「熱闘」のあとでひといき

「闘い」に明け暮れているような毎日ですが、面白いスポーツや楽しい音楽の話題でひといき入れてみませんか?

法政大学 vs 中央大学(関東大学リーグ戦G1部-2018.09.16)の感想

2018-09-21 01:21:02 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


W杯日本大会を1年後に控え、関東大学リーグ戦2018もいよいよ開幕。初めて訪れる長野Uスタジアムは、南長野運動公園内にある。ここは、現在J3で戦っているAC長野パルセイロのホームで収容人員は15,000人余り。2階席はすべて屋根で覆われたコンパクトな設計の球技専用競技場で、ピッチまでの距離は2階席の最後列からでも遠くは感じられないと思う。

秩父宮ラグビー場は改修を経ているとは言え、すでに70年の歴史を有することを考えると、ラグビー専用でこのスタイルのスタジアムが殆どないことを改めて知る。1万人収容規模でもいいので、熊谷の他に関東圏にせめてあと2つくらいHポスト常設のスタジアムがあれば、秩父宮の芝生の負担も軽減されるのではないだろうか。ここに来たことで、ラグビーを取り巻くスタジアム事情をいろいろと考えることになってしまった。

そんな想いに耽っていたところで、本日の第一試合で相まみえる法政大と中央大の選手達が入場。昨シーズンは法政が4位で中央大は5位のいわば中位校同士の対戦。緒戦であることはさておいても、上位を目指す両校にとって負けられない戦いのはず。さて、校歌の演奏が始まったところでまたビックリ。今まで記憶にないくらいにいい音で両校の校歌が聴けた。スタジアムに関してはもう既に勝負ありというか、新鮮な気持ちで試合開始を待つことに。



◆前半の戦い/両チーム共にミスが多く、決め手を欠く中での接戦

メインスタンドから見て左側に陣取った中央大のキックオフで試合開始。自陣からでもキックを封印したかたちで法政が攻勢に出て中央大は防戦一方。勢いに乗る法政は10分と13分にいずれもFLの山下がトライを挙げて12-0と幸先のよいスタートを切る。しかしながら、法政はなぜか波に乗れず、その後は中央が法政ゴールに迫る場面が増えていく。

緒戦とは言え、両チームともにディフェンスが甘い。また、思わずポロリのミスも多く、ゴールに至るまでに攻撃権が相手に移ってしまうもどかしい展開。中央大は得意とするモールも押し切れない。BK選手もモールにどんどん加わり、ラインに並んでいるのは3人だけという場面はなかなか見ない。中央大の看板選手は昨シーズンに新人ながらリーグ戦Gのベスト15に選ばれたSO侭田だが、チームへの合流が遅れたためか連携もスムースにいかない。それが故の10人以上モール攻撃だと思うのだが、相手にボールが奪われる心配が薄いとは言えゴールラインまでボールを運べないのは痛い。

とはいえ、ボールキープの場面が増えてきたことで前半の後半は中央がペースを握る。27分にラインアウトを起点とした連続攻撃からNo.8鬼頭がトライ。さらに終了間際の40分には法政陣ゴール前でのラインアウトからモールを形成して押し込みPR有藤がトライ。ゴールキックはいずれも不成功だったが10-12まで肉薄。法政のリードが僅か2点に縮まったところで前半の戦いが終了した。



後半の戦い/本来の攻撃力を取り戻した法政に対し、不発に終わった中央

前半の流れから行けば中央にも勝機ありと感じられた前半の戦い。だったが、ミスの応酬のようなカオスに近い状況が続く。こうなると、個々の攻撃力で上回る法政が優位となる。5分にSH中村がトライを奪い19-10となったところからゲームの流れは法政に傾き始める。中央の10人以上モール攻撃は後半も不発。侭田もいろいろと工夫してラインを動かそうとするものの、パスの受け手が止まっている状態では相手のタックルを受けて後ろに下がるだけでどんどん苦しくなる。

法政が押し気味ながらも膠着状態となる中での22分、法政に起死回生のトライが生まれた。中央陣でのスクラムを押し込み、No.8橋本から直接パスを受けたWTB中井がゴール前までビッグゲイン。最後はFL吉永がゴールラインを超えた。その直後のキックオフで法政が持ち味とするテンポよくボールを繋ぐ攻撃を見せる。ここでも中井がキープレーヤーとなり、パスが途中出場の奈良から金井に渡ってノーホイッスルトライ。本日イチバンの形が出たところでゲームの流れは完全に法政に傾くこととなった。

波に乗った法政はその後もさらに2トライを追加。中央大は27分に昨シーズンに侭田のルーキーコンビで活躍したSH成田を投入してテンポアップを図ったが時既に遅し。それ以前にスクラムが劣勢で、後半の後半は殆ど崩壊状態になっていたことも痛い。お互いにミスの多い混戦模様の中での接戦となるかと思われた試合も終わってみれば43-10での法政の圧勝。いいところなく終わってしまった感が強い中央にとっては痛い敗戦となった。



◆試合後の雑感/明暗を分けたとは言え前途多難を思わせた両チームの旅立ち

大学ラグビーが1年1年が勝負と言われていたのも過去のこととなりつつある。数年単位の長期的な展望を持ってチーム強化を図る形が定着してきた中、そうなっていることがあまり感じられない残り2つがどうやら本日対戦した法政と中央。試合が終わってから程なくして登場した東海大と拓大の選手達の分厚い胸板を見てしまうとそう感じずにはいられない。

それはさておいても、両チーム共に開幕時で比較した場合、昨シーズンの方が仕上がりがよかったように感じられる。私的にはキープレーヤーだと思っている奈良をSOに起用した法政は既に切れ味のあるBKアタックを見せていたし、中央も成田と侭田の新人HBコンビがチームを引っ張っていた印象が強い。前途多難を思わせる両チーム。精神論になってしまうが、奮起を期待したい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする