自衛隊員の自殺率は高いのか否か

自衛官の自殺、年間８０～９０人　対策打ち出せず(朝日新聞) - goo ニュース

本ブログで何度も言及しているが、自衛官の自殺率は日本人男性の自殺率とそう変わらない。年間90人前後が、特に多い数字なのかどうか、朝日新聞は根拠をもって語るべきだ。

人の死、まして不慮の死は悲しい事態であろう。しかし責任を権威者に求める心性は「モンスター被害者」になりかねない。マスコミは、その報道による増幅効果で「モンスター被害者」をむしろ生み出しているのではないか。

原告弁護団は「上官の行き過ぎた言動が黙認される一方、悩みを抱える隊員が外部にアドバイスを求める制度的保障がない」と自衛隊の組織的な問題を指摘した。

記事内容は比較的妥当で、見出しで煽るのが、テクニックである。日本人の自殺率が高いのは、確かに困った問題であるが、制度では根本的解決にはならないだろう。自殺問題の研究は社会学の原点だけど、それくらい古くて新しい問題というか、難しい問題。社会政策として、総合的に考える必要性はあるだろう。自衛隊に対策を求める以上に、企業や学校に求めた方がいいだろうが、あまり上手くいっているとは思えない。

過去のエントリ：

イラク派遣自衛官の自殺率は日本人男性の平均と変わらない　2006年03月11日

兵役中の自殺率と国民平均の比較　2006年11月02日

軍人の自殺率は国民（男性）平均と変わらない　2007年10月31日

#ちなみに韓国では、軍人の方が国民平均より自殺率は低いくらいだ（報道では逆の印象を与えるようになっている）。