醤油庫日誌

やかんの映画ドラマ感想文。

「柳生武芸帳」

2007年10月25日 | 【や・ら・わ行】タイトル
1961年、ニュー東映。
主演、近衛十四郎。
まーた、山城新伍の若侍ですか……言ったらなんだが大根です。
……「マッコイと野郎ども」のトニー・カーチスの吹き替えは軽妙ですごく好きだったんですけどね。
山城さん左利きなんですか? 「獄門坂の決斗」では左手にお箸を持ってましたが時代劇ではちょっと。
天井に飛び上がったり、畳を槍で突いてはね飛ばしたり、廊下を走りながら透明人間になったり、殺陣が忍術合戦になってしまってやや期待はずれ。
……やかんはやっぱり十四郎さまの豪快刀捌きが見たかったのでござる。
見所は殺陣よりも、十四郎さまが男装のお姫様と相部屋になって困惑しまくるシーンであります。
もう十四郎さまってばラブリー!
近衛さんご本人は祇園のお茶屋遊びで有名な役者さんでしたが、なぜか女には絶対手を出さない役ばかりなさってます。
顔はそっくりでも松方弘樹のイメージとダブらないのが面白いです。

「後世紺碧進級令」アップしました。

2007年10月13日 | SSあとがき
小学生の頃、「宇宙戦艦ヤマト」を見て不思議だったのは「なんで艦長代理に古代クンなのか?」ということでした。
なにも訓練学校出たてホヤホヤの古代クンを選らばなくても、真田工場長か徳川機関長を任命するほうが自然じゃないか?と小学生やかんは思ったわけです。
今思うとこれは、技術科士官に指揮権はない、機関科士官にも戦闘艦の指揮を任せない、という旧軍の承行令&慣例が適用されていたから……だったりして。
真田さんはダメコン担当で内務長の任もこなしているから実は兵科じゃないか、いや艦内の工作修繕を受け持つ工作長は機関科士官のはず、いやいやドックで「ゆきかぜ」の修理をしていたのならやっぱり技術科士官……真面目に考え出すとワケわかんなくなるでござる。
もとより2199年、当然旧海軍ではなく地球防衛軍、どーでもいい度は紺碧の比ではありませんが。

「ここに泉あり」

2007年10月10日 | 【か行】タイトル
1955年、独立プロ。
群馬県高崎のアマチュアオーケストラの物語。
人々が食べるのがやっとだった終戦後の苦しい時代に、演奏を続けた団員たちをさわやかに描きます。
雨上がりの校庭のあちこちにできた水溜りに青空が映っています。
木造の古びた校舎、セミの鳴く木々、懐かしい美しい日本の風景です。
ざわつきっばなしの観客に落胆して帰る楽団員に、そっと野花を差し出す女生徒。
らい病院での静かなしかし熱意に溢れた演奏会。
楽器をはじめて見て喜ぶ山奥の分校の生徒たち。
昔の映画は観客を泣かせるのが上手いなぁ。
あざとさのない演出で気持ちよく泣かせてくれます。

「君よ憤怒の河を渉れ」

2007年10月02日 | 【か行】タイトル
1976年、松竹。
おお、なんとドラマチックなタイトルソング! 初っ端から観客の期待を盛り上げます。
無条件にタフな男、高倉健がいいんですね、やっぱり。
自衛隊機がスクランブル発進しようが、都心で競走馬が暴走しようが、健さんだったらそれもありかなと気にならないんであります。
サスペンスありスリルありサービス満点の大作なんですが、アスファルトに蹄鉄を滑らせて転倒した馬がかわいそうなので、できればああいう危険な撮影はやめてほしいですね。
動物を虐待して撮った映像よりも、作り物丸出し映像のほうが安心して鑑賞に専念できるってものです。
……中野良子を襲ったクマは、チャックが見えそうな着ぐるみでしたが別にいいですよ、あれでも。
いくら健さんでも丸腰の爺さんを背中から撃っといて、それも弾倉が空になるまで撃って「正当防衛」もないもんだ。
人ひとり殺しておいてお咎めなしの甘い結末に呆然としながらも、ふむ、面白かったじゃないかと満足してしまう二時間半の娯楽作。
ただ、サスペンスシーンで使われる曲には激しく違和感を抱きました。
やけに明るいピクニック音楽が緊張した場面に流れるんですよ。
健さんが生きるか死ぬかの瀬戸際だというのに、チャッチャラチャッチャラ♪
これだけは選曲意図理解不能。