醤油庫日誌

やかんの映画ドラマ感想文。

「座頭市血煙り街道」

2008年10月20日 | 【さ行】タイトル
1967年、大映。
勝新vs近衛十四郎。
かたや、くるくると独楽のように回転しながら、仕込み杖で切りまくる市。
こなた、ホームランバッターのように片手でブンブン長い刀を振り回す十四郎さま。
唐突に降りだす雪の中、両雄が対決するラストの殺陣の素晴らしさにただ瞠目。
ストーリーもスピード感があって退屈しませんでした。
冒頭、中尾ミエがいきなり歌いだしたときはちょっとどうしようかと思ったけどね。

「馬賊やくざ」
1968年、東映。
鶴田浩二主演。
満州を舞台に東映スターの面々が支那服で大暴れ。
なんで馬賊の頭目の娘がレストランの女給をしているのかわからんが、まあいいや。
近衛十四郎、背広に頬ひげで登場。
セリフの甲高い声でなんとか十四郎さまだとわかりました。
でも、刀を持たない十四郎さまなんて、コーヒーを入れないクリープでござるよ。
台湾ロケで画面もなんともいい雰囲気。
これがチャチなセットだとチャイナドレスのコスプレ映画になるところでした。

「フラガール」

2008年10月19日 | 【は行】タイトル
2006年。
泣かせるポイントがいくつか用意されているのは分かる。
それもわざとやってるんかと言いたくなるほど、あざとい定番エピソードが山盛り。
演出がどこか今風なコミック調なのがどうもなじめない。
大げさに怒鳴って、わあわあ泣いて、感動を誘おうという安直な姿勢に醒めてしまう。
昭和40年が舞台なら、その当時の日本らしいしみじみとした情感で泣かせてくれ。
正攻法で攻めるなら、泣きツボに持っていくウエットなセリフや所作の積み重ねが必要じゃないか?
泣かせるためのエピソードを並べたてて、しかも感情過多に演じられては、とてもじゃないが気持ちよく泣けない。
……現代人と昭和人はもはや違う人種でござるよ。
現代のノリの演出を、昭和の昔に嵌め込むのはよろしくない。
エンドロールを眺めながら、これでほんとに日本アカデミー賞総ナメなのか? と頭の中をクエスチョンマークが飛び交ったでござる。