日々是好日

撮った写真や思っていることなどを気の向くままに書いています。

アツバキミガヨラン(厚葉君が代蘭)

2021-10-06 07:00:00 | 植物

5月〜6月ごろに咲き、10月ごろから再び咲きだす「アツバキミガヨラン(厚葉君が代蘭)」

 

 

ユッカと呼ばれるこの花には数種類あり、特に目立つのが、①「アツバキミガヨラン(厚葉君が代蘭)」と ②「キミガヨラン(君が代蘭)」

それぞれ正式名称は、

①---ユッカ・グロリオサ(Yucca gloriosa L.)

②---ユッカ・レクルヴィフォリア(Yucca recurvifolia Salisb.)

実際にこの2種類を区別するのは難しい。

葉が折れ曲がらないのが「アツバキミガヨラン」、全体に少し小さくて、葉が折れ曲がるのが「キミガヨラン」などといわれている。

この花の名前を付けたのはやはり牧野富太郎博士。

博士の著書「植物一日一題」に詳しく書いてあるが、簡潔に書くと、博士が小石川植物園でこのユッカの花を見て「キミガヨラン」と名付けた。

なぜならば、①のユッカ・グロリオサは、本来「栄光のある」という意味、それをどういう訳か「君が代が栄える」という意味に解釈したようだ。

だから博士が見たのが①の方の花だったら良かったのに、実際には②のユッカ・レクルヴィフォリアの方を見たのだった、要するに間違えたのだ。

それをあとになって気が付き、それならば本物の①の方はどうしよう、ということになって「オトコラン(男子蘭)」という名前を付けた。

でも、現在その名前はあまり普及していなくて、「アツバキミガヨラン」という名前になっている。

「オトコラン」という名前はどうしちゃったんでしょうね。

 


 

--- 青空文庫「植物一日一題 オトコラン」より ---

男子蘭! 何とも勇ましい名じゃないか。元来それはどんな植物か。また誰がそういう名をつけたか。すなわちこれはユリ科に属するYucca gloriosa L.に対して私の命じた和名なのである。

《 略 》 

ずっと以前に小石川植物園ではこの品を Yucca gloriosa L. だと思っていた。その時分に本品に対して君ヶ代ランの和名(私の命名)が出来た。しかるにこれはじつは Yucca gloriosa L. ではなくて Yucca recurvifolia Salisb.(=Yucca gloriosa L. varrecurvifolia Engelm.)の学名のものであることが後に判った。

 


 

博士でも間違えることがあるんだ・・・

さて、今回見た花もどちらか区別するのが難しい。

 

 

これら2枚の写真ではどちらとも言えない。

 

葉が曲がっていないのは「アツバキミガヨラン」の特徴。

 

花を一ついただいてきて、中を見た。
薄い緑色の子房と、白く3裂している花柱の境があまり明瞭でないのは「アツバキミガヨラン」の特徴。
 
 

そういうことで、これは「アツバキミガヨラン」だと思う。

 

 

学名: Yucca gloriosa(アツバキミガヨラン)、Yucca recurvifolia Salisb(キミガヨラン)

英名: Common yucca
 
別名:ユッカ
 
科名・属名:リュウゼツラン科 ユッカ属
 
原産地:北米、中南米

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする