映画とライフデザイン

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映画「ほつれる」 門脇麦

2023-09-13 17:08:20 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「ほつれる」を映画館で観てきました。


映画「ほつれる」は門脇麦が不倫していた主婦を演じる演劇畑の加藤拓也監督作品である。不倫していたと過去形にするのは、浮気相手が突然亡くなってしまうからである。

映画評は最悪、日経新聞は星2つだし、映画comも2.9と良くない。それでも観に行くのは門脇麦のファンだからである。前作「渇水」では売春まがいのことをしていて水道代を滞納するシングルマザーを演じた。主演ではないが、存在感があった。理由があるわけでない。ずっと追いかけてみたい女優である。映画館内はガラガラ、いつ公開打切りになってもおかしくない状況だった。

人妻の綿子(門脇麦)は夫に友人英梨(黒木華)と旅行に行くと夫(田村健太郎)にウソをいって木村(染谷将太)とキャンプに出かけていた。ところが、その帰路で木村は交通事故に遭う。綿子は救急車を呼ぼうとしたが、やめて自宅に戻る。夫との関係は冷めきっていたが、夫は修復しようとしていた。もともと木村は英梨を通じて知り合った。英梨より死亡の知らせを受けるが葬儀には参列しなかった。

それでも、綿子は木村のことが気になって仕方ない。英梨と一緒にまだお骨が納められていない山梨のお墓に向かう。夫との約束があったのに突然予定外の行動をとる綿子の動きに夫が疑いをもつようになる。


内容は普通、ストーリーには驚くような起伏はない。
低い点数をつける人の気持ちもわかる。
でも、門脇麦はよかった。現代版夫のいる不倫女になりきる。

夫がいながら不倫をしてしまっている若い女性を追いかける映画である。不倫にのめり込んでいるわけではない。熟女の不倫のような官能的な世界ではない。若い夫を騙して別の男に心を移す若い女性の揺れを門脇麦が巧みに演じる。ウソが重なり収拾がつかなくなる時もあると思うが、この手の女性は身近な男を騙すのが上手いので乗り切る。脚本の加藤拓也夫のある若い女性とつき合った経験があるのかもしれない。そういう女性を間近で見ないと書けない。


杉田水脈衆議院議員「女はいくらでもウソをつく」と言って、世間から強いパッシングを浴びた。(本人は否定しているが)でも、「それって当たっているんじゃない。」と思っている人は逆に多いと思う。大手をふっては誰も肯定しない。動物行動研究家で数多くのおもしろい本を書いている竹内久美子女史杉田の言葉は概ね本当だという。「うそをついている自覚がないのだから,挙動不審にもならず,見破られにくい。つまり,うそをつくのがうまいのだ。」(「ウェストがくびれた女は男心をお見通し」竹内久美子 pp.109-112)

「止められるか、俺たちを」若松孝二監督の助手を演じた門脇麦にグッと惹かれてから追いかけている。音楽をキーとしたロードムービー「さよならくちびる」や東京のハイソなご令嬢を演じた「あの子は貴族」は良かった。でも、自分には「止められるか」や本当は歌手になりたいストリップ嬢を演じた「浅草キッド」や売春行為で生きるシングルマザーを演じた「渇水」のような汚れて堕ちていく役柄に真骨頂を感じる。

ここでも、門脇麦「ウソをつく女」がもつ心の真実の揺れを表情で実にうまく見せてくれる。着実に成長しているのをみれるのはうれしい。本音を話した時の言葉の噴出が妙にリアルだ。演技の熟練度が増したのを見るだけでいいのでは。

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