醤油庫日誌

やかんの映画ドラマ感想文。

レベッカ

2020年01月01日 | 【や・ら・わ行】タイトル
1940年 アメリカ
大好きなんです、原作。
ヒロインの細やかな観察眼がモンテカルロでのシンデレラストーリーから始まってイギリスの貴族の館に舞台が移り、死んだ前妻のレベッカの話があらゆる人の口から語られていく緊迫感と家具や使用人や庭や紅茶の描写にワクワクさせられるんです。
デ・ウィンター様に見初められて結婚して、マンダレイのご領地に乗り込むヒロイン。
安物の下着と不格好なスカートのままで、たくさんの使用人に出迎えられるが、どう受け答えしたらいいかもわからない。
頼りのデ・ウィンター様も何を考えているのかわからない。
美貌のレベッカ、洗練されたレベッカ、几帳面で有能だったレベッカ。
人見知りと劣等感にさいなまれるヒロインに誰もが共感してしまうんじゃないでしょうか。
……つくづくマキシムって身勝手じゃない?
レベッカに敵わなかったからって、若くて従順なヒロインを引っさらってきといて何のフォローもなしに、さあ今日からマンダレイの女主人になれって無理に決まってるじゃないか。
何の支度も予備知識も無しに連れてこられたヒロインが哀れすぎ。
次の朝からさっそく義姉夫妻が押し掛けてくるし、肝心のマキシムは留守にするし、帰宅しても客の前で不機嫌になってヒロインをハラハラさせるし。
だいたいマンダレイを前妻のいたときのままにしておくってどういう了見だ?
園芸室にはレベッカのレインコート、家事室にはレベッカのレターセット、なんでも"R"の頭文字が入っている。
前妻の持ち物を使わされる新妻の気持ちになってみろという……四十男がそんなこともわからんか。
浜辺の散歩で急に不機嫌になって、自分の言う通りにヒロインが動かないからと怒り出すマキシム最低。
殺人現場だったなんて知るかいなw
追い詰められたマキシムの告白を受けて、彼を守ろうと強くなったヒロインに、君は老けてしまった、とぼやくマキシム。
なんという勝手な言い草、アンタはただの若い子好きか。
38歳の大人になりたい、と言った初々しいヒロインに、38歳の中年女になんかなるな、と返したマキシムですからそういうことなんでしょう、自分は四十男のくせにw
名家の出のやり手の妻に痛い目に遭ったからって、とにかく若くて従順な娘を選ぶマキシムって……家名と財産がなければただのカス。
マンダレイを失って覇気のなくなってしまったマキシム、腫れ物に触るように話題まで気を遣ってやらねばならぬマキシム、知人を避けて安ホテルを渡り歩くマキシム。
お屋敷が焼けてしまうと成金でないと再建は無理なのかな……。

映画ではローレンス・オリビエが繊細そうなマキシムを演じています。
ただ、フランク役の俳優さんのほうが体格がよくて強そうなので、あれっ? と思っちゃう。
「昨夜、私はまたマンダレイへ行った夢を見た」
あのぞくぞくするような冒頭の文章そのままの映像を、この映画は見せてくれます。
筆跡だけの前妻レベッカの存在感と、今にも潰れてしまいそうな可憐なヒロインがとてもよい。

ローマ

2018年10月20日 | 【や・ら・わ行】タイトル
2007年
綺麗な顔した堅物百人隊長と愛嬌たっぷりのマッチョな兵士。
二人そろってローマ軍団最強の男で戦えば天下無双の戦士なり。
彼らはカエサルにアントニウスにオクタヴィアヌスに重用され、歴史の重要な場面に立ち会っていく。
……と書くとなんじゃそのメアリースーは……なんだけど、面白かった。
この二人のヒーローは女運が滅茶苦茶悪くて、裏切られるたびにカーッ!となって流血沙汰を起こすとんでもない男たちなのだ。
品行方正かと思われた百人隊長なんか暗黒街の元締めにされるわ、元老院議員になるわ、エジプトに行ってアントニウスの右腕になるわ、もうたいへん。
彼の望みは家族団欒なのだが、すでに家族の心は冷え切っており……愛されるパパになりたい彼の空回りがもうなんかイタくて……。
イタいといえば、オクタヴィア姉弟のモンスターママン、アティアが強烈で始終その高圧的なヒステリックな物言いにイライラさせられるんだけど……典型的ツンデレ、じゃないなツンツンでアントニウスに恋する乙女で、最終回には、ああもう仕方ない人だな、こういう人なんだもん、と許容する気持ちになってしまった。
ブルータスの母といい、ローマの母は強烈なママンばかりで疲れた。

どうでもいいことだが、うちのアレクサがエジプト編になると返事して困った。
アレクサンドリアに反応するんであるw
人が一生懸命観ているのに、小タンスの上から「ごめんなさい、よくわかりません」だの「はい、アレクサです」だのルセーw

「弥次喜多道中記」

2018年06月13日 | 【や・ら・わ行】タイトル
1958年。
加東大介と小林桂樹が弥次さん喜多さんを愉快に楽しく演じる、肩の凝らないオールスター喜劇。
宝田明が二枚目の飴売りになって自慢の喉を披露すれば、三木のり平が女形の太夫でしなを作って笑わせる。
当時の喜劇人も大勢出てきます。
軽く踊ってよろけてみせる森繁の動きの良さはさすがであります。
三船敏郎と池辺良が浪人役ででてきて、ドジョウすくいを大真面目に踊ってみせるのは隠し芸のノリでしょうか……もちろん派手な立ち回りもバッチリ見せてくれます。
全編歌あり踊りありの賑やかな楽しい喜劇。
わけても綺麗どころを従えて、加東大介がお座敷でノーエ節を踊るシーンが華やかで楽しかったです。
毒のないのんびりとした笑劇でゆったりくつろぐのも乙なものかも。

リプリー

2017年11月08日 | 【や・ら・わ行】タイトル
1999年 アメリカ
見ていて辛くなる。
ハラハラするというか、犯罪者なんだけどなんか彼の立場に立って見てしまう。
一度でやめとけとか、さっさと撤収しろとか、指輪なんかほっとけとか、背後霊チックに囁きたくなる。
殺人者は一度でやめないし、自分はうまくやれるとうぬぼれる。
嘘の破綻は嘘で誤魔化し、それでもだめなら口封じ。
かくしてどんどん殺人のハードルは低くなり、連続殺人犯は破滅へとまっしぐら。
いつばれるかいつ手が回るか、ハラハラドキドキで胃に悪い映画です。
やかんは貧乏人ですから、どうしてもリプリー君側から見てしまいますが、外国にヨットと別荘をお持ちのお金持ちはどんな気持ちでこの映画を見るのかしらん?
でもリプリー君、貧富の不平等はあるでしょうけど、友人の財布を当てにして自分も贅沢しようってのは卑しすぎ。
太鼓持ちは芸があるから旦那に呼んでもらえるんだよ。

「遊侠の剣客 つくば太鼓」

2010年01月24日 | 【や・ら・わ行】タイトル
1960年、第二東映。
近衛十四郎主演。
若いなぁ、お元気だなぁ。
それはいいんだけど、なんだこの役は。
辺見一角、剣は冴えるが、精神年齢推定十歳の駄々っ子でござる。
酸いも甘いも噛み分けた花山の旦那とは大違い。
おっ! 十四郎さまが女に手を出した!
まことに珍しいことでありますが、なんか絵にならないなぁ……。
女に告白させて、しかも女にのしかかられてから、やっとその気になるのがパッとしない。
ここはやっぱりストイックに渋くかわすか、いっそのこと大人の色気全開で行くとか……無理ですかね。
で、一夜明けたらとたんに亭主面、威張るばっかりで客に挨拶ひとつできないバカ亭主。
茶屋酒大好き昼間っから釣り三昧(あ、シャレにならん)
でも殺陣はいい!
このスピード、このパワー。
ぶんぶん唸る長刀、もう十四郎さま日本一ッ!
ざんばら髪で眉間に血を流した顔が松方弘樹に瓜二つでびっくりしました。
このワンシーンだけ見たら、区別がつかないかもしれない。
変な映画だったけど、行儀の悪い浪人ということで、ドカッと座るときとか疾走するときとか、おみ足が着流しの裾からチラチラしましてね、もうドキドキ☆

「柳生一族の陰謀」

2009年10月16日 | 【や・ら・わ行】タイトル
1978年、東映。
これは徳川“一家”の跡目争い、でござる。
三代目は長男家光か次男忠長か。
暗殺・謀略・カチコミありの江戸城版“仁義なき戦い”
特攻隊でもヤクザにみえる、帝国海軍でもヤクザにしかみえない、戦国時代でも江戸時代でも以下略、何をやってもヤクザテイストな東映――それほど「仁義なき戦い」が偉大だったということですかね。
おなじみの実録物のノリに萬屋錦之介が乱入して、なんとも不思議なカオス状態になりました。
錦之介の大仰なセリフ回しは、深作映画でもまったくブレず。
仁義なき江戸城にあって、彼ひとりだけ時代がかった大芝居。
時代劇スター錦之介の意地なのか、それともこういう趣向なのか興味のあるところでござる。
妙に重々しい錦之介と荒唐無稽史実無視のストーリー展開で観客をすっかり煙に巻く、これぞ東映新時代劇!なんでしょうかね?
やたらオールスターなのにどこかチープ感が漂うのはやっぱり東映でござるな。
たとえば錦之介と丹波哲郎の決闘なんですが――錦之介、移し身の術を使います。
頭から錦之介真っ二つ! と思いきや等身大の石像が真っ二つ。
石に刀がめり込んだ、ではなくあくまでスッパリ真っ二つになるのがすごい。
真ん中からぱったんと倒れる1/2石像、バカバカしくていいぞ。
チープといえばラストの生首もですが、あれもわざとなんでしょうか?
コンコロコロって床を転がるんですよ。
人間の頭なんですから、せめてスイカなみの重量感でもってゴンゴロリ、ぐらいにしますよね、ふつう。
血糊や人体切断大好き東映がわざわざなぜ?
秀忠毒殺で始まって着地点が家光のマネキン生首という、好き勝手やり放題な遊び心満載の娯楽大作。
成田三樹夫の白塗りお公家さんは必見!(なんと千葉ちゃんと互角の剣の使い手なのである)

「離婚」

2008年11月25日 | 【や・ら・わ行】タイトル
1952年、新東宝。
音声が悪くてところどころセリフが聞き取れず。
それはいいんですが、佐分利信が雪山で絶叫するシーンに凍りつきました。
「おーい、山よー、俺はさびしいぞー!」
「おーい、山よー、俺はお前が好きだぞー!」
……むっつりした渋いあの顔で、そんな恥ずかしいセリフを、ですよ。
ぜんぜん似合わないでござる(涙
「日本の首領」で披露した紫地に般若の面の極道ガウン姿以上のショックでござった。
さてストーリーは、良家の人妻(木暮実千代)がスキーに来て、猛吹雪のためにやむなく従兄(田崎潤)と山小屋で一夜を過ごしてスキャンダルに。
じつは従兄と二人きりではなく、見知らぬ山男も一緒だったので、その山男を探し出して二人の潔白を証明しようと奔走する人妻と従兄……。
人妻が男性と泊まりがけのスキー旅行をする時点でどうかと思うんですがね。
それに婚家を追い出されたからって、従兄の下宿に転がり込んだりしたら、もう世間的にアウトでしょうが。
ともかくようやく探し出した謎の山男は、なんと兄の旧友の牧場主であることが判明。
しかも人妻は一度会ったきりの山男との間に、ほのかな恋が芽生えていたことに気づくのでした。
そうなると途端に婚家に自分から三行半を付きつけ、煮え切らない従兄にも見切りをつけ、人妻は俄然山男にアプローチ開始。
色っぽい美女木暮実千代だから見ていられた支離滅裂メロドラマ。

「ラブレター」

2008年07月26日 | 【や・ら・わ行】タイトル
1981年、にっかつ。
文芸路線のソフトポルノ。
手の早い初老の大物詩人(中村嘉葎雄)と彼に囲われた情緒不安定な若い愛人(関根恵子)
この歳の差カップルが「トシにいちゃん」「うさぎ」と呼び合うのがまず不気味。
白くてふわふわ可愛いから「うさぎ」なんですと。
でも画面の関根恵子はどうみても色黒でござる。
よれよれの着流しで文豪スタイルをきめた中村嘉葎雄なんですが、残念ながら爺むさいだけ。
やかん的には、夜中にブランコを漕ぐ中年サラリーマン(仲谷昇)と役を入れ替えてほしいところ。
とにかくギラギラ脂ぎったエロオヤジで、本妻の籍を抜いたり入れたりの勝手もん、浮気防止に女の内腿に刺青をいれるわ、無理に堕胎させるわのサイテー男でいいとこなし。
こんな男に関根恵子が身も心もメロメロになり、とうとう男に逢えない寂しさからセックス依存症になって精神病院に入れられてしまう――なんか納得いかんが、そこはそれポルノ映画。
和服でデート、帯を解いて紐をほどいて襦袢にして××
清楚なワンピースを脱がせてパンスト姿にして××
たらいで行水させて××
病んだ女を清拭中欲情して××
あ、××といってもR-15でござる。
関根恵子のクールな美貌と脱ぎっぷりの良さは堪能できても、終始漂うゲージツ臭がこそばゆい。

「柳生武芸帳」

2007年10月25日 | 【や・ら・わ行】タイトル
1961年、ニュー東映。
主演、近衛十四郎。
まーた、山城新伍の若侍ですか……言ったらなんだが大根です。
……「マッコイと野郎ども」のトニー・カーチスの吹き替えは軽妙ですごく好きだったんですけどね。
山城さん左利きなんですか? 「獄門坂の決斗」では左手にお箸を持ってましたが時代劇ではちょっと。
天井に飛び上がったり、畳を槍で突いてはね飛ばしたり、廊下を走りながら透明人間になったり、殺陣が忍術合戦になってしまってやや期待はずれ。
……やかんはやっぱり十四郎さまの豪快刀捌きが見たかったのでござる。
見所は殺陣よりも、十四郎さまが男装のお姫様と相部屋になって困惑しまくるシーンであります。
もう十四郎さまってばラブリー!
近衛さんご本人は祇園のお茶屋遊びで有名な役者さんでしたが、なぜか女には絶対手を出さない役ばかりなさってます。
顔はそっくりでも松方弘樹のイメージとダブらないのが面白いです。

「連合艦隊」

2007年08月04日 | 【や・ら・わ行】タイトル
1981年、東宝。
小沢中将(丹波哲郎)と宇垣中将(高橋幸治)をメインに据えた、贅沢で渋い映画。
二組の兄弟・親子の話のほうが本筋なんですが、やかん、そっちのほうはどーでもいいのであります。
宇垣中将びいきのやかんとしては、こんなにかっこいい宇垣さんを見られて大変うれしいのです。
丹波さんの飄々としたどこか人を食ったお茶目な小沢提督も良し。
この映画、将官たちの善玉悪玉の色分けが露骨で、南雲長官・栗田長官は頑迷なモウロク爺に描かれています……。
瑞鶴の貝塚艦長(神山繁)は、訓示の発声といい、答礼の風格といい、帽振れの毅然とした姿といい、素晴らしい海軍軍人ぶりでした!
これはもう、神山ファンならずとも惚れますぞ。
あと印象的だったのは、空母瑞鶴に配属された少年飛行兵の逸話。
『ワタクシたちは発艦は出来ても着艦はできません!』――大切な飛行機を使って体当たり攻撃しかできないことを、整備兵に謝る幼顔のパイロット。
彼らのけなげな決意に、特攻戦術に頼るほかない帝国海軍の末期の哀れさに、何回見ても胸がつまります。
重厚な俳優陣と細部まで考証された軍装・小道具に見とれてしまう二時間半。
正直言ってストーリーはもう二の次三の次であります。
でも、たった二時間半で、開戦から大和沈没までダダッと駆け足で描こうというんですから――戦局が進むたびに次から次へと将官の名前とポストが字幕で出てきて大忙しですよ。
……終盤で涼月(すずつき)を「リョウヅキ」と言っていたような気がするけど気のせいか?

「ラビリンス 魔王の迷宮」

2006年07月21日 | 【や・ら・わ行】タイトル
やっとDVDになりました。
美少女ジェニファー・コネリーとデヴィッド・ボウイの妖しい魔王。
夢のある手の込んだファンタジー作品であります。
セーラは魔法や妖精の物語を愛する夢見がちな少女。
ある夜、外出する両親に赤ん坊の弟の子守を頼まれた彼女は、泣き止まない弟にヒステリーをおこし
「魔王がきておまえを連れてってしまえばいいのに!」と口走ってしまいます。
するとその言葉どおりに魔王が現れて赤ん坊を連れ去り、セーラは弟を追って魔王の国ゴブリンシティへと向かうのでした――
ゴブリンシティにでてくる人間はジェニファーとボウイと赤ん坊だけで、あとはみんなぬいぐるみと着ぐるみなんですが、ぜんぜん違和感なし。
音楽も素敵です、魔王メイクでボウイが歌ってくれます、かっこいーー!
……細身のボウイの白タイツは、やかん、まったく平気でござるよ(^^)
圧巻はガラスのボールの中の仮面舞踏会。
赤いルージュをひき白いドレスを着たセーラは、はっとするほど美しくおとなびて見えました。
美しく装った彼女を誘い、手を取ってワルツを踊るボウイ魔王のゾクゾクするような艶っぽさ。
流れるボウイの歌声もひたすら甘く、この数分間の幻想的なシーンだけでも十分値打ちがありますぞ。
弟を取り返し、天下の美男ボウイ魔王の求愛を何のためらいもなく蹴ったセーラちゃん……天晴れでありますが、あとで後悔せぇへんか(笑

「悪い奴ほどよく眠る」 (12月18日)

2006年06月19日 | 【や・ら・わ行】タイトル
1960年、東宝。
黒縁メガネをかけたサラリーマン三船敏郎、ワイシャツがはちきれそうな逞しさ。
ミフネもぼちぼち中年に差し掛かってきて、全体に肉厚な感じになってきまして、それがまたなかなかオヤジらしくてよろしいのです。
……土台に筋肉がないとダメなのであります、もちろん。
内容は汚職事件に絡む三船の復讐劇であります。
……でもなんか、すっと腑に落ちないのですよ。
なぜそこまでして、私生児が父親の仇を討ちたいのか?
いっそのこと現代劇にしないで時代物に置き換えれば、納得しやすかったかもしれない……。
足の悪い可憐な処女妻とか、すぐ猟銃を持ち出す妹思いのドラ息子とか、そもそも登場人物がだいぶ時代掛かってますからね。
ストーリーは起伏があって楽しめます、サスペンスありロマンスあり。
ミフネが香川京子をお姫さま抱っこするんですが、絵になりますなぁ。
見ていて照れくさくなることの多い邦画の抱擁シーン、なぜかミフネがやると派手で華やかであります。

「雷電」 (11月20日)

2006年06月19日 | 【や・ら・わ行】タイトル
1959年、新東宝。
江戸時代の名力士雷電為右衛門の青春恋物語。
宇津井健がお相撲さんやってます……。
宇津井青年は女に言い寄られると、ふてくされたような表情になるのがカワイイですな。
男にはニッコリいい笑顔を見せるんですが、女の前ではあまり笑いません。
……だからなんだ、でありますが。
宇津井青年の顔でも見てないとやってられんよ、この映画。
「待てよ、おきんちゃん!」
「太郎吉さんのばか、ばかっ」
ああ、デート場面の絵に描いたようなアホラシさ。
その恋仲になった村の娘は借金のかたに売られたり、お殿様の腰元になってお手がつきそうになったり、ヤクザの親分にさらわれたり、次から次へと貞操の危機に瀕します(^^;
そのたびに相撲部屋で修行中の宇津井青年のところに逃げ込んでくるんですな。
で、追手に囲まれてあわやというところで、いつも現れる神出鬼没の謎の浪人がおります。
その正体はお江戸の義賊「はやぶさ小僧」ということなんですが、ただそれだけでストーリーには何の関係もありません。
何度も突然現れては「太郎吉、立派な関取になるんだぞ!」と言い置いて去っていくスーパー浪人……わけわからん。

「ロボフレンド」 (09月05日)

2006年06月19日 | 【や・ら・わ行】タイトル
1987年、アメリカ。
両親の仕事の都合でアメリカから日本にやってきた少女に、試作品のロボットが遊び相手としてプレゼントされました。
すっかり仲良しになったふたりですが、ロボットを狙う悪者に追いかけられて――という子供向きの映画であります。
子役の少女が表情豊かでかわいかったです。
日本でちゃんとロケしていて、外国映画にしては真っ当な「日本」が描かれていました。
……日系人がウソを教えてるんでしょうかね、それとも外人の思い込みには説明してもムダなのか?
意味不明な漢字の張り紙とか、エキゾチックすぎる室内装飾とか、高下駄をはいたゲイシャガールの通行人とか、外国映画にはヘンな日本がでてきがち。
神山さんは警察署長役で登場。
ずっと出動服だったんですが、装備品や階級章が正確なのにはちょっとびっくり。
パトカーに「東京警察」と大書してあったのは……お遊びでしょうな(^^)
五十代後半ながら体格のいい神山さんに、出動服の白いマフラーや上衣のベルト、略帽がなんとまあよく似合うこと。
ああ、こんな素敵な署長のいる署で…以下略。
ともあれ神山さんの出動服姿が見られてたいへん価値がありました。

「ゆがんだ月」 (07月08日)

2006年06月19日 | 【や・ら・わ行】タイトル
トニーこと赤木圭一郎がちょい役で顔を出しているため、ビデオ化されていた作品であります。
主役は長門裕之なんですけどね。
感想をひとことで申しますと……へーんなの。
神戸のヤクザが東京に逃げて、工場で働く堅気の娘さんに惚れるも神戸から昔の女が追いかけてくる。
殺し屋も追いかけてくる。
この殺し屋が例によって神山さんなんですが、口笛を吹いたり決闘スタイルの撃ち合いを強要したりの変な殺し屋なのだ。
ちょっと表情が固めの演出なので、一瞬佐藤慶かと思った。
そういえば小学生やかんは、神山繁・佐藤慶・戸浦六宏の判別が曖昧でござったな。
かっこいいハンサムな悪役のおじさん、でひとくくり。
……なんせ、ガキでしたもんで。