醤油庫日誌

やかんの映画ドラマ感想文。

「燃える秋」

2006年10月24日 | 【ま行】タイトル
1978年、東宝。
ヒロインに真野響子。
彼女には年の離れた愛人がいます。
しかし、その金持ちの美術品収集家(佐分利信)にとっては、彼女も生きた美しいコレクションにすぎず、ヒロインは心を病み自殺未遂までしてしまいます。
傷心の彼女が旅先で出会った男が北大路欣也。
粋人佐分利老人か熱血北大路か、どちらをとるかヒロインはさんざん悩みます……というよりガッチリ二股かけてます。
電話一本で夜中でも名古屋から車ですっ飛ばしてくる北大路にほだされながらも、エッチの道のお師匠である老人の誘惑にフラフラと乗ってしまうヒロインなのであります。
原作は五木寛之――自己陶酔ヒロインになるほどと納得。
佐分利信、声が渋かったです。
真野響子のヌードを前にしてボソボソボソ……と半ば笑いを含んだしわがれ声で囁く佐分利信がなんともセクシー。
中盤のヤマ、イランロケ――すっかりイラン観光案内になってますので、ここだけ別の映画みたいです。
ペルセポリスの遺跡に佇む真野響子、絵にはなるけど意味はナシ。
砂漠にフッと現れる佐分利信の幻影がこれまた素敵だけど、なにが言いたいのかよくわからん。
都合が悪くなると高熱を出してパタリと倒れる虚弱ヒロインにややゲンナリ。
ラストのフェミニズムっぽいヒロインの主張にも白けました。
「女には愛される幸せよりも、結婚する幸せよりも、もっと大切なものがあると思います――」
何をいまさら。

現在録画中のCS番組

2006年10月23日 | 【た行】タイトル
「翔ぶが如く」
西郷が野に下り、いよいよ大詰め西南戦争へ。
征韓論政変では緊迫した場面が続き、手に汗を握りました。
岩倉公の腹芸とちゃらんぽらんさに絶句。
大河ドラマですが、脚本といい演出といい、ちょっと腐った方向を狙って……るわけないですよね?
「GO!GOスカイヤー」
一匹狼パイロットに沖雅也、社長に神山繁。
毎回予告編で「ゴー! スカイヤー!」と特撮モノのノリで沖雅也が決めてくれます。
通して見るのはかなり苦痛ですが、神山さんの登場シーンが結構あるのでとりあえず録画。
「巨人の星」
ただいま大リーグボール一号が復活したところ。
伴、男らしくていいヤツだなぁ……。
私が明子さんだったら伴を選ぶけどなぁ……でも伴のあの親父さんが舅というのはキツイかも。
「独眼竜政宗」
遠藤基信に神山さん。
おヒゲがダンディな伊達家の筆頭家老でござる。
13話で殉死するまでを録画。
「薔薇海峡」
宇津井市長はその後殺人容疑をかけられて逃亡、警察に追われる身に。
愛娘(斉藤とも子)は事故で視力を失い、失明の危機に瀕してます。
ますますハイテンションな宇津井パパと反則技続出の怒涛の展開に目が離せません。

蜘蛛巣城

2006年10月13日 | 【か行】タイトル
1967年、東宝。
シェークスピアのマクベスを戦国時代に置き換えた翻案物。
バンクォーの役どころの千秋実が亡霊になって宴の席に出てくる場面――立てひざをついたざんばら髪の落武者姿の不気味なこと……。
ぼわーとした光の加減といい、うつろな目といい、斬られた姿のままニマァと笑った千秋実怖すぎ。
矢を射掛けられてハリネズミ状態になるミフネよりも、狂ってしまう奥方山本五十鈴よりも、千秋実の亡霊が一番強烈。
自分では忘れていましたが、小さいときに見ていますよ、この映画。
以前から千秋実のあの愛嬌のある笑顔がどういうわけか怖かったんですが、これでやっとわけがわかりました、原因はこれだ。
「七人の侍」の平八にしろ、「隠し砦の三悪人」の太平にしろ、千秋さんがニーッと笑うとなんか不吉な気がしたのは――この映画の亡霊に扮した千秋さんの恐ろしい姿が刷り込まれていたようです。
だいたい「マクベス」というお話が不吉で怖い物語であります。
これも小学生のときですが、テレビの劇場中継で「マクベス」を見たことあり。
やっぱりバンクォーの亡霊がおぞましかったですね、こう、下からライトを浴びて血まみれの武将が腕をだらーんと下げて白目を剥いて座っている……。
ポランスキー監督の「マクベス」も観終わってしばらく落ち込みました、あまりにも中世戦国残虐シーン満載で。
「マクベス」も怖いですが「落武者」というキーワードも怖いです。
これは原因というか、刷り込み元の映像に心当たりがあります。
野村版「八つ墓村」の尼子の落武者……冒頭の惨殺シーンも怖かったですが、炎上する屋敷を指差して笑う怨霊(田中邦衛)の表情がプチトラウマ。
どうも血まみれざんばら髪の鎧武者が苦手なのであります。