花椿夕月の『雪*星*さざれ石』

日本映画ネタ、雑ネタなど

☆5月14日 映画「かりそめの唇(1955)」を見た

2022年05月14日 | この映画見ました
花椿です。

松竹大船作品の「かりそめの唇(1955)」を見た。 旧作邦画の純愛メロドラマ一筋

の俺にとっては前から死んでも見たいと思う作品の一つなのだが、スカパー衛星劇場の

「番匠監督作品特集」でようやく実現した。


早速、BD-Rに録画して75型の大型テレビで視聴したけど、松竹全盛期の大船調メロド

ラマに飢えていた俺にとっては久しぶりにワクワクしながら大画面に見入ったね。 

だいたい北条誠が原作を書いた作品にハズレは無くて大いに期待できる作品だ。


この作品に登場する主演の川喜多雄二、淡路恵子や助演の柳永二郎 、吉川満子 それに

松竹作品のお馴染みの悪役俳優、永井達郎 など大人気メロドラマ「この世の花」の登

場人物と重なる部分が多い。


時期的にも1955年(昭和30年)の8月封切であり「この世の花」の続篇の撮影時期と

重なったんじゃあるまいか。 藤乃高子の役を水原真知子 が演じていたら「この世の

花」そのまんまだろうな、実業家の柳永二郎とか憎々しい母親を演じる吉川満子のキャ

ラとかもクリソツだし(笑)。


まあ、それはともかくこの映画のストーリーだ。 簡略化すると川喜多雄二が出版社の

サラリーマンで夜学の教師もしているのだが、叔父の実業家である柳永二郎の娘(淡路

恵子)が運転する車に同乗中、子供にケガをさせてしまう。 全てはここから始まる。


そして子供を連れて行った先の病院の看護婦をしていた藤乃高子と子供の姉である浅茅

しのぶが登場する。 もともと淡路が川喜多を愛して独占欲をみなぎらしていたところ

に、この二人の女たちが参戦したわけだ。


そして浅茅が柳の愛人をしていたのが発覚するわ、藤乃はドクターの永井達郎に求愛さ

れて乱暴されそうになるわ、川喜多が浅茅を愛していると誤解して藤乃が姿を消すわ、

さまざまな行き違いや誤解を生みながら恋愛ドラマが展開する。


最後は再び柳の元へ戻った浅茅であるが柳が疑獄事件に巻き込まれて自殺した。 柳の

葬儀の日に川喜多と浅茅、藤乃、淡路が参列したが、淡路は川喜多の本心が藤乃にある

と知り潔く身を引いた。 また父親である柳の供養をしながら一人生きて行く決心をし

た浅茅を理解し許した。 淡路と浅茅は川喜多と藤乃が乗る東京行き列車を見送るのだ

った。 以上。


まあ面白いのは確かだけども大船調メロ映画らしく突っ込み所がめちゃ多い。 一応、

記憶が薄れないうちに書いておくと、、、


1.ケガを負わせた子供の姉である浅茅しのぶが、実は偶然にも川喜多の叔父・柳永二郎

の愛人だった。

2.病院の看護婦をする藤乃高子が川喜多の教え子(清川新吾 )の姉だったという、また

しても偶然。

3.藤乃が川喜多に面会に行ったら偶然にも浅茅から電話があって藤乃がショックを受

ける。

4.川喜多が母親を連れて箱根の旅館に泊まったら偶然にも浅茅が働いていた。 しかも

藤乃もたまたま同じ旅館に来ていて、浅茅が川喜多に求愛する場面を目撃して再度の大

ショックに見舞われる。

5.藤乃が就職の相談に京都の都ホテルに行ったら偶然、浅茅と出会った。


などなど突っ込み所が満載じゃん。 もちろんストーリーの展開にはご都合主義も必要

だし見る側も理解しているが、この作品はちょっと多かったな。 まあ北条誠らしいと

いえばそれまでであるが。


女優原理主義者の立場で見た場合は、藤乃高子は美人に違いないが身長が低いのが難。

特に淡路恵子と浅茅しのぶが高身長だけに目立った。 浅茅しのぶは俺好みの女優やけ

ど前から感じていたが歯並びが悪い。 淡路恵子はファッショナブルで良かったが性格

の悪い女を演じたのがイメージ的にややアゲンストだな。


レア場面としては第二部の冒頭、出版社の場面で無名時代の白木マリが事務員の役で数

秒間だけ出てますね。 1時間4分目あたりで。 風景としては藤乃が住んでいる場所と

して飯田橋あるいは市ヶ谷あたりの外堀沿い。 総武線の電車が通っていた。 当時の

大阪駅舎と阪急百貨店なんかも映る。


1955年(昭和30年)8月24日公開の松竹大船作品だ。 第一部「たそがれの過失」と第

二部の「幸福の岸」に分離してあるが、これはまあ映画館で上映する時のトイレタイム

をつくるためじゃなかろうか。 合計で110分。 テレビ放映はCMなしで連続している。

モノクロ。


俺の作品評価はランクB(水準作より少し上)でしょうかね。 ただし松竹女優または

主演の川喜多雄二が好きな人には楽しめるはず。 俺もその一人だわ。


□写真上

主演の川喜多雄二。 ボーっとした感じが何とも言えない。

□写真2番目

誤解したまま帰る藤乃高子を川喜多が呼び止める夜のシーン。

□写真3番目

淡路恵子。 登場シーンの全てがファッショナブルだった。 カラーで見たいわ。

□写真4番目

川喜多雄二と浅茅しのぶ。

□写真下

川喜多雄二と藤乃高子。 背景は大阪城だ。


じゃ、またね。

2022年5月14日、19時35分記。
コメント (2)
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