映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

真実の行方  リチャード・ギア

2010-11-07 10:52:24 | 映画(洋画 99年以前)
「真実の行方」は弁護士リチャードギアが殺人事件の犯人の冤罪を主張する96年の法廷劇である。個人的に大ファンであるローラ・リニーの検事役が素敵でそれを見ているだけでも充分であった。若き日のエドワード・ノートンが好演。単純に楽しめる法廷劇であった。



シアーズタワーが映りシカゴが舞台だとわかる。
大司教ラシュマンが全身をナイフで刺されて殺された。現場から血まみれで逃亡した19歳の青年ことエドワード・ノートンが逮捕された。主人公の弁護士ことリチャード・ギアは事件を知り、彼の弁護を無償で引き受けた。ノートンは数年前、路頭に迷っていたところを大司教に拾われて以来、司教に仕えてきた。お世話になった大司教を殺すはずはないと主張する。ノートンは事件当日、何者かが現場にいたようだと言うが、彼の記憶はそこで途絶えていた。
初公判が開かれた。州検事は、リチャードのかつての恋人であった検事ことローラ・リニーを担当に指名した。彼女はノートンを第一級殺人罪で告訴する。弁護側は完全黙秘で時間を稼ぎ、その間に精神科医ことフランセス・マクドーマンドに彼の精神分析を依頼した。さらにリチャードは、死体の胸に刻まれていた“B32-156 "という文字からヒントを得て、大司教が川岸の宅地開発を中止に追い込んだことで投資家たちから恨まれていたことを知る。この開発には州検事も一枚加わっていたらしい。背景に何かがありそうだったが。。。



キナ臭い筋の弁護を引き受けることが多い弁護士リチャードギアはある意味法廷に勝てばいいという悪徳弁護士に近い人物像だ。元は検事上がりだ。無償で引き受けたのもこれを成功して名をあげれば、金目の依頼がまわってくると考えたからであろう。やくざ者の弁護にかかわる話もからめてくる。
しかし、強引な法廷術で華麗に立ち回るわけではない。いろんなアップダウンをとり混ぜながら話は展開していく。エドワードノートンの精神鑑定が見どころになっている。



知的な表情が素敵なローラリニーだ。クリントイーストウッド「目撃」のひとつ前の作品になる。当時32歳で女性としての美しさに磨きがかかっていた。法廷劇で検事役となると冷徹なイメージを持つことが必要となる。今回は緩急両方兼ね備えている。大ファンだとなんでも許せてしまう。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

狼よさらば  チャールズ・ブロンソン

2010-11-05 06:00:34 | 映画(洋画 89年以前)
「狼よさらば」はチャールズブロンソン主演のニューヨークを舞台にした1974年の作品だ。渋さでピークを極めたのは70年代に入ってすぐ。日本でも「マンダム」のCMで超人気だった。
それから数年たって撮られたこの作品は、治安の悪いニューヨークで夜の独り歩きを狙って強盗をするチンピラに立ち向かう男の話である。古典的ネタだが、飽きずに観れた。



土地開発会社の設計士であるチャールズブロンソンはニューヨークで妻とともに幸せに暮らしていた。彼が仕事に出ている時、妻がスーパーでの買い物を一部宅配にして、結婚した娘がいる家に帰った。
その時、レジ付近で宅配の住所の紙を見ていた3人のチンピラがいた。その3人がスーパーの店員を装い、アパートに行き、隙をみて侵入した。金目のものがないのをいいことに2人に暴行をはたらき、結局母親は死にいたり、娘は暴行された傷だけでなく、強い精神的ショックで植物人間のようになった。チャールズは落胆した。犯人を逮捕できるかと警察に聞いても難しそうな返事であった。
そんな時、アリゾナに出張することになり、友人と会った。友人はチャールズをガンクラブへと誘った。朝鮮戦争に行った時も医療班従事であった彼だが、父親がガンマニアであったことを思い出しながら、すばらしい射撃の腕前を友人に見せる。その後、ニューヨークに帰る時、友人がお土産を手渡した。家に帰ってあけるとそこにはピストルがあった。
ピストルを持って一人で外出したとき、ナイフを持った男に金を出せとゆすられた。そのときブロンソンは思わずピストルで男を撃ってしまうが。。。。

ニューヨークの治安の悪さは有名だった。この辺りには行ってはいけないと、観光で行くといわれたものだ。でもこの映画が社会問題になるくらい、路上の強盗が多いとなると、これは大変だ。
「シロウト刑事」と映画の中で言っているが、そういう自警団でもいないと、警察も取り締まろうとしていなかったので解決の方向に進まなかったかもしれない。いずれにせよ、現在は治安が良くなったといわれる。改善に結びつけた人たちの行動に敬意を表したい。

こういった悪を征伐する正義の味方の話は、最近ではジュディフォスター「ブレイブ・ワン」がある。ストーリー的には似ている。たぶんこの映画を意識して作った気がする。刑事物ではダーティハリーがあるが、刑事が拳銃を使うのは不自然ではない。そういった意味ではこの映画とは異なる。



エレクトリックピアノが軽快なテーマソングだなと思ったら、ハービーハンコックのクレジットが出てきた。当時マイルスデイヴィスのバンドから独立して、ファンキーなジャズロックで乗りまくっていたころだ。アコースティックピアノの曲も含めて十分楽しめる。アップテンポのエレクトリックピアノの曲が非常にいい。電子機器の使い方もうまい。予想していなかったのでうれしくなった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グロリア  ジーナ・ローランズ

2010-11-04 20:10:54 | 映画(洋画 89年以前)
「グロリア」は1981年のヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作。
強い女性を描いた作品として名高いが、DVDで見る機会がなかった。ツタヤの特選作品に入り、レンタル可能になった。初めて観たが、評判通りジーナローランズのカッコよさと演出、撮影の素晴らしさに感嘆した。



ニューヨークのダウンタウン、ヤンキースタジアムのすぐ近くのアパート。その一室でプエルトリコの家族の中の主人がおびえている。マフィアの重大な秘密を売ろうとして狙われていることがわかったからだ。その妻は友人である中年女グロリアことジーナローランズに息子フィルを預ける。一家は惨殺された。しかし秘密が書かれた手帳を少年が持ち出していたことを知ったマフィアは少年を取り戻そうとする。マフィアは彼女を追い始める。グロリアは生意気な少年を見捨てようとするが、次第に母性本能が芽生える。彼女はニューヨークを逃げまわるが……。

この映画をみると、治安が悪いといわれた70年代から80年代にかけてのニューヨークダウンタウンの世相もよくわかる。
リュック・ベッソン「レオン」の原形とも解説に書いてあった。惨殺劇があるアパートの雰囲気が確かに似ている。しかし、男女を入れ替えただけという訳ではない。レオンのジャンレノはゴルゴ13ばりのプロの殺し屋であった。グロリアは違う。マフィアに近い筋であったが、普通のおばさんのノリだ。徐々に母性に目覚めてくる。保護本能だけでマフィアに立ち向かう。
もともとはマフィアと関係があったグロリアには、みな一目を置いている。であるから彼女を見つけても、マフィアは一瞬どうしていいのか考えてしまう。やくざの姉さんのようだ。


そのジーナローランズを手持ちカメラで追いかける。マフィアの一味に拳銃をブッ放つシーンはド迫力。 一番すごいと思ったのは、地下鉄の電車の中で、マフィア数名を拳銃で脅しながら子供と一緒に駅で電車を降りるところを手持ちカメラで追いかけるシーンだ。このアップの撮影にはドッキリさせられた。

でも夫であるジョン・カサヴェテス監督は一家惨殺のシーンは撮っていない。ジーナローランズの激しさとは逆にタランチーノ的な残虐さはない。何か意味があるのであろうか?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

危険な情事  マイケル・ダグラス

2010-11-03 21:28:08 | 映画(洋画 89年以前)
先日ブログで史上最強の悪女という題目を使った。悪女というのは、悪い男よりも絵になる。「死刑台のエレベーター」のジャンヌモローも「深夜の告白」のバーバラ・スタンウィックと同じように悪女であった。
「危険な情事」のグレンクローズは悪女というべきなのであろうか?これは難しいところだ。男が火をつけたともいえる。この映画のグレンクローズはクリント・イーストウッドが追いかけられ続けた「恐怖のメロディ」と並ぶ「史上最高の女ストーカー」とすべきであろう。ロードショーで観てからはや20年以上たつ。当時日本でもかなりヒットした気がする。ストーカーという言葉がメジャーとなったのはこの映画がきっかけではないか。肝となる場面の記憶はあるが、細かいところは忘れていた。こうして改めて鑑賞して、この映画のレベルの高さに感嘆する。



有能な弁護士ことマイケルダグラスは、愛妻ことアン・アーチャーと6歳の娘と幸せな家庭生活を送っていた。マイケル・ダグラスが出版社の編集員ことグレン・クロースにはじめて会ったのは日本人著述家の出版記念パーティの席だった。マイケルはその出版社の法律顧問をしていた。パーティの翌日の土曜日。マイケルは出版社の会議に出席し、妻と娘は郊外に住む実家に泊まりにいった。会議にはグレンも出席していた。打合せが終了して外に出たら、雨が降っていた。そこへグレンが傘を差し出す。マイケルが「飲みに行こうか」と誘った。


食事をしている時にグレンは積極的にモーションを掛け、結局彼女の家に行くことになる。二人は情熱的に抱き合った。翌朝家に帰ったマイケルにグレンから電話があった。断りきれず、またグレンのアパートに出かけた。情事の後、帰ろうとする時、一夜の楽しみのつもりだった話をすると、彼女がマイケルを激しくののしる。それでも帰ろうとしたら彼女は手首を切った。お遊びの情事のつもりが大変なことに。翌日から、マイケルあてにグレンの電話がかかりつづけることになるが。。。。

永く心に印象に残る作品である。グレンクローズの狂いぶりを映画館で観た人は誰もこの映画を忘れないであろう。ディテールは忘れても、身に覚えがある世の男性諸氏は女の怖さをことさら感じたであろう。


久々にみて、グレンクローズはメイクからしぐさまで何から何まで主人公アレックスになりきっているのがわかる。でもこの演技並大抵でなく大変だったろうなあ。今回DVDにメイキングが付いていた。監督をはじめとして、マイケルダグラスやグレンクローズなどのインタビューがあった。それで初めてわかったのであるが、あの有名なエンディングは最初は違っていたらしい。フランス映画「悪魔のような女」のエンディングに似ているあのシーンである。それをプロデューサーの提案で撮り直しをしようとしたら、グレンクローズが2週間反対しつづけたらしい。でも一度始まったら何も言わなかったということで監督、マイケルとも彼女を敬っていた。
最近は映画ではあまり見ないが、舞台やテレビでは現役バリバリで活躍しているそうな。
この演技力は映画史上有数のものと改めて感じた。

マイケルダグラスはこのころから「ウォール街」「ブラックレイン」と90年代にかけてピークを迎える。いろんな映画に出ているが、ちょっとエロチックな匂いを感じさせるのはこの映画と「氷の微笑」のせいであろう。それはそれでいいのでは?新作「ウォール街2」が観てみたいものだ。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

死刑台のエレベーター  ジャンヌ・モロー

2010-11-02 21:16:49 | 映画(フランス映画 )
前は映画をみても記録に残していなかった。それが2007年に思い立って、観た映画を記録するようになった。記録を始めてから気が付いてみると1000作目にあたった。
1000作目は記念になるものをと思い、ロードショーを見渡して、これしかないと思ったのが1958年のフランス映画「死刑台のエレベーター」だ。渋谷でひっそりとルイ・マル監督の特集をやっていた。ジャンヌモローにとっても代表作。映画館の暗闇の中に映る夜のジャンヌモローが素敵だ。マイルスデイヴィスのトランペット演奏がクールにしみわたる。



いきなりアップのジャンヌモローが「ジュテーム」を連発するシーンからスタートする。
主人公の技師ことモーリス・ロネと社長夫人ことジャンヌ・モローは不倫の仲だった。邪魔者である社長を殺すことを考えた二人は完全犯罪を計画した。殺害計画実行の日、モーリスはバルコニーからロープをかけて上り、社長室に入り、社長を射殺し、自殺と見せかけるべくその手に拳銃を握らせた。巧みに中から鍵をかけた形にして、モーリスは再び一階下の自分の部屋に降りた。何もなかったように電話交換手とビルの管理人と共に、エレベーターでおり、外に出て自分の車に乗った。しかし、手すりに昇降用のロープを忘れて来たことに気付き、エレベーターに乗った。ところが、ビルの管理人が電源スイッチを切って帰ってしまい、突然エレベーターは止まってしまった。モーリスは脱出せんと試みたが無駄だった。その時ビルの外にあったモーリスの車を花屋の売り子とチンピラ男が盗んでパリ郊外に走り出た。ジャンヌとの約束の時間はどんどん過ぎていった。ジャンヌは手掛かりのあるところをさがしまわったが見つからない。。。。



アップを多用するカメラワークがいい。ジャンヌモローをアンリ・ドカエが手持ちカメラで追いかける。ジャンヌはツンとお澄ましした顔がよく似合う。笑顔が似あわない。そんなクールな表情は夜のムードにぴったりだ。ジャンヌモローが出演しミケランジェロ・アントニオーニが監督した1961年の「夜」という映画がある。マストロヤンニと愛の不毛を描いた映画だ。にこりともしない彼女のクールさが際立っていた。比較すると「死刑台のエレベーター」の方が美しさが際立つ。



そのクールな画面にマイルスデイヴィスのトランペットがからむ。ジャンヌモローがパリの夜を彷徨うシーンにはぴったりだ。映画を見て即興で作曲して、古く憂鬱な建物でムードを出しながら吹いたという。さすがだ。でも正直ちょっと画像に合わないなあと思う曲もあった。
この当時マイルスはジョン・コルトレーン、レッド・ガーランド、ポール・チェンバース、フィリージョージョーンズの初期のゴールデンカルテットを組んでいた。恋人ジュリエット・グレコが行っていたこともあり、57年の秋から冬にかけてパリに長期滞在をする。パリにいる現地のメンバーとクラブに出演していたらしい。そんな時飛び込んできた映画音楽の話だ。
車を盗んだ二人がパリ郊外に走る場面では、かなりアップテンポに演奏する。ミュートが冴える夜のムードが基調の曲もいいが、アップテンポもなかなかいい。

現代の映像技術からすると物足りない部分はいくつかある。でも小道具の使い方がうまく、それが最後まで効いている。若干25歳のルイマル監督の英知がみえる傑作だ。これは映画館の暗闇の中で鑑賞してよかった。夜のジャンヌモローは映画館ではえる。1000作記念忘れられなくなった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

噂のモーガン夫婦  ヒューグラント&サラ・ジェシカ・パーカー

2010-11-02 06:20:29 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
ラブコメの帝王ヒューグラントが「セックスアンドシティ」で現代アメリカ40代の女性の代表となったサラ・ジェシカ・パーカーと組んでつくったラブコメディ。高尚なことは考えず、単純に楽しむ映画だ。ヒューグラントのドジな振る舞いが笑える。

サラ・ジェシカ・パーカーは、マンハッタンで高額物件を扱う不動産会社の女社長。夫のヒュー・グラントは敏腕弁護士。モーガン夫妻は2人は噂のセレブカップルだった。だが、グラントの浮気が発覚して別居することになる。冷め切ってしまった妻の気持ちを、プレゼント攻撃で何とか取り戻そうとするグラント。レストランに妻を誘い、関係の修復に懸命に努めていた。その帰り道、殺人事件を目撃してしまったのだ。犯人に顔を見られた2人は、警察の“証人保護プログラム”により、身分を隠してワイオミングの田舎町へ向かうことになる。



ラブコメは解釈云々ではない。お気楽に見るのがいい。
ヒューグラントがラブコメの帝王であり続けるのは、ハンサムな容姿とドジなキャラのギャップが面白いからだ。常に一流の女優がお相手だが、帝王らしくスマートにふるまう。


マンハッタンの大都会から田舎町に行くと、家のすぐそばで熊に遭遇したりする。最近は日本でも熊が山から下りてきて、住宅地でえさをあさったりする。連日報道されるようになった。えさがないのかな?そんな感じで山の中に入り込み、田舎生活の中よりが戻ってくるように見えるが、単純にいかない。
まさに旬の女となったサラ・ジェシカ・パーカーもヒューグラントと並んでコミカルな動きを見せる。熊除けのスプレーをかけようとして、グラントが自分に吹き付けてしまったり、途中ロデオの大会に見に行くときに、ぬいぐるみの牛の中にサラとグラントが一緒に逃げ込むシーンは大笑いだ。映画としては普通の映画だが、気楽に楽しめる。

バックに流れる音楽がいい。オールマンブラザースバンドのインストゥルメンタルナンバー「ジェシカ」、ベイシティローラーズ「サタデイナイト」など40代から50代に向けたものだ。それに加えてクィーンのロックンロール調の曲Crazy Little Thing Called Loveを小さい女の子がダンスパーティで歌う場面は本当に楽しそう。最後はスティービーワンダーのビートルズナンバー「ウィーキャンワーキアウト」で締める。なかなかのセンスだ。好きな音楽が流れまくると気分良くなる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする