渡辺哲也(一級建築士・絵画作家)「多彩画の世界」また日常のささいな事などを綴っています

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建築設計四方山話(1)

2005年10月09日 08時42分37秒 | 建築のことなど
この画像も今年、梅田を歩いていた時に以前設計したビルがあったので
撮影しBBSにもアップしたものです。

設計は1988年、竣工してもう十数年もたっている為かなり汚れてますね。

それではその設計の時のエピソードを!
31mを超える建築物は電波法により郵政大臣に届け出が必要でこの場合は
大阪電波管理局へ下見や事前打ち合わせをします。そこでわかったことが
計画建物の向って左上空にJRの電波が飛んでおりました。その電波のフルネル
ゾーンには掛かって無いため法的な問題もなくその計画で設計を終了しました。
しかし、現場に入って大きな問題が!電波管理局も言ってましたが「この時代
の大阪のどまん中で45mの低さで電波を飛ばしているなんて信じられない話
なんですが」そう、その場所は大阪鉄道管理局旧国鉄関西支社の国道176を挟んだ
まん前です。その時の話ではここの鉄塔のアンテナから奈良生駒山の反射板に
電波をあて反射させて京都へ飛ばしているとの事。実際鉄塔付近から生駒山方向
を眺めてみると見事に梅田のビル群がそこだけポッカリ無いではないですか!!
この電波は大阪・京都間の新幹線の運行に関するもので電波法で守られている以上
フルネルゾーンへの障害でいかなる電波障害を起こす事は許されておりません。
電波障害を起こそうものならその賠償金額はその大きさにより想像ができないほど。
電波が見えるものならいいものの見えない中での工事、ゼネコンの方も万が一
クレーン等がフルネルゾーンを横切ったらと。既に大阪鉄道管理局の移転計画は
進んでいたのですが果たしてここでとられた対策とは。現在のアンテナの取り付け
位置は鉄塔の2/3あたりの高さです。全く同じパラボラアンテナを鉄塔の頂上付近
に新設し夜中の一瞬をねらって電波を切り替える方法がとられました。総金額は
1500万円と言う凄いものになりました。ゼネコンと施主の半々で負担していただき
無事工事着工ができました。

外壁は御影石(マホガニー)本磨き&ジェットバーナーの打ち込みPC版。
サッシはバックマリオン、この当時まだこのSSG工法は少なかったですね。
まぐさ及び面台部分はSUS厚2mm半円曲げ加工鏡面仕上。磨きのランクは
#800!!これはピッカピカの鏡面です。この番号を仕様書でうたうか否かで
見積り金額は倍ほど変わってきてました!
コメント (2)
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