醤油庫日誌

やかんの映画ドラマ感想文。

ディープ・インパクト

2019年09月23日 | 【た行】タイトル
1998年 アメリカ
大彗星が小さい月を連れてやってくるのが「地球最後の日」。
金持ちたちはアルプスやアンデスの高山地帯に避難し、科学者たちが作ったロケットには暴徒の群れが殺到する、夜空には拳ほどの大きさになった二つの白い塊が不吉に輝く……ああ、怖かったなぁ。
なんせ世紀末は1999年7月に恐怖の大王が降ってくるはずだったから、半分マジに受け取ってましたね、小学生やかんは。
さて、ディープインパクト。
こういう非常時の大統領がモーガン・フリーマンであったアメリカの幸せ。
日本沈没の際に丹波首相だったのと同じぐらいラッキーだ。
しかしアメリカ、抽選で80万を地下都市に避難させる計画を公表したりして大丈夫なんか?
暴動につぐ暴動にならんか。
数百メートルの津波が来るなら、早くから内陸部に避難すればどうだ?
核ミサイル攻撃が失敗してからアパラチア山脈に殺到する人達、暢気すぎ。
山頂付近なんかそれこそ避難民で立錐の余地もないんじゃないかと思ったら無人なのはなんでだ。
山並みのような巨大津波のCGや水底に沈みゆく折れた自由の女神像、そのぐらいしか大災害を示唆する映像はないんですが、私的にはインパクトありました。
空一面に赤い流星雨が降り、たぶん燃え尽きない隕石も落ちてきて、これから地球規模山林火災になるんじゃないか、この小さいほうの彗星の落下だけで人類滅亡の危機ちゃうんかと悲観してしまうんだけどまあいいや。
メサイア号の乗組員、女性ニュースキャスター、天文少年、とそれぞれの人間模様も並行しますが天文少年の高校生夫婦の話がなんかキモかった。
冒頭の有名人はヤリ放題の話題でウエッ、避難権をちらつかせた結婚にウエッ、赤ん坊抱いた高校生夫婦の絵柄にウエッ。
キャスターの再婚親父は娘が自分の元に来たのがそんなに嬉しいかねぇ、本当なら生き残れた娘なのに。
職場にまでやってきて、子どもの頃の写真を押し付けてくるとかゾゾッとするわ。
やかんは最後の瞬間を両親とともに……なんて真っ平ごめんだなぁ。
一人で静かに死なせてくれw

悲しみの皮

2019年09月13日 | 【か行】タイトル
2010年 フランス
貧乏で孤独な青年が希望をすべて打ち砕かれて、自殺用の拳銃を求めに古道具屋に入る。
そこで出会った不思議な店主から「悲しみの皮」という魔法の品を譲られる。
悲しみの皮は彼の願いを何でも聞き届けてくれる。
ただこの皮は願いを叶えるたびに縮んでゆき、最後には彼の命を奪うという……いわゆる悪魔の品である。
失意のどん底で自殺しようとしていた青年にしてみれば、望みの叶う代わりに命を取られると言われて、臆するはずもない。
皮は彼を金持ちに、文壇の寵児に、美女の愛人にしてくれる。
紆余曲折の末に真実の愛を見つけたときには、もう彼の余命はなくコインほどの大きさに縮んだ皮は彼の肌に食い込んだ……。
おとぎ話テイストの物語を1830年のパリの町を舞台に、貴族の館やサロンの贅沢な調度品、白いかつらを被った召使たち、華奢な馬車に着飾った紳士淑女……ああ、目の保養。
フランスとはいえ、ちょうどメル卿がグレイ内閣の内務大臣になった時分の風俗なので、いろいろとイメージが膨らむのだ。
おとぎ話に相応しく、美しい青年に美しい女でたいへん結構。
主人公の欲しかったものは美貌の伯爵夫人の愛ではなく、ずっと愛してくれていた下宿屋の娘との未来だった。
真実の愛に気がついたときに、魔法の皮を使う直前に返してもらえるのかな? と思ったんだが、あれま、そのまま死んじゃった。
それも死の直前に瀕死の状態で事に及び、腹上いや腹下死とは……最後にやりたい、というのが彼のラストオーダーだったということなんでしょうか?
なんというひでぇ男、いや彼女もずっと恋していた彼と最後に結ばれたかったようなので、これでええんか?
命を賭けた恋、といっても下でカクッ…と息絶えられたら、下半身丸出しの男の死体の始末をどーすんのか、いろいろと厄介だが、恋の情熱の前にはそんなこと考えないのだろうかな、たぶん。
初体験が瀕死の男にまたがって……か(白目)
そして葬儀も終わり、ひとりで墓参りに来た喪服の彼女の美しさ。
花束を手向け、墓の前に佇む彼女にキスしようとしても、死んでしまった彼にはもはや触れることもできず霧のように消えていく……いやなかなか不思議な味の物語でした。
字幕はほぼ滅茶苦茶、自動翻訳よりマシ程度なんで、ちゃんと中身がわかってるかどうか自信がないんですが、雰囲気だけで十分かも。

ショーシャンクの空に

2019年09月04日 | 【さ行】タイトル
1994年 アメリカ
スティーブン・キング原作の刑務所物と聞いていたので、私の頭にはなぜか「グリーン・マイル」があって、ネズミさんでハラハラするのヤだなぁ…と思いながら見始めました。
老受刑者のポケットからカラスの雛がのぞいた時、ネズミをカラスに変えた?と思ったぐらいで。
あれ? たしか超能力の話だったよなベホイミできる男の……なんて考えながら見ていると、チェスの話、鉱物学の話、帳簿の改竄、たしかに読んだ覚えがあるんだがなんか話が違う。
違うはずです、まるっきり違う話だ。
映画スターのポスターもようやく三枚目になって、あ! あれだ! と思い当たったんだから私の記憶もいい加減なもんです。
……アメリカの刑務所は地獄なんだか緩いんだかわかんねぇな。
R・レッドフォードの「ブルベイカー」でアメリカ刑務所が暴力と不正の蔓延る地獄であり、かつ地獄の沙汰も金次第と学んだわけですが(ブルベイカーは実話がベース)やっぱり地獄。
スティーブン・キングってたいてい、ギリギリまで読者の神経を痛めつけて最後にバッと解放するからラストはスッキリするけどクタクタになるじゃないですか。
この映画も最後の解放感は素晴らしいけど、途中が重いのだ。
囚人といえども暴力や虐待に晒されているのを見るのは気が滅入る。
ただ暴力はあっても、この話には仲間内の裏切りはない。
真の友情さえも芽生えるヒューマニズムが常にある。
そして最後に大逆転が、天国のような晴れ晴れとしたジワタネホの海が待受ける。
毎度ながらモーガン・フリーマンはいい役をやるなぁ。
「愚かな若い自分に言い聞かせてやりたい……」
あんなしみじみとした述懐を聞いて、心を打たれない議員はいないよな。