政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

ゲッ、軍事裁判所! 自民党の極右化と無意識のナショナリズム

2010-03-06 21:49:17 | 政治
自民党の極右化が顕著だ。
消滅の危機を迎えている自民党が、そのアイデンティティを「国家主義」に求めるのは納得できるところではある。
もともと右翼的体質を持っている連中の集まりである。
その中でちょっとだけ過激な連中が、党存亡の危機だとばかりに喚きだしている。
それが自民党の中だけで済んでいれば構わないのだが……。

「自民党保守系議員」という言葉がある。
自民党に革新系議員がいるはずもない。
簡単に言えば、右翼、というより極右議員を指している。

現在自民党衆議院議員は118人である。
全体の四分の一以下である。

彼等の勘違いは、自民党が保守的性格・色彩を薄めてきたために選挙に負けたと思っているところにある。
保守の旗さえ高々と立てれば国民の支持は戻ってくると思っている。

それとも残った四分の一の議席だけでも死守する方針か?

それにしても”徴兵制”とは!

自民、徴兵制検討を示唆 5月めど、改憲案修正へ (47news 3/4)

参院選を視野に、離反した保守層を呼び戻す狙いとみられる。ただ05年草案も徴兵制には踏み込んでおらず、「右派」色を強めたと受け取られる可能性もある。今後党内外で論議を呼ぶのは必至だ。


「離反した保守層の引き戻し」より「残っている保守層のつなぎ止め」の方が先だろう。
”徴兵制”で戻ってくる人数と離れていく人数とでは、どちらが多いかちょっと考えればすぐにも分かりそうなものだ。

 大島理森幹事長は4日夜に「論点は他の民主主義国家の現状を整理したにすぎない。わが党が徴兵制を検討することはない」と火消しを図るコメントを発表した。

その整理された論点とは、次のようである。

憲法改正の論点整理 自民推進本部が発表 (Yahoo news 産経 3/5)

 ■憲法改正論点整理の要旨

 第1 総論

 一、憲法改正国民投票法の有権者が18歳以上になるため、少なくとも高校で憲法を学ぶ必要がある
 一、「日本らしい日本の確立」のために自民党が主張する憲法改正の柱の明確化
 一、憲法改正要件を規定する96条の改正から、憲法改正の行動を起こすべき
 一、国旗・国歌の規定を置くべきか

 第2 各論
 一、象徴天皇制を維持した上で、天皇が元首であることを明記するか
 一、天皇の国事行為に「承認」の文言は不要
 一、国家としての安全保障をどう表現するか。集団的自衛権と国家の同盟関係のあり方を再検討
 一、民主主義国での兵役義務の意味と、軍隊と国民の関係を検討する必要があるのではないか
 一、外国籍には国・地方を通じて参政権を有しないことを明記するか
 一、一院制・二院制の是非を検討
 一、軍事裁判所の必要性


取り上げるのもバカバカしいものであるが、ちょっと首を捻ったのが「軍事裁判所」である。
いかにも唐突すぎる。
これまで国民の間で、話題に上がったこともないと思うのだが……。
もっとも自民党極右の連中の間では、前からある議論なのかもしれない。

これは徴兵制と関連するのか?
徴兵制(国民皆兵)→軍事裁判所・軍法会議

それでなくとも検察の横暴・暴虐に国民の多くは怒っている。
この上、軍事裁判所なんてものまで作られてはたまったものではない。
まったく正気の沙汰とは思えない。

しかし、「徴兵制」とか「軍事裁判所」とかいうのは、その言葉だけで問題がはっきりするからまだいい。
こういうのは、大きな声で反対しにくい空気があるので厄介だ。
 ↓
文科相、北教組指導へ 国旗国歌排除マニュアル問題で (産経ニュース 3/5)
川端氏は「学習指導要領を含めて、子供たちにも自国の国旗を尊ぶと同時に君が代が歌えるように指導し、国旗国歌を大事にと指導している」とも指摘し、マニュアルの内容を問題視した。


質問者は下村博文。自民党極右議員の代表的存在である。
もっとも自民党にはそんな奴があんまり多すぎて順位をつけるのには苦労しそうだ。

当時首相であった小渕恵三は、1999年6月29日の衆議院本会議において、日本共産党の志位和夫の質問に対し以下の通り答弁した。
「国旗及び国歌の強制についてお尋ねがありましたが、政府といたしましては、国旗・国歌の法制化に当たり、国旗の掲揚に関し義務づけなどを行うことは考えておりません。したがって、現行の運用に変更が生ずることにはならないと考えております。」 (ウィキペディアより)


出来てしまえばこっちのもの、とばかりにどんどん締め付けを厳しくしてきたのが右翼政治家とそれに流されてきた無気力議員たちである。

民主党は、自民党右翼議員の攻撃に毅然とした反撃・反論を見せたことはほとんどない。
しかし攻撃をはぐらかす能力もない。
残ったのは、阿諛追従である。

わたしたちもあなた達と同じに考えています。
同じようにやっています。

大臣室に国旗があるか、と質問されて、「飾っています」と、してやったりというような表情で、いかにも得意げに答弁した大臣がいた。
福島瑞穂である。
民主党ではないが、民主党の大臣よりおかしかないか?

何でもないことのようだが、これなんかも違和感がある。
 ↓ 
文科相、五輪選手支援企業の優遇税制検討 (YOMIURI ONLINE 3/4)

鳩山首相も「(五輪は)国民挙げて強い関心を持つ、日本人であることに誇りを持つ瞬間だと思っているので、何ができるのか、真剣に積極的に検討していきたい」と述べ、五輪選手の支援に前向きに取り組む考えを表明した。


五輪を国威発揚の場と捉えることに何ら疑問を持たないでいる。
五輪でのメダルが、「日本人であることに誇りを持つ」ことに簡単につながってしまう。
スポーツ・ナショナリズムというような言葉で片付けたいとは思わないが、発想はその程度である。

渡部元衆院副議長 「心の教育を粗末に」 北教祖の違法献金事件で陳謝 (産経ニュース 3/5)
(祖ではなく組なのだが、ソースに従った)
マスコミは何かあるとすぐにこの男のところに行くのはやめたらどうか?
小沢や鳩山の悪口を言わせたくていくのだろうが、この男、年をとって人恋しいのか、人を集めるためにせっせとリップサービスに務める。

「北教祖の違法献金事件で陳謝」?
うれしくてしょうがないようだ。

「心の教育」なんてのも右翼は大好きである。

警戒すべき人間は民主党内にも山ほどいる。
はっきりと色のついている奴は外から見て分かるからいいのだが、無意識にそいつらに引っ張られていく奴も少なくはなさそうだ。

それでもまさか、「徴兵制」だの「軍事裁判所」などと言いだす奴まではいないだろう……?





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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
軍国化構想を破壊せよ (ももだぬき)
2010-03-07 04:40:47
徴兵制絶対反対。極右自民党を破壊しないといけません。今、戦前の雰囲気に近いです。世界大恐慌から欠食児童もろもろ。今でもトラウマを抱えている人が多いのです。自民党議員は正気ではありません。
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半面教師 (ara)
2010-03-07 07:06:05
全くもって同感ですが・・・・
彼らを少数のままにしておきさえすれば、彼らの言動、行動によって戒めとする事ができます。
全く失くしてしまうよりは、彼らの存在がある意味では必要なことだと思われます。
ただ圧倒的多数に広げる事は、日本の死を意味しますから、それは断じて防がなければなりません。
彼らの動きは「異常行動」であるという雰囲気作りをするためには、多くの知識人、言論人が高度な哲学を持つ必要があるでしょう・・・・
今までの日本の民衆の右傾化に対して、ストップを掛けられたのも、安倍政権の極右化政策あったればこその賜物であったのです。
戦争の方向に向かうのではないだろうか・・・?という本能的な危険察知能力が発動したものと思われます。
今回の検察の特高化に対しても、検察自身でこれ以上の深追いは、自らの首を絞める事になることへの危惧をあらわしたものと思っても差し支えないのではないか・・・・・?
強引な特高検察捜査を考えて見れば、一度は微罪であっても逮捕するか?・・・・と、小沢さんは覚悟した場面があったように思う。
だから、2回目の呼び出しで、そこに談合があったであろう事は否めない・・・・
このような特高検察的捜査手法を容認している大多数の国民と、それを非難、批判することもせずに大本営的に報ずるマスコミが異常ではないと感じている状況は、明らかにイビツである。
多くの識者たちが、このイビツ性を取り上げなければ、この日本はあらぬ方向へ行ってしまうであろう・・・・あの戦争へ至る道程も、日本と言う国であったればこそ起こったことのような気がしてならない。
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Unknown (らむちゃのパパ)
2010-03-07 09:57:46
軍事裁判所というのは、検察だけでなく裁判所も抱き込もうということなんでしょうかね。
しかし、今の日本は客観的にみて、米国の占領国、奴隷国家。形ばかりは自主自立の形態をとっていますが、実質は米国の意思にしたがって郵便局を民営化したり、毎年大量の米国債を買ったり、米軍に献上したり、労働法制を変えたり、核爆弾を国内に保管して隠したり、商法を変えたりと主権は国民にないですね。
民主党の政策も国民第一とか言いつつ、風にたなびく煙のようにまっすぐ天に向かってあがっていたものが、何か怪しくなってきました。
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Unknown (Ping)
2010-03-07 13:26:24
極右政党に限らずイデオロギー政党になれば、「消えはしないけれど、大きくはなれない」という状態に自ずとなっていきます。
でも、私の知り合いの自民系極右議員が日本人は保守で右の国民性だから小さくなることはないとほざいておりましたが、それこそが保守極右の思い上がりでありただの傲慢にすぎません。しかし、これこそ自民の議員連中の多くが思っていることでもあります。なんとも世間と乖離した考え方でもあります。
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ももだぬき様 (亭主)
2010-03-09 22:33:08
>自民党議員は正気ではありません。

まったくおっしゃるとおりです。
民主党は寄り合い所帯ですが、自民党は全員一致のキチガイ集団ですね。
まもなく消えていく運命です。
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ara様 (亭主)
2010-03-09 22:44:07
>あの戦争へ至る道程も、日本と言う国であったればこそ起こったことのような気がしてならない。

たぶん、おっしゃるとおりでしょう。
しかしこれは、民族性というよりは歴史のしからしむところ、言い換えれば真正面から歴史に向かい合ってこなかったことにその原因があるのではないか、とも思われます。
歴史を唯々諾々と受け入れ、また数々のタブーに縛られている状況に無自覚でいるわたしたちの生き方が長く続きすぎているのではないでしょうか。
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らむちゃのパパ様 (亭主)
2010-03-09 22:50:10
>軍事裁判所というのは、検察だけでなく裁判所も抱き込もうということなんでしょうかね。

まったく何を考えているのか分からない連中です。
恐らく、司法機関から独立した機関を考えているのかも知れません。
もしそうだとすると、警察と検察と裁判所の権限を併せ持つ化け物ができあがってしまいます。
彼等には、軍事裁判所について大声で叫んでもらいましょう。
みんなが彼等から引いていくでしょう。
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Ping様 (亭主)
2010-03-09 22:52:42
>極右政党に限らずイデオロギー政党になれば、「消えはしないけれど、大きくはなれない」という状態に自ずとなっていきます。

そうですね。
そして彼等のライバルは共産党になります。
ちょうどいいかもしれません。
しかし機関誌だけは共産党の圧勝でしょう。
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