醤油庫日誌

やかんの映画ドラマ感想文。

「日本の黒幕」

2007年07月30日 | 【な行】タイトル
1979年、東映。
黒幕と書いてフィクサーと読むんですと。
政界の黒幕である大物右翼に佐分利信。
さて映画は警戒厳重な大物右翼邸に刺客が忍び込むところからはじまります。
塀を乗り越えベランダによじ登ってまんまと侵入し、佐分利信にナイフで襲い掛かるとこまではいいんですが、一喝されて腰を抜かしてしまうヘタレ刺客なんですな、これが。
用心棒にボコられ半死半生にされますが、佐分利になぜか気に入られ命を助けられます。
このヘタレ刺客が細っこい美少年風なのが最初の?でした。
側近に田村正和というのもひっかかりましたよ、もうちょっと強そうな松方弘樹とか寺田農とか置きませんか、ふつう。
そしてですね、ヘタレ刺客の病室に佐分利信が見舞いに来ましてね、彼のふとんを剥ぐといきなり股間をパジャマの上からグニュと掴む(!)んですね。
次には戦時中の部下(有島一郎)が佐分利をはるばる尋ねてくるんですが、思い出話に感極まって佐分利信がいきなりシャツの前をバッとはだける、で、その裸の胸に有島一郎が両手を当てて取り縋る……。
なんなんだ、これは。
とどめは傷の癒えたヘタレ刺客がなぜか裸で庭に出てホースで水遊びをしているんです。
太陽に濡れた肌をきらめかせて、「アハハ」とアホみたいにはしゃいでいる裸の青年。
まるっきりゲイ雑誌のグラビア状態なんですが、それを二階から佐分利信がじっと見つめているんですよ。
挙句の果てに「……美しい」とつぶやくんですよ。
佐分利信で衆道!なんちゅー罰当たり映画でござろうか(笑
……近親相姦とか首相の裏切りとか他にもいろいろあったけど、もうどうでもよかったりして。
実録物でもなし、社会派というほどでもなし、変に耽美が入っているから何の映画かわけわからん。
全体的に手薄な俳優陣だったのも、物足りない。
ヤクザ映画はオールキャストでないとてきめん画面がショボくなります。

「幕僚選び」アップしました。

2007年07月23日 | SSあとがき
どうもよくわからない旭日艦隊の設立事情。
・新戦艦6隻に新空母3隻をすぱっと用意できた後世日本。
この工業力ならクーデターなしでもけっこう頑張れたかもしれませぬ。
・お金のことを言うならば、大和の建造費を流用して紺碧艦隊を作ったのに、この上日本武尊の莫大な建造予算をどう工面したんでしょう?
・そもそも大高さんのクーデターがやっとこ照和16年12月なのに、どうやって大和の建造を中止できたのか謎でござる。
……そんな今更なツッコミはおいといて。
「右足の古傷」じゃなく「胸部の古傷」なんですね、高野五十六さんは。
OVAの冒頭、五十六さんが左手を見て怪訝な顔をするシーンが印象的でした。
私は原作を読むまで、てっきりあのシーンが五十六さんの“覚醒”した瞬間だと思ってましたよ。

「緋牡丹博徒 花札勝負」

2007年07月17日 | 【は行】タイトル
1969年、東映。
ご存知緋牡丹お竜。
藤純子の白い肌があだっぽい。
要所要所をビシッと決める正統派仁侠映画です。
嵐寛、若山富三郎、清川虹子の親分衆は迫力いっぱいで、大見得切ってのセリフのやり取りはもろ浪花節なんですが、この湿っぽいノリが快感なんでござるよ、任侠映画は。
親分衆は親分らしく、子分どもは子分らしく、すべて型どおりにきちんと収まる手際よさ。
これぞ東映、このアナクロニズムがたまらない。
ただね、網走番外地で健さんの主題歌が流れるのは渋くて正解だけど、この藤純子の歌は……なにも無理して歌わさなくてもいいんじゃないの?

「忍者狩り」

2007年07月09日 | 【な行】タイトル
1964年、東映。
近衛十四郎vs甲賀幻妖斎。
天津敏って不気味。
「グハハハ……」の高笑いがこれほど似合う役者さんもそういますまい。
幻妖斎のノリのボス、色仕掛けで迫る尼僧、目を潰される侍……はっきり言ってゲテモノちっくです。
味方側に佐藤慶を入れておくのはちょっと反則だな。
敵の間者がいる!という展開になれば、当然観る側は佐藤慶を疑うでござるよ。
メンツを見た段階で「最初に犠牲になるのは河原崎長一郎、それでもって佐藤慶が裏切るんだな」と思うでござるよ。
だがしかし…………なのである。
予想を裏切られて嬉しかったのかがっかりしたのか、自分でもよくわからん。

「博徒一代 血祭り不動」

2007年07月03日 | 【は行】タイトル
1969年、大映
雷蔵最後の映画。
たしかに火影の横顔などはやつれていてそれがまたゾッとするほど凄艶でした。
端正な美貌、端正な演技、名優市川雷蔵、享年37歳。
いっぽう十四郎さまは油乗りまくりの50代。
身寄りのない少女を引き取って、情愛深く父親代わりになってやる男気のある侠客役。
子供みたいな若い妾を囲っている、なんて周囲に下種な勘繰りをされながらも当然彼女には一指も触れず、少女と雷蔵の仲を取り持とうといたします。
そんな枯れきった父親代わりの役なんですが、それにしては色気たっぷりな十四郎さま。
粋な着流しにオールバック、オヤジ流し目に渋い笑顔、いやもう熟年フェロモンむんむん。
「泊まっていけないの?」
「……いや、それはちょっとな」
「どうして? 話すことがいっぱいあるのに」
「……うん、またそのうちにな」
引き止めようとする少女に、お茶漬けだけサラサラ食べて長居をせずに帰ってしまう十四郎さまの照れくさそうな表情がいい。
色っぽいのにもどかしくもストイックなのが、いつだって十四郎さまキャラの魅力なんであります。

「スーパーの女」

2007年07月01日 | 【さ行】タイトル
1996年、東宝。
宮本信子と津川雅彦。
この組み合わせ、好きだなぁ。
今回は寂れたスーパーの店主がプロ主婦のアドバイスを得て、理想のスーパーを作り上げていく物語。
売れ残りパックの再パック、売れ残り素材でつくった惣菜なんてのは、よくあるスーパーの日常なんでしょうかね……。
売れ残って回収された廃棄寸前トンカツを
「こうしてもう一回揚げりゃ、カツ丼に使えっじゃねーか!」
と、油鍋に放り込むシーンとか、薄切り肉の混ぜ物とか、なかなかに凄まじい。
そういう業界小ネタが毎度面白いんだから、取ってつけたようなカーチェイスはいらないんじゃない?
とにかく、宮本信子に男言葉をしゃべらせるのだけは、寒いからやめて下さい。
……俺女の主婦(う。