醤油庫日誌

やかんの映画ドラマ感想文。

「巨人と玩具」

2008年03月23日 | 【か行】タイトル
1958年、大映。
製菓会社のキャラメル宣伝合戦をクールにドライにエネルギッシュに描く快作。
古臭いコマーシャルソングと野添ひとみの「キャハハ!」という品のない笑い声が、見終わっても脳天でグルグルと回ってます。
始めから終わりまで、悪酔いしそうなハイテンションに圧倒されっぱなしでした。
これの台本って普通の映画の倍は分厚いんじゃないの? すごい早口のセリフをのべつ幕なし誰かがしゃべってる。
それにしても、キャラメルの景品にポケットモンキーを送ってこられても困るだろうに……宇宙服一式が当たってもどうするんだそんなもん。
虚ろな目で景品の宇宙服を着込み、夜の繁華街を歩く川口浩……奇妙な味のラストシーンでした。

「喜劇 急行列車」

2008年03月11日 | 【か行】タイトル
1967年、東映。
寝台特急「さくら」の車掌長(渥美清)と乗客との交流を描く人情喜劇。
題名こそ「急行列車」なんですが、でてくるのはぜーんぶ特急。
東京駅の乗務員ロッカーからはじまって、車掌室、食堂車、個室寝台車……国鉄の全面協力により、特急「さくら」や「富士」の生き生きした姿が細部まで見られます。
事実、資料的価値が高いと鉄道専門誌で評価されていて、どちらかといえばその方面で名高い映画であります……。
現役で働く懐かしい客車たちや、長い貨車が行きかう活気のある広い構内は、まさに鉄道が国家の大動脈だったころの風景。
渥美清も若々しく動きに切れがあります。
こんなキビキビと歯切れよい名調子の車内アナウンスがあれば、さぞ長旅も楽しかろう……。
うーむ、東映もこんな作品を作っていたのでござるな。