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醤油庫日誌

やかんの映画ドラマ感想文。

ダウントン・アビー

2020年10月23日 | 【た行】タイトル
2019年 アメリカ・イギリス
イギリスの美しい郊外を道に沿って空撮するカメラ。
林を農場を抜けると、そこにはあのお屋敷が…! そして流れるお馴染みのテーマ曲。
ほーらきたきた、と言いたくなるような王道のファンサービス。
懐かしい人たちが、変わらぬ姿を見せてくれる。
スタイリストなメアリ、しっかり執事に収まっているトーマス、毒舌パットモアさん、すっかり生意気になったデイジー、そして千両役者ヴァイオレット様。
その他の人もちゃんと出てきて、子供たちも大きくなって、めでたくゴールインしたカップルも仲良く暮らしていて、ダウントンファンは嬉しくほっと胸をなでおろすのであります、申し分なく四方八方サービス満点。
テレビでは吹き替えで観ていたので、生の声にちょっと驚きました。
アンナってこんなキャピキャピなしゃべり方だったんだな、吹き替えではとても落ち着いた感じだったから意外。
さてストーリーは、王様がダウントンにやってくる……!さぁみんな大忙し。
いうたら悪いが、ファンフィクションにありそうな内容で、お屋敷のみんなが協力してイヤミな王室の大膳たちをやっつける…てのは安っぽくないか?
少々マンガちっくに感じたな。
チョンガーだったトーマスとトムにお相手を見つけてやり、相手の居る人はより円満に、どこからも文句が出そうもない、さすが公式という出来ですな。
……たしかにもうこれでは続編はいらんわ。

アリス王女が嫁いだハーウッド伯爵家は、あのエマ・ポートマン夫人の実家ですよっと。

トータル・リコール

2020年06月05日 | 【た行】タイトル
2012年 アメリカ
走って回転レシーブして飛び蹴りして銃乱射して飛び降りてジャンプしてぶらさがってよじ登って爆発物ドカンな映画。
考える必要なしなのか、考える暇がないのか。
ずっと「ちょっと待って、待って、今のどっちだっけ?」状態だった。
奥さん?レジスタンスの彼女?どっち?
どっちもスレンダーで黒髪で同系統のきつい顔立ちの美人で区別がつかん。
途中で同僚が出てきたけど、彼らも連邦側の工作員だったんだな?
でも、黒人の彼しかわからなかった。
大統領とレジスタンスのボスまで似た感じの白人男性だからややこしい。
別の記憶を埋め込まれた凄腕の諜報員……なんかそういう話よくあるよな。
いかにもな未来都市と未来スラム、埋め込みチップの携帯電話か……。
フォールと呼ぶ地球のマントルをぶち抜いた巨大エレベーター、17分でイギリス・オーストリアの移動ができるそうな……なんかすごいなw
子どもの頃よく見ていた「地球の図鑑」にはドロドロのオレンジに塗られたマントルが描いてあって、灼熱の溶岩があるイメージだったんだが。
往って帰って単線のピストン運用のフォール、オーストリアの労働人口全部をこの単線で運んでるそうだが、いったい何両編成なんだろ?
大統領のコロニー侵攻を阻止して労働者たちに独立の希望が……で活劇は幕を下ろすんだが、え?そうなの?な気分。
……雨の降る小汚い高層都市の住人はなんで避難のときも傘をさしているんだろう?
ハリソン・フォードが割り箸割ってうどんをすする「ブラック・レイン」ほどのカルチャーショックはなかった。

ドリームハウス

2020年02月14日 | 【た行】タイトル
2011年 アメリカ
念願のマイホームにウキウキ気分で帰宅したら、怪現象が。
実はマイホームは殺人事件のあった家だった。
しかも夫が妻と幼い子を殺したという……。
怪談からサイコホラー、そしてサスペンスへと変化するストーリー。
壁に銃弾の穴を見つけたり女の子のおもちゃが出て来たりのシャイニングの家買ったのかよ!な怖さから、主人公がシャイニング親父だったんか? な足元の崩れるような心細さへの転換が見事なのだ。
精神病院の監視カメラ映像を見せられたり、自分の頭に銃創があったり、周りの人がみな自分を違う名前で呼んだら……誰だって自分に自信がなくなるじゃないか。
自分は気が狂ってるのかも、と疑うのは一番怖いホラーかもしれない。
一時間半というダレない時間でピリッと話をまとめた上出来スリラー。
……主人公にしか見えない亡き妻子と会話ができたんだから、立派に怪談だともいえる。
侵入者と格闘した記憶がすっぽり抜け落ちたまんまの主人公ももどかしいが、加勢するつもりで旦那を撃ってしまった嫁が言っちゃ悪いが戦犯だなぁ。

高い城の男4

2019年11月22日 | 【た行】タイトル
2019年 アメリカ
妻子は中立地帯へ逃亡し、スミス元帥は絶体絶命の窮地に立つ。
そんな折、ジュリアナが向こうの世界にジャンプする、ジャンプした先でよりによって向こうの世界のスミス氏に出会う……こんなシチュエーションで始まった4、こんなん途中でやめられっか!
当然、連続視聴で次の日は廃人です。
徹夜が堪えたのもあるけど、スミス元帥に魂持っていかれちゃってね……。

高い城の男ファイナルはジョン・スミスと家族の物語なのだ。
数々の陥穽を見破っては冷徹に逆襲し敵を屠ってきた鋼鉄の男の唯一の弱点は、彼が熱愛する妻と子。
だがその家族の反乱に遭って、彼の鋼の精神もついに崩れ落ちてしまうのか……もう、そんなハラハラ感で心臓バクバクですよ。
とにかくスミス元帥を演じるルーファスさんの演技が圧巻。
感情を制御できる強い男の弱みや苦しみが、ふと揺らぐ視線や苦い口許で痛いほど伝わってくる。
なんてクールなんてストイック、なんて強くてかっこいいの、スミス元帥。
これはもうseason1からずっとなのだけど、ルーファスさんの一部の隙もないナチス軍服姿の美しさがたまんない。
それがseason4ではほとんどルーファスさん出ずっぱりなんである。
間違いなくスミス元帥が主役で、彼の苦悩、彼の決断、彼の戦い、文字通り目が離せない。

最初は吹き替えで画面のルーファスさんに集中し、二周目は字幕にしてルーファスさんの声を堪能しようと目論んでいたのに、今だ果たせず。
まだ、無理だ……まだスミス元帥の苦悩する眼差しが脳裏に焼き付いていて、最終話から一歩も進まず何も考えられない。
魂を持ってかれちゃうと、もう頭の中はその人のことでいっぱいになる。
死顔を見てしまうとダメなのだ、そこで思考が止まってしまうから。
火葬の薪の上のジョラーさんの霜の降りた死顔しかり、目を瞑って銃口を喉元に向けたスミス元帥しかり。
でも、スミス元帥がナチスを裏切ってアメリカ独立へと舵を切る、ニューヨークに再び星条旗がはためく……なんて安直なラストでなくて良かった。
破滅の予感を漂わせながら足早にストーリーは進み、あっという間に結末が……。
ぐっとSFよりの結末で、あのトンネルの向こうから来た人が何なのか、まだ理解できてません……。
いやもう、ラストなんてスミス元帥の死に様にショックを受けていて目の焦点すらあってなかったですよ……。
こっちで死んだはずの人が向こうの世界から戻ってきた?
わざわざナチス支配のアメリカに来たいアメリカ人なんているんかいな?
ああ、それにしても死を選ぶくらいなら、スミス元帥には向こうの世界に旅立ってほしかった。
向こうの世界で夫の失踪を身も世もなく嘆き悲しんでいるだろうヘレン夫人の元に行ってほしかった。
重傷を負った元帥を追跡するテロリストがジュリアナだったわけですが、彼女ってば情のかけらもないんかねぇ。
そもそも向こうのスミス氏が死んだのも自分のせいだって自覚ないんか。
事情は知ってるんだからスミス元帥を殺さずにトンネルの向こうに送ってしまえばいいじゃないか。
それでこの世界からナチスの長官は消えるんだし。
……彼女は頑固な女なんでたとえチャンスがあってもスミスの命を助けたりはしないでしょうな。
助ける殺すも自分の感情優先、何をやらかすのも気分次第な彼女ですが、消すべしと自己基準で判断したら必ず殺すヤバさがある。
あ、ジョーの首スパッにはよくやった!と喝采しましたけど。
それにスミス元帥も娘二人をこちらに残して自分だけがあちらで生きることをよしとしないかも……。
妻を失い、歩行に耐えられず自動小銃を捨てるほどの重傷を負って、彼は生を諦めてしまったのか。
ヘレンは死んでしまった、ナチの所業に、ナチの元帥である夫に絶望して。
彼は銃口を自分に向けて引き金を引いた。
目を瞑って拳銃を喉元に構えたスミス元帥の最期の表情が、つらい。
何度も死地を脱してきた彼が、こんなにあっさりと自殺するなんて。
……それにしても、善良なヘレンを篭絡して夫を売らせるとか考えることがえげつなすぎるぞ、ジュリアナ。

実をいうと、ジュリアナとスミス氏もしくはスミス元帥がデキちゃうんでないか、という悪い予感もあったんで外れてホッとしました。
ふたりで踊る予告編とかあったから、まさかの不倫が心配で……。
何があっても妻を愛しぬく誠実なジョンがいいんである、近寄んなw
season2でのスミス一家への接近はジョンへの接近でもあって、なんかこう緊張感があったもんなぁ。
あのあたりのスミスとジュリアナのファンフィクション、絶対あるぞと思いました、探さないけどw
彼女って思い付きで動く鉄砲玉だし、周囲を振り回して結果的に犠牲にしてしまう疫病神じゃん。
ジュリアナの男遍歴だって、アレはなんだかなぁ。
婚約者とジョーを死なせて殺してまたお次、だもんな。
しゃあしゃあとよその旦那様であるスミス氏を深夜に呼び出すなッつーの!
そういうところだぞ、ジュリアナw

ディープ・インパクト

2019年09月23日 | 【た行】タイトル
1998年 アメリカ
大彗星が小さい月を連れてやってくるのが「地球最後の日」。
金持ちたちはアルプスやアンデスの高山地帯に避難し、科学者たちが作ったロケットには暴徒の群れが殺到する、夜空には拳ほどの大きさになった二つの白い塊が不吉に輝く……ああ、怖かったなぁ。
なんせ世紀末は1999年7月に恐怖の大王が降ってくるはずだったから、半分マジに受け取ってましたね、小学生やかんは。
さて、ディープインパクト。
こういう非常時の大統領がモーガン・フリーマンであったアメリカの幸せ。
日本沈没の際に丹波首相だったのと同じぐらいラッキーだ。
しかしアメリカ、抽選で80万を地下都市に避難させる計画を公表したりして大丈夫なんか?
暴動につぐ暴動にならんか。
数百メートルの津波が来るなら、早くから内陸部に避難すればどうだ?
核ミサイル攻撃が失敗してからアパラチア山脈に殺到する人達、暢気すぎ。
山頂付近なんかそれこそ避難民で立錐の余地もないんじゃないかと思ったら無人なのはなんでだ。
山並みのような巨大津波のCGや水底に沈みゆく折れた自由の女神像、そのぐらいしか大災害を示唆する映像はないんですが、私的にはインパクトありました。
空一面に赤い流星雨が降り、たぶん燃え尽きない隕石も落ちてきて、これから地球規模山林火災になるんじゃないか、この小さいほうの彗星の落下だけで人類滅亡の危機ちゃうんかと悲観してしまうんだけどまあいいや。
メサイア号の乗組員、女性ニュースキャスター、天文少年、とそれぞれの人間模様も並行しますが天文少年の高校生夫婦の話がなんかキモかった。
冒頭の有名人はヤリ放題の話題でウエッ、避難権をちらつかせた結婚にウエッ、赤ん坊抱いた高校生夫婦の絵柄にウエッ。
キャスターの再婚親父は娘が自分の元に来たのがそんなに嬉しいかねぇ、本当なら生き残れた娘なのに。
職場にまでやってきて、子どもの頃の写真を押し付けてくるとかゾゾッとするわ。
やかんは最後の瞬間を両親とともに……なんて真っ平ごめんだなぁ。
一人で静かに死なせてくれw

ダーク・シティ

2018年10月27日 | 【た行】タイトル
1998年 アメリカ
ルーファスさんが主役。
60年代ぐらいのアメリカの都市、ボロいビルに映画館、安食堂に娼婦。
薄暗い照明、いつも真夜中の街、たしかにダークシティだ。
安ホテルのバスタブで目覚めた男、うおっ!全裸のルーファスさんである。
のっけから動揺してしまうw
30歳のルーファスさん、お顔も全身も美しい……。
記憶喪失の彼は真夜中の町をさまよい、謎の男たちに追いかけられ、刑事にお前は連続殺人犯だと告げられる。
しかも殺した相手は全員娼婦だと聞かされ、愕然とするルーファスさん。
12時になると時計の止まる町、そして住人達も意識を失ってしまう町。
この町は一体どうなってしまったのだ?
ルーファスさんは手がかりのシェルシティという浜辺の観光絵葉書だけを頼りに街を出ようとするが、地下鉄は繋がらず、道路は途中で水没し、どうしても街を抜けられない……。
記憶を操る宇宙人に街は乗っ取られているらしい……。
悪夢のような世界で、若きルーファスさんは無表情に大きな綺麗な目を見開いて、ひたすらにシェルシティを目指す。
光瀬龍のSF短編のような、暗い無機質な気の狂いそうなシチュエーション。
彼の妻、といっても勝手に記憶を操作されているのでほんとに妻かどうかはわからないのだけど、彼の妻にジェニファー・コネリー。
ラビリンスでデヴィット・ボウイの魔王を振ったあの美少女が大人になっとる!
ボウイを振ってルーファスさんゲットとは、なんてうらやましいジェニファーちゃんw
街は宇宙に浮かぶ人工の浮島だった。
宇宙人を倒した彼は、宇宙人たちに変わってこの世界の支配者になった。
手始めに彼は太陽を創る──光あれ!とばかりにずっと真夜中だった街に朝日が差す。
彼は神になったのだ。
そして彼は海と浜辺を創る──桟橋に波が寄せるシェルビーチ。
この海辺の光景が美しくて。
いままでずっとダークシティに閉じ込められていたから、朝日を浴びて茜色に色づいた海辺がなんとも目に染みる。
桟橋に佇むジェニファーに神になった彼が歩み寄る……謎は謎のままだがこれでよし。
ちょっくらチープだが雰囲気のある気の利いた一篇ではなかろうか。
もうね、若きルーファスさんにくぎ付けなの。
お目目ぱっちりで、お肌もムチムチして若々しくて、もうとてもきれいなの。
若きウィリアム・ラムに出会えたような気がしてうっとりした。

高い城の男 シーズン3

2018年10月12日 | 【た行】タイトル
2018年
ルーファスさんの軍服、シャツ姿を堪能。
朝食をパクパク食べて「おいしいよ」だなんて……きゃーー。
またもや息子を亡くした悲しい父をルーファスさんが演じています。
息子の遺品に顔を埋めてこっそり泣いているんですよ。
奥さんを家族をこんなに愛している良き夫……すぐ先回りして脅迫しにいく困った夫ですけどねw
奥さんの手をきゅっと握りしめて励ましたり、神経を病んだ妻がパーティーで立ちすくむとすかさず「愛してるよ」と声を掛けたり。
スミス大将の冷徹だけど愛情深い控えめな仕草や表情がいいんだな。
彼は怖い目をしてるけど、決して声を荒げない。
もうためらいもなく、プライベートでも人を殺すけどw
え?え?ヘレン奥方、精神科医と??
なんでよ、横にルーファスさんがいるのに何考えてんだよ?
女王陛下も惚れるルーファスさんをほったらかして、ありえん!
ドクターいい度胸だなバレたら速攻でスミス大将に消されるぜ、と思ったらさっそく逃げてたw

SF色が強くなってきて、少々頭がついていかない。
行った先の世界に自分が生存していたら肉汁になっちゃうってこと?
田上大臣は両方生存してるんじゃなかったっけ? わからん。
ジュリアナは銃弾を受けた状態で、異世界に移動したってこと?
ビキニ実験までは生きていたけど、もう死んでるって妹が言っていたし肉汁にならないってことか?
……それより、やはりスミス元帥の身の上が心配でたまらぬ。

ダウントン・アビー

2018年10月05日 | 【た行】タイトル
英国貴族物は大好物なので、リアルタイムで毎週楽しく見ていました。
アマゾンプライムにあったので、第二シーズンを再見。
なんで第二シーズンかというと、ジョラーさん狙いですよ当然。
ゲースロと同じ2011年に、サー・リチャード・カーライルとして颯爽と登場していたとは。
当時もおー!ストライク!と思ったんだが、なんせイヤな男として描かれていたんで、あまり気にしていなかった。
ほれ、メアリと婚約する成金新聞社主ですよ、頭頂の薄いいつも不機嫌な……。
あー、やっぱりハンサムだ、ツイードの似合うオジサマだ、さすがメアリは面食いだw
で、サー・リチャードに肩入れして見てみると……これはメアリがひどいわ。
婚約しといて、元カレに気持ちが残っているのバレバレで、そりゃヤキモキして彼が強引な手段に出るのも無理もない。
紳士的寛容さが足りない、脅迫する卑劣な人間、といえば確かにそうだけど、伯爵家の家格風をビュンビュン吹かせる一家にひとり乗り込んで、不実なメアリを掴んでおこうとするには……彼はそうやってシビアな世界で戦ってのし上がった人間なんであって……それまでのやり方で彼なりに戦ったんで……でも今回は失敗だった……。
メアリは結局彼を利用したんだよな。
自分から取引を申し込んだので、脅されて婚約したんじゃないだろう?
マシューが諦めきれないからリチャードと結婚したくないんだろう?
そこをあいまいにして、サー・リチャードを悪者にして、家族で寄ってたかって追い出したメアリの態度はいただけぬ。
煮え切らぬ態度のまま、脅されてただの、本当は結婚したくないの、なんて周囲に言いつけて卑怯なり。
やっぱりマシューにするわごめんなさい、と自分でさっさと告げんかい。
ぐずぐず破局を引き延ばし、一方でマシューと親密にし、二人の関係を悪化させるだけさせて、彼がキレそうになったところで周囲に助けを求める。
うわー、こんな事をナチュラルにやっちゃうから怖いんだな、メアリは。
そりゃもちろん、忍耐強くない懐が深くない紳士的でないサー・リチャードがメアリの夫選別試験に落ちたからですよ。
それもメアリだけでなく、親族や使用人からの「お嬢様の婿」試験にも落ちてしまったし。
だからといって、恋敵に殴られ父親に軽蔑されて退場なんて気の毒すぎる。
親族郎党全員がメアリの婚約者乗り換えに賛同したんである。
サー・リチャードを悪者にしておけば、伯爵一家的にはすべて話は丸く収まるんである……。

サー・リチャードはメアリを本気で愛していたんだと思うよ。
愛情に不器用で臆病で何時だって戦闘態勢をとってしまうサー・リチャード。
支配欲が強くて高圧的、どうもモラ夫物件なんだが、メアリのつれない態度で追い込んだ気が。
声を荒げる、露骨に不機嫌になる、これさえなければなぁ。
使用人に対する容赦のない態度は、さんざん人に裏切られてきて人間不信になってるんだろうね。
伯爵家に対して卑屈になるまいという気持ちと成功者の自負心が、精いっぱいの折り合いをつけたのが、あの苦虫を噛み潰したような顔じゃなかったのか。
メアリのあの態度では笑う気持ちになれないだろうな。
なのに、メアリから離れられないのはもちろん伯爵家の家名欲しさもあるだろうけど、メアリを本気で好きだったとしか……。
高慢な美貌で聡明な伯爵令嬢、だけど過去に汚点のある令嬢にかえって魅力を感じたのかも。
一方メアリは男の騎士道精神を利用して、マシューをもう一度捕まえる手段にしたのであるw
悪い男に脅迫されてるか弱い女性になってみせたのであるw
これをやられると男はホイホイのってくるもんなーw
もう相談女に近いノリであるw
哀れサー・リチャード、殴られ損。
お城まで買って大金かけてリフォームしたのに殴られてポイ。
高値で売るから心配ないと彼らしい言い方で去っていったけど、ズタボロだよな……。
さすがにメアリも気が咎めたのかごめんなさいを言ったけど。
去り行く彼が帽子を被りながら、ダウントンを見上げる──ああこの哀愁のまなざしが素敵なんである、やっぱりジョラーさんだー!

大地震

2018年08月29日 | 【た行】タイトル
1974年 アメリカ
チャールトン・ヘストン、嫁さんと大喧嘩した勢いで意中の若きシングルマザーとついにベッドイン。
そしてこのまま単身赴任して、角を出した妻から逃げて、赴任先にシングルマザー母子を呼び寄せて、ラブラブ生活を愉しもうかと目論んでいるところに、大地震が来るのである。
バカモン、睡眠薬自殺を企てるほど苦しんでいる妻に向き合わず、手近な若い女に逃げるとはけしからぬぞ。
それでも彼はまず、社長でもある恩義ある嫁の父を助けに、会社ビルに戻るのであった。
ガラスが降る、壁が崩れる、天井が落ちる、エレベーターが落下する。
高層ビルと災害の取り合わせはいつだってデンジャラス。
たいてい消火ホースにぶら下がって避難することになるんだが、これがまた最後に切れるんだな。
そしてチャールトン・ヘストン、身体を張って義父を助けた後、カノジョを探しに行くんである、意識不明の義父を抱えた嫁さんをほっぽって。
「デニス(シンママの名前)を探しに行く!」
と嫁さんに宣言して。
これはヒドい、踏んだり蹴ったりの嫁エバ・ガードナーに同情する。
余震が来て、残ったビルが次々倒れ、地下に人々が閉じ込められてしまう。
チャールトン・ヘストンはこのビルの設計者だったんで、排水溝から入って地下に閉じ込められた人々とカノジョを助けに行くんである。
地下にはカノジョと一緒に失意の嫁もおりました……で、嫁の目の前で不倫カップルがヒシと抱き合う……極限状態でそんな光景を見るはめになるエバ・ガードナーがまったく気の毒すぎる。
排水溝から地上に出る梯子に人々が殺到する。
「女性が先だ!」
とチャールトン・ヘストン、カノジョを登らせる。
嫁さんにも手を貸して梯子に上らせようとするが、嫁さんは彼の手を「サワンナ!」とばかりに振り払って自力で梯子を上っていく。
そこへ決壊したダムの水が怒涛のように排水溝に押し寄せて、パニックになった人々が我先に梯子に飛びつき、嫁は梯子から落とされて濁流にのまれてしまう。
切れ切れの悲鳴とともに浮き沈みしながら流されていく嫁。
地表には無事脱出できたカノジョが彼を待っている。
流れていく嫁とカノジョを交互に眺め惑乱する彼の表情……。
カノジョの顔を絶望的な表情で見て、彼は妻が流された濁流に飛び込む。
一度は妻を確保するが、勢いを増した流れに妻は飲み込まれてしまい……。
とうとう彼は再び地表にその姿を見せることはなかった。
涙を流しながら、カノジョはふらふらと瓦礫の中を歩いていくのだった。
かろうじて、後味が少しマシになった。
嫁さん水死でカノジョと再婚、社長の義父と邪魔な嫁が死んで会社と遺産はそっくり彼のもの……そんな考えも浮かんだはず。
どういう心境で妻を救いに濁流に飛び込んだのかわからないけど、ここで妻を見捨てては、当時の観客の正義感を逆なでしたに違いない。
今なら妻が死んで愛し合うふたりが抱き合ってハッピーエンドになるんかな?
今のアメリカの倫理観はどうなのか知らんけど。
……大地震より不倫の行く末のほうが気になる妙な映画でした。

「たそがれ酒場」

2017年12月26日 | 【た行】タイトル
1955年、新東宝。
木造の貧相な店内に夕日が差している。
ガタガタしそうな木のテーブルに粗末な丸椅子、小さなステージにピアノ、壁に貼られた煤けた品書き――そんな酒場のワンセットだけで繰り広げられる群像劇。
控え目なカメラが遠慮がちに映し出す、ある酒場の一日のストーリーです。
わけありの老画家、同じくわけありの老ピアニスト、若い歌手、苦労人のマネージャー……いくつもの人生のワンショットがちりばめられています。
くどくどしい説明も過剰な涙もなく、ストイックなまでに淡々と個々の物語は流れていきます。
流行歌のレコードがかかり、歌手が客のリクエストに応えてソーラン節を歌う。
軍歌や労働歌……世相を映すいろんな曲が流れていました。
……いつから映画は説明過剰になったのでしょうか?

デイアフタートゥモロー

2017年06月07日 | 【た行】タイトル
2004年
高潮のみるみる盛り上がる水面、野放図に暴れまわる竜巻、これは怖い。大災害にはなすすべもない。
しかしこの映画のメインは氷河期の急襲、であって。
冒頭の棚氷の亀裂を氷のサンプル土管を抱えて飛び越える仕事バカ学者……という主人公の登場シーンになにやらB級の臭いが。
不安は的中、ストーリーとしてはなんやこれ、でした。
この学者が氷河期クラスの寒波に襲われたニューヨークに、高校生の息子ちゃんがいるから心配!ってんでわざわざお迎えに行くの。
居ても立っても居られない気持ちはわかるが、パパが行ってもどうなるもんでなし。
台風の目に向かって徒歩で進むって、しかもマイナス100℃なんでしょ?
八甲田山どころじゃないでしょ。
案の定パパは同行者を死なせるわ、ケガさせるわ、もう大変。
一方息子ちゃんはお友達と洪水寒波敗血症オオカミと冒険いっぱい。
オオカミは余計だろ、いくらなんでも。
息子ちゃんは図書館の本を暖炉でガンガン燃やして、マイナス100℃を無事乗り切ったのでした。
パパもようやくたどり着き感動の再会、パパは約束を守った……それよりパパ、ドア閉めてー!開けっ放ししないで!
台風って、台風の目が過ぎた後の吹き返しのほうが怖いんだが、この巨大台風は吹き返しがないようでした、いきなり台風一過。
でも雪と氷で南極状態になった都市の上に輝く雲と冷たそうな青空がとても美しい映像で見ほれました。
結局、氷河期になったのならなかったの?テレビ版なのでようわからん。

「田園に死す」

2010年03月06日 | 【た行】タイトル
1974年、ATG
わけわからんのも、ここまでいくと立派。
「昭和十八年の仏様を降ろして下さーい!」
畳を上げたら恐山。
うん、いいぞ、いいぞ。
おどろおどろしいイメージ、いかがわしい雰囲気。
恐山に柱時計に白塗りメイクに前衛舞踏、陰気な村に見せ物小屋の奇怪な男女。
ひたすら病的なイメージの羅列にいいかげんダレたところで、場面転換して現実に。
ここでやっと菅貫太郎登場!
彼が見たかったんです、やかんは。
うーん、男前。
目鼻立ちのすんなり整った、柔和な和風の男前。
声もね、高いんだけど低い、不思議な声でゾクゾクします。
この声で寺山修司の不気味な詩を朗読。
「新しき仏壇買いに行きしまま 行方不明のおとうとと鳥」
「たった一つの嫁入道具の仏壇を 義眼のうつるまで磨くなり」
……怖。
将棋を指す手つきがきれいだなぁとか、細身だけど肩のラインが男っぽくてよいとか、男前菅さんをたっぷり鑑賞できて大満足です。
いつもは白塗り公家とかバカ殿とかせっかくの男前が台無しな役ばかりですもん。
びっくりしたのはエンドロールにあった『意匠:花輪和一』の文字。
これには納得というか、アストラル体に正中線でござる。

「ダイナマイトどんどん」

2010年01月04日 | 【た行】タイトル
1978年、大映制作、東映配給。
ヤクザが野球で勝負する。
その設定だけで喜劇チックだが、岡本喜八監督らしい戦争の影をチラつかせながらも、パワフルな盛り上がりでしっかりと笑わせる。
「にんきょぉぉぉ!」とだけ叫ぶ嵐寛寿郎の大親分が妙に可笑しい。
水をかぶって身を清め、長ドスを用意し、タンスの底から新しい着物を引っ張り出す文太兄ぃ。
畳紙からナフタリンがいっぱいバラバラと落ちる。
「……おめぇ、ナフタリンの臭いがプンプンするぞ」
と、殴りこみ前に言われてしまう文太兄ぃがなんか可笑しい。
元プロ野球選手の傷痍軍人を演じたフランキー堺の喜劇人らしいキレの良さが随所に光る。
肝心の試合は当然死球と走塁妨害と乱闘の応酬になるわけだが――野球とヤクザをチャカしたドタバタに終わらない、球場全体を巻き込む怒涛の暴動騒ぎに発展していく流れはまさに喜劇の王道。
二時間半の長尺物だが、文太vs北大路欣也の男の勝負もバッチリと見せる中身の濃い映画。

「タンポポ」

2007年12月25日 | 【た行】タイトル
1985年、東宝。
いくつもの小話を平行させるのは必要か?
大学祭で映研の作品を見せられたときの印象を思い出しました。
わけわかんないよ、なんのこっちゃ……みたいな。
はやらないラーメン屋を徹底指導して、行列の出来る店に変身させる――ラーメンだけに的を絞ったストレート勝負のほうが面白いんじゃないかなぁ。
少なくとも小難しい映画が苦手なやかんには、そのほうがありがたいです。
ついでにいって、なんで伊丹監督は悪趣味なエロシーンを挿みたがるのだろう?
見ていて居心地が悪いことこの上なし。

「天皇・皇后と日清戦争」

2007年08月24日 | 【た行】タイトル
1958年、新東宝。
明治天皇にアラカン、昭憲皇太后に高倉みゆき。
「一太郎やーい」などの戦前教科書の軍国美談と、天皇皇后の御製のお歌をベースにした紙芝居的映画。
――明治天皇は戦地の兵士の苦労を思われて、真冬にも火鉢をお使いになりませんでした。
――木口小平は死んでもラッパを口から離しませんでした。
そんなエピソードが「婦人従軍歌」や「雪の進軍」などのゆるーい調子の明治軍歌をバックに次々と並べられていきます。
もはや前前世紀の戦争。
カラーの画面もどことなく色がくすみ、ほんのりセピア調。
演出も控えめで、内容が感傷的であっても押さえが効いていて見苦しくない。
そしてなにより明治軍歌がたっぷり聴けるのがいい。
戦争映画でリラックスなどというとバチが当たりそうなんですが、懐古情緒に浸れる結構な映画です。