醤油庫日誌

やかんの映画ドラマ感想文。

アラバマ物語

2018年12月23日 | 【あ行】タイトル
1962年 アメリカ
アメリカ南部のさびれた田舎町。
テラスにはロッキングチェア、庭の木には古タイヤのブランコ、時代はちょうど世界恐慌前夜。
そばかすだらけの活発な兄妹とその父の弁護士。
弁護士パパがグレゴリ―・ペック、男やもめで良いパパで野暮ったい黒縁眼鏡をかけているけど、なんかの拍子に眼鏡を取ると、すっごいハンサム……っておいおい何時の少女漫画w
いや別にそんな浮ついた映画ではないのです、グレゴリー・ペックの物静かで公正な父の背を見て育った幼い兄妹の郷愁に満ちた物語なのです。
ペックパパは「アティカス」と呼ばれています。
この母を亡くした一家はみな名前で呼び合ってるの。
いわゆる進歩的なリベラル一家なのかもしれぬ……が、アティカスは信念を持った硬骨漢だけどソフトな人当たりでどんな人にもきちんと向き合える真っ当な大人なんである。
当然、黒人差別は許さない。
「アティカスはニガーの弁護士なの?」
幼い娘が彼に問う。
彼は「ニガー」という差別語を使った娘を「そうだ。でも、そういう言い方をしてはいけないよ」と優しくしかししっかり目を見つめて諭す。
彼のおてんば娘は「男の子が言ったの。そいつがおまえのパパはニガーの弁護をしてるって言ったから、とびかかって殴ってやったの!」と喧嘩の理由を説明する。
アティカスはそれでも殴っちゃいけないんだよ、と勇敢な娘の頭を撫でて言い聞かす……もしこれが息子であっても彼はよく殴ってやったと言わないだろうね……アメリカンなパパだったら言いそうだけどw
アティカスは口うるさい老婦人には褒め殺しを実践して見せ、頭の悪い教師には面従腹背でいるようにと兄妹にアドバイスをする、妥協するやり方も学びなさいと。
信頼できるパパ、尊敬できるパパ、グレゴリー・ペック演じるアティカスがしみじみとかっこいいんだなぁ。
……なんでもアティカスは「映画の中の理想のアメリカ人」の第二位に選ばれてるそうです。
見直したぞアメリカ、ジョン・ウェインより上なんだ。

ヘラクレス

2018年12月13日 | 【は行】タイトル
2014年 アメリカ
お気楽な映画だ。
ムキムキの筋肉大男が無敵でしたというお話。
神話のヘラクレスの12の難行は実は傭兵集団チーム・ヘラクレス、ヘラクレスと仲間たちが成し遂げた……これはその後の冒険である、という設定。
怪力ヘラクレス、タガーの名手、早業弓使い、バーサーカー、予知能力のある仕込み槍使い、広報担当、と個性的な面々が楽しい。
ある日、ヘラクレスたちが仕事を終えて飲んだくれてるところに、王女がやってきて国を救ってほしいと依頼してきた……。
で、新兵を訓練して戦闘に出て、騙され捕らわれ大暴れ。
ゲーム・オブ・スローンズでも思ったけど、近頃の戦闘シーンは迫力あるなぁ。
馬がこけてもCGだと言い聞かせて心穏やかに見ていられる。
昔のアレは動物虐待だよ、見ていて怪我してないか心配で心配で。
とにかく人いっぱい馬いっぱい火矢がわんわんで臨場感があって、目を丸くして鑑賞してしまうのである。
ストーリーは単純明快、全く肩がこらない。
炎を踏んで行進したら火傷するぜと思いつつ見ていたら、ヘラクレスが素手で巨大女神像を押し倒しちゃったよ。
女神の頭部が転げ落ちて、悪人をぶっ潰すとか痛快なアクション満載。
で、お目当ては例によってルーファスさん。
あごひげびっしりでよく似合うんだけど、髭のあるなしで人相が変わるなぁ。
楽しそうに早口でしゃべるお姿はほとんど地かな?
インタビューでのお茶目なルーファスさんそのものだった。
物憂げな首相やおっかない上級大将が嘘みたい。

北北西に進路を取れ

2018年12月01日 | 【は行】タイトル
1959年 米
ケーリー・グラントとヒッチコックの組み合わせ。
ケーリーおじさま、余裕たっぷりにスパイをやっつけるの巻。
今回はミステリアスな26才独身金髪美女とのロマンスなり。
ケーリーおじさまのキスシーンは素敵なんだな、カッコよく決まっていてキレイなんである。
これなら家族で見てもまだ平気だわい。
劇中で、二回結婚して嫁に退屈な男だってんで逃げられた、と語っているが、原因はあのうるさそうなママンだと思うよ……。
姑問題で嫁さんが逃げるんだよ、きっと。
飛行機でトウモロコシ畑に農薬散布……レイチェル・カーソンの「沈黙の春」を連想する。
おじさまのスーツはえらいことになったはず。
当時は平気か、ちょっと前まで人間にDDTぶっかけてたんだものな。