渡辺哲也(一級建築士・絵画作家)「多彩画の世界」また日常のささいな事などを綴っています

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見え方!

2009年06月13日 10時40分24秒 | 建築パース作品など
↓前回、不自然なアングルについてちょっと話をしたので
その続きと言う事で(笑)!

そこで、簡単に見え方の基本的なことを絵にしてみました。
(フリーハンドなのでかなりアバウトなのはお許しを!)
・目の様な変なマーク(笑)のあるところが、視点(SP)でここから見ています。
・太い矢印が注視点の方向です、注視点とは見ているポイントです。
・視野角とはカメラで言う焦点距離です。
 この視野角度が大きいほど広角レンズ、小さくなるほど望遠レンズを使って
 見ていると言う事です。
・HLとはHrizontal Line、つまり目の高さです。

では、上図についての説明ですが。

やはりⒷの視点高さと注視点高さとが同じレベルのパースアングルが
圧倒的に多いですね。
簡単に言えば水平に建物を見ていると言う事です。
当然この場合の壁は垂直になっています。
この絵の場合が2点透視になります。
そしてVP消失点は必ずHL上に(水平部分のもののみ)あります。

Ⓐのように注視点を上げ見上げるように見ると、壁にアオリが生じ
 上にも消失点ができます、これが3点透視です。

Ⓒは高いレベルから見下ろすようにみているので今度はⒶとは逆に
 下に消失点ができます。

Ⓒ’はⒸと同じように高いレベルから見てますがこれは水平に
 見ているので当然アオりはつきませんね。
 ただ広角で視野角を広げないと下まで見えてこない時があります。

その為、3Dソフトではこれを下へシフトして補正をかけたり、
下を見ていても2点透視に補正する機能を備えたものがたくさん
あります。
不自然にならない程度の補正であればこれは大変便利な機能です。

自然か不自然かの範囲は人それぞれの感覚の違いで、ここまでが正解と
言う境界は勿論無いのですが。
そこで個人個人の好き嫌いも生じるのです。

↓下図は建物上部を見上げたアングル、グリーンの範囲は全く自然な
見え方なのですが、これにGL部分まで(赤い部分まで)の添景を入れて
くるとだんだん不自然な見え方になってきまます。
魚眼レンズのような設定ですね。
このような見え方がねらいと言うのであれば、それはその目的にあったもので
良いと思うのですが、ここで問題が生じるのは端部の変形されたひずみです。
画面の下にいくほど変形ひずみは大きくなり建物の1階部分あたりは特に
縦横のバランス比もおかしくなってきます。
本来正方形状のものがこの場合だと縦に長い長方形になり、またそれに
アオリが加わる為、元々の形とはかなり変わってきます。
形態を説明する目的の絵であれば、不向きなアングルだと言えますね!

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それと時々見かける変な見え方をした絵、
鳥瞰であるにもかかわらず空が地盤面まであるもの。
背景をグラデーション処理する目的でしているのであればおかしくない
のですが、青い空に白い雲が水平線よりはるか下まであるのはやっぱり
変ですね!
小学校の図画の時間、先生が「山を登っていくと、水平線も一緒について
くる」と言ってたのを覚えています!!

そう言えば
随分前コンペパースの打合せ時に(まさにこの絵のような雰囲気でしたが)、
絵の迫力を出す為屋根のバックには力強い空を入れて欲しいと望まれた
事がありました。
「恥ずかしくてできません、どうしてもと言われる場合は今回の物件を
辞退させていただきます」と言った事もあったなぁ(笑)。
コメント (9)
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