醤油庫日誌

やかんの映画ドラマ感想文。

「刑務所の中」

2007年05月22日 | 【か行】タイトル
2002年。
原作は花輪和一の同名漫画。
刑務所といっても、ヤクザ映画に出てくるムショとは違って暴力と無縁。
食事の中身とか移動のときの歩調のとり方とか、係官に「用便願います!」と申告するとか、お菓子はアルフォートとルマンドだとか、日常生活の羅列……やかん、そういうの大好きです。
花輪さんの漫画は、布団の模様や独房の家具なんかを異常な情熱を持って観察しており非常に興味深いのです。
原作つきの映画として、花輪さんの描く刑務所内部を忠実に再現してあって、主役の山崎努もいい。
彼のボソボソっとしたモノローグはすごく味があります。
……だが、なにか違う、なんか物足りない。
原作はけっしてこんな幸せほのぼの漫画ではないんだけどな?
封筒張りに達成感を感じたり、刑務所の食事を喜んだりしてるけど、それだけでは違うんじゃないか?
「はぁーもう、どもこもねぇから」
同房の受刑者の口癖ににじむ、うらぶれた気分やわびしい雰囲気が欠落してないか?
いい意味悪い意味両方で、毒の抜けた映画なり。


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