醤油庫日誌

やかんの映画ドラマ感想文。

「日本海大海戦 海ゆかば」

2009年12月23日 | 【な行】タイトル
1983年、東映。
東映日露戦争シリーズ第二弾。
「二百三高地」が思いのほか良かったので、ちょっと期待。
でも沖田弘之と三原順子だからなー、とある程度覚悟した上で鑑賞。
最初の半時間はひたすら我慢。
沖田くんと酌婦の痴話げんかが延々……。
三原順子って品がないです、いや役柄上あっては困るんですが、眉間にしわ寄せて泣き喚くつっぱり姉ちゃんにもううんざり。
三船敏郎が明治天皇→東郷元帥
丹波哲郎が児玉総参謀長→山本権兵衛
という前作からのシフトチェンジがあってちょい混乱しますが、この二人が顔を並べるだけで、大作の雰囲気がしてきて嬉しくなりますね。
敵艦見ゆからZ旗までの流れ、やっぱりワクワクします。
合戦描写にも三笠の甲板にも、ワクワクします。
でもラストのトランペット挿話で思いっきりひしゃげました。
……ははは。
もう笑うしかないでござる。
で、脚本が投げ出したような、監督もサジを投げたような、あっけない終わり方ですが、これがかえって味があったりして。
だらだら名場面流したり、やたらエモーショナルな歌を被せられるより、よっぽどいいでござる。

「坂の上の雲」続き

2009年12月14日 | 【さ行】タイトル
第三回を見て。
《浪速》も《筑紫》もよくできてますね、すごいです。
CGも宮島沖に浮かぶ《定遠》の図なんてのが見られて幸せです。
キラキラ輝く外海、眩しく照り映える練習艦の甲板、いいですねぇ……。
だが、しかし……ドラマ部分はひたすらクドイ。
「――が痒うてたまらん」
の実現にはビックリしましたが、そこでやめておけばいいのに。
トンボ蝶々うんぬんまで歌い踊らせるのは蛇足でござろう。
真之と東郷さんのエピソードも不要、そんなのいったい何の意味が?
加藤剛を使っても一向に冴えない政治部分、もうちょっとなんとかならんか。
独身男に色目を使うキャピキャピ律さんはいらん。
路上で「生きて帰ってきて!」と叫ぶ多美さんもいらん。
豆もオナラもすでに食傷気味であります。

「坂の上の雲」

2009年12月09日 | 【さ行】タイトル
2009年、NHKドラマ。
近年の映画ドラマは苦手でござる。
なんかもういろいろと合わないのでござるよ……。
しかしながら「坂の上の雲」は司馬作品でも大好きな作品なわけでして。
ひょっとしたら「花神」のような神作品になるかも、という淡い期待をもってこわごわチャンネルを合わせて見たんですが――
――背景に流れるまったりとした旋律。
「××××っ」
「××××!」
目が潤み、涙がきらりと光る。
俳優、顔を見合わせ、泣き笑い。
――音楽、感動的に盛り上がる。
こんなノリが何連発も続きます。
朝の連続ドラマかい。
演出過剰、間合いがクドい、音楽に頼りすぎ。
もっとサラサラと淡々と進めてほしいです。
それとお律さんが相当鼻につきます……明治の士族女性を無理に現代化しなくてもな。
オリジナルはイカンとまで申しませんが、そんなとこに時間を割くのはもったいない。
自立した女性とか、多美さんの鯛とか、かなり不安になってきましたが……ロケと考証に期待。

「二百三高地」

2009年12月05日 | 【な行】タイトル
1980年、東映。
長らくさだまさしのあの歌にびびって敬遠していた作品です。
見てみたら、いやなかなかどうして、すごい迫力じゃないですか。
砲台、ベトン、28サンチ砲、気合の入ったセット、しかも火薬たっぷり、なにより俳優陣が豪華、みな堂々とした軍人ぶりです。
庶民たちのエピソード部分がどーでもいいのは、東宝の「連合艦隊」にも言えることです、気にしません。
むしろ、東映にしては控え目な部類じゃないでしょうか。
やいやいせっつかれて、砲弾弾薬の不足したまま総攻撃の命を下す乃木さん、たしかにお気の毒です。
一番気の毒なのは突撃していった将兵だとしても。
ロシア機関砲に向かってひたすら走り、瞬時に死体になる日本兵……日本兵の死体、死体、死体。
名作「坂の上の雲」の描写そのままの痛ましい光景がCGなしで繰り広げられます。
さて、問題の「海は死にますか」ですが、これは強烈。
映画の真ん中にフルコーラス、あろうことかダメ押しに歌詞の字幕が、デカデカと黒の画面いっぱいに黄色い字で。
強迫調の歌詞との相乗効果でマジ怖い(笑
主人公の小学校教師の予備少尉をあおい輝彦が演じています。
「犬神家の一族」の復員兵もでしたが、妙に軍服が似合うんですね、この人。
で、最後の最後に東映らしい流血グロシーンが用意されてました。
耳を引きちぎるわ、眼窩に指突っ込んで眼球潰すわ。
なにもそこまでやらんでも。