あまり聞きなれない名前の「ヤブマオ」。
でも、実物を見ると誰でも「あ、見たことがある」と思うかもしれない。
道端や草むらでよく見られる、大きな雑草だから。
[雌花]
[果実期/葉柄が赤味を帯びることもある]
調べてみると「ヤブマオ」は雌雄同体で、茎の上の方には雌花、下の方には雄花をつける、となっていた。
雌花については房状になって葉の付け根から穂状に伸びる、と書いてあったので写真は雌花から果実に変わったものに違いない。
じゃあ雄花はどこに?
と思って探してみたけれども全く見つからない。
あちこち検索してみたら、「野草の名前」という本に、「雄花はつかないことが多い」との記述があった。
それならば雄花が見つけられないのはしょうがないのか、と諦めた。
[雌花拡大]
学名:Boehmeria japonica var. Iongispica
英名:---
科名 ・属名:イラクサ科 カラムシ属
原産地:日本、朝鮮、中国、台湾
属名になっているカラムシの別名が「苧麻(まお)」。
ヤブマオの名前は「藪に生えるタイプのカラムシの仲間」ということからついた。
カラムシについては福島県昭和村で知った。
昭和村の伝統工芸品で、様々な工程を経て「カラムシ」から糸を作り、その糸で布を織るのだが、その作業を見学をさせてもらったことがある。
「からむし織」といって、今では貴重なものになっている。
その糸で織られた反物や帯は高級品で、帯一本100万円以上するものも珍しくないと聞いた。
ヤブマオもカラムシ属なので、かつては茎から繊維を取り出して糸や紐として利用していたようだが最近ではあまりやっていないようだ。
ただ、草木染の原料として利用されていて、ヤブマオで染めると赤みのある茶色(鳶色)やベージュ色に染まるらしい。