建築の「はなし」Part12
「三十年前(1989)、設計途中のデザイン検討用エスキース」
これらのエスキースは、1989年独立する少し前(設計事務所勤務時代)のもので、当時設計を担当していた「宿泊施設付きのゴルフ場クラブハウス」の内観イメージです。
平面図・立面図・断面図を作成しながら並行に描いていったもので、いわゆる設計を進めていく上での自分のイメージの確認用であり、また施主や構造設計者・設備設計者・他関係者へのイメージ説明伝達の為のものです。
もうこの時にしか日の目をみない絵で後は打ち合せ記録簿のファイルに綴じられるのが関の山、殆どが捨てられる運命の絵なんですね。
この頃は未だCAD化も進んでなく図面も手書きでした。
そう言えばA1図面の上の方なんかは立って書いてましたね(笑)。
設計者がエスキースを書く、特に絵の好きな者はまだこのスタイルをとっていた時代です。
CAD化された今はどのような進め方をされている事務所が多いのでしょうか?
ちょっと気になりますね。
私の場合の現在、デザインの時は昔ながらの手描きですが、複雑なものは3Dで簡単に線画入力した図の助けを借りています!
そしてまた、これから先はどのように進んでいくのでのでしょうか・・・?
イメージをある程度頭の中で組み立てた上で、いきなり雰囲気で描いていくラフスケッチなので、図法は全て平行一点透視です。
ドラフターを使い、デザインしながら描くには一番向いていますね!
それも正式な透視図法ではなく、簡略透視図法で勘にたよって描く部分もかなりあります。
消失点の決まりごとや面の分割法などを守っていれば、不思議とそれなりに見えるものなんですね、これが(笑)。
あくまでも設計途中のイメージを具現化する為の目的で、言わば設計行為の進行プロセスの一つです。
トレペにシャーペン一本での作画、寸法取りやデザインの為の補助線などもそのまま、その程度のものです(笑)。
イメージが固まっている部分は1点15分もあれば描けるし、デザインを悩むものは1時間ほどかかったものもあります!
たぶん、定例会議の前日、急遽12カットを1日で描いたエスキースだったと記憶しております。
3Dでボリューム入力する場合は平面図が基本でその平面を立ち上げながらオブジェクトを積み木のように組み合わせて形を作っていきますが、このような手書き室内デザイン一点透視の場合は断面図を頭に置き奥行きを一点に向けて線を引くか又は一点から引き伸ばして奥行きをとるか、そこが3Dと手書きとの大きな作図の違いです。
いずれも、常に立体的に空間を捉えていく事が「要」ですね!
最後に、私達の共通言語である設計図面。
この設計図面によって、建築計画を具現化しているとも言えます。
しかし、それを共通言語として解釈できる一般の方はやはり少ないと思います。
だから私達は建築パースと言う手段で図面を可視化するのです。
一般の方には見え難いであろう建物や街や景観を可視化に導くのだと思います。
※おまけで最後に、この一点透視図法について触れております!