高村光太郎の詩で「秋の祈り」です。
秋の祈り
秋は喨喨(りょうりょう)と空に鳴り
空は水色、鳥が飛び
魂いななき
清浄の水こころに流れ
こころ眼をあけ
童子となる
多端粉雑の過去は眼の前に横はり
血脈をわれに送る
秋の日を浴びてわれは静かにありとある此を見る
地中の営みをみづから祝福し
わが一生の道程を胸せまって思ひながめ
奮然としていのる
いのる言葉を知らず
涙いでて
光うたれ
木の葉の散りしくを見
獣(けだもの)喜喜としてとして奔(はし)るを見
かくの如き因果歴歴の律を見て
こころは強い思愛を感じ
又止みがたい責(せめ)を思ひ
堪へがたく
よろこびとさびしさとおそろしさとに跪(ひざまず)く
いのる言葉をしらず
ただわれは空を仰いでいのる
空は水色
秋は喨喨と空に鳴る
(大正3年作「道程」の巻末に収められている)
写真の出典は、https://www.kobo-momo.com/.../%E3%81%84%E3%82%8F%E3%81.../ です。
秋の祈り
秋は喨喨(りょうりょう)と空に鳴り
空は水色、鳥が飛び
魂いななき
清浄の水こころに流れ
こころ眼をあけ
童子となる
多端粉雑の過去は眼の前に横はり
血脈をわれに送る
秋の日を浴びてわれは静かにありとある此を見る
地中の営みをみづから祝福し
わが一生の道程を胸せまって思ひながめ
奮然としていのる
いのる言葉を知らず
涙いでて
光うたれ
木の葉の散りしくを見
獣(けだもの)喜喜としてとして奔(はし)るを見
かくの如き因果歴歴の律を見て
こころは強い思愛を感じ
又止みがたい責(せめ)を思ひ
堪へがたく
よろこびとさびしさとおそろしさとに跪(ひざまず)く
いのる言葉をしらず
ただわれは空を仰いでいのる
空は水色
秋は喨喨と空に鳴る
(大正3年作「道程」の巻末に収められている)
写真の出典は、https://www.kobo-momo.com/.../%E3%81%84%E3%82%8F%E3%81.../ です。