この時の様子は「久摺日誌」にまとめられ、その普及版として出された「戊午東西蝦夷山川地理取調日誌」に詳しく紹介されている。松浦武四郎は日誌に絵も付けている。それを見ると、彼が見た風景がよく分かる。あれから155年の時が流れた。時代は確かに変化した。もし松浦武四郎が今の風景を見た時、その変化をどのように思うのであろうか。 . . . 本文を読む

二年連続の全面結氷。

2013年03月15日 07時39分06秒 | 地域/北海道
  摩周湖が2年連続で全面結氷した。冬だから湖が凍ることが当たり前のように思うかもしれないが、実は摩周湖の全面結氷というのは意外に珍しい。昨年の結氷が実は4年ぶり。なかなかお目にかかれない。地球温暖化とか言われている中で、昨年が特別だと思われていた。だが、今年もなのである。昨今の冷え込みの厳しさ(マイナス20度前後)がもたらしたもの。道東は冬を通じて雪も多かった。これも珍しい。3月初めの大雪のおかげで雪化粧の湖となったが、何とか写真に残すことができた。もし来年からしばらく全面結氷しないことになれば、貴重な記録となる。 . . . 本文を読む

この冬、最後の走り。

2013年03月12日 07時58分35秒 | 地域/北海道
  3月10日をもって、SL冬の湿原号の走りはひとまず終わりを迎えた。来年の1月末の再会まで、釧網線を走る雄姿は見ることはできない。惜別を込めて、これまで撮影ポイントにしていなかったサルボ展望台に向かった。木立が多く、線路をクリアに見渡せる場所がほとんどない。あと500メートルも歩けばもう少し見晴らしがよいところに出るのだが、線路から遠くなり望遠レンズに不満が出る。やむを得ず、木立の隙間を見つけて待機。この冬最後のSLを高台から眺めた。待機する時間は30分。撮影は一瞬の数秒。この理不尽な矛盾を甘んじて受けるのも、今年はこれが最後だ。 . . . 本文を読む

弟子屈町川湯相撲記念館

2013年03月08日 07時48分35秒 | 地域/北海道
 正式名は四角ばっているが、中身は「大鵬記念館」である。今年の1月19日に逝去。2月25日は21人目の国民栄誉賞を受賞された、名横綱大鵬幸喜(本名納谷幸喜)関の記念館だ。出身地である川湯温泉の入り口に昭和59年に開設されたもの。現役時代は遠い昔。かすかに残る記憶を手繰り寄せてみようと出かけてみた。懐かしい風景がそこにあった。昭和30年代、日本が高度成長のスタートラインに立った時代。そこには燦然と輝くヒーローがいた。相撲人気がどうのこうのではなく、ヒーローの活躍に日本中が湧き立つ時代があり、活気ある日本が存在していた事をあらためて感じた。 . . . 本文を読む

春の雪は重く厚い。

2013年03月05日 07時54分33秒 | 地域/北海道
  3月に入った2日と3日にかけて道東は強烈な暴風雪に襲われた。中標津町では5人の人が亡くなり、網走や富良野を含めると9人にまで被害が拡大した。例年比較的雪の少ない道東ではあるが、今年は嫌な当たり年になった。これほど雪で荒れるとは、さすがに気持ちが萎える。特に春の雪は1月に降る雪と違って、湿って重い。雪かき(雪はね)は強烈な重労働となる。厳寒に降る雪はさらさらとして、箒でもはける軽さがあるが、三月となるとそうはいかない。僅かばかりのスペースの雪かきでも、腰にくる。重いうえに厚く積もるからだ。雪との戦いの日々がずしりとのしかかる。 . . . 本文を読む

雪化粧(デジブック)

2013年01月29日 08時18分12秒 | 地域/北海道
  北国といえども道東は、例年、雪の降雪量はそれほど多くはない。ところが今年は昨年の12月を皮切りに雪がことのほか多い。1月もまたその傾向が続いている。雪は北海道の生活に響く。あまり好まれるものではない。しかし、そうはいっても北国の常としてこれを拒否することはできない。それなら積極的に雪を受け入れる気持ちになってみてはどうだろうか。森や湿原の大地をすっぽり包み込む雪は、冬の北海道の原風景でもある。自然はまるで化粧を施したようにも見える。寒く厳しい冬だからこそ、冬の風景を楽しむ余裕を持つことは悪くない。 . . . 本文を読む

冬よ、さぁ来い!

2012年12月11日 07時39分52秒 | 地域/北海道
  師走の声とともに冬将軍が到来。爆弾低気圧が北国を襲った。6日ころから降り出した大雪はふだんはあまり降らない釧路湿原にまで影響を及ぼしている。湿原は一気に冬景色となったが、意外に長いなと感じた秋だったが、冬への駆け足はさすがに早い。思えば、昨年の今頃も道南は大雪に見舞われていた。道東も12月にしては異常な積雪量であった。地球の軸は少しずつズレているのかも。政局の不安とともに、気象も荒れ模様なのか。そういえば、つい先日も三陸沖を震源地とする大きな揺れもあった。不安はよぎるが、季節は季節。落ち着いて考えるべきなのだ。 . . . 本文を読む