映画とライフデザイン

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映画「亀は意外と速く泳ぐ」 上野樹里

2014-12-30 07:49:12 | 映画(日本 2013年以降主演女性)
映画「亀は意外と速く泳ぐ」は2005年の上野樹里主演のコメディ映画だ。


上野樹里は昨年の陽だまりの彼女でより一層好きになった。そんな彼女が名作「スウィングガール」のあと主演したオタッキーな作品があるという。公開当時まだ19歳だった上野樹里が、なんと「平凡な主婦がスパイになる」という映画に出演するのだ。興味深いので見たけど、かなりおもしろい。放送作家出身の三木聡監督がこれでもかというくらいギャグを連発する。確かにこれはいわゆるカルト映画といわれるはずだ。

片倉スズメ(上野樹里)は平凡な主婦である。夫は海外赴任中で、電話をくれても話すのはペットの亀の心配ばかりである。
毎日は恐ろしく単調に過ぎていく。


久しぶりに待ち合わせをした幼なじみのクジャク(蒼井優)には、2時間も待たされてしまう始末。同じ日同じ病院で生まれたクジャクには借りがある。そんなスズメは、地元名物の百段階段に貼られた小さな広告を目にしていた。
「スパイ募集!」何じゃこれ??
思わずその番号に電話をかけてしまう。三日後、彼女は指定された安アパートに向かう。そこには、クギタニシズオ(岩松了)とエツコ(ふせえり)夫妻がいた。彼らは自分たちがある国のスパイだと言い、スパイ希望ならと活動資金として、いきなり500万円を渡される。そしてスズメのような典型的な平凡人こそが、スパイ向きだというのだ。スズメはスパイになることにする。これまで通り平凡な生活をすることがスパイ活動なのだ。2人によれば本国からは「もう12年間連絡ない」なのだそうだ。

クギタニ夫妻から変わったスパイ特訓を受けることになった。ファミレスで店員の記憶に残らないようなメニューの注文をしたり、スーパーで高すぎず安すぎない3千円の平凡な買い物を実践してみたりする。商店街のくじ引きをクジャクの代わりに引くことになった。引こうとしてこれにあたったら平凡でなくなると一瞬あせったが、参加賞のティッシュで大喜び。でもクジャクは地引網漁体験を当ててしまい、一緒に出かけることになった。その網に死体が引っかかる。どうもそれは他国のスパイの可能性があると、公安の刑事(伊武雅刀)が町中を調べるように命じる。同時にクギタニ夫妻の動きもあわただしくなるが。。。

1.奇妙なレトロ感がある映画
それはロケ地になった場所の商店街がいかにも昭和の匂いを残しているからであろう。豆腐屋、もなか屋、昔ながらの洋品店、パーマ屋、さびれたラーメン屋どれもこれも平成の店構えではない。スズメは「永久パーマ」という古ぼけたパーマ屋で、アイドルのダンスをする変なおじさんにアフロヘアのパーマをかけられる。名前も変だけど、演じる人間も変だ。そのあたりからこの映画奇妙と感じまくる。


自分の実家のそばには東京でも有名な大きな商店街が2つある。いずれもチェーン店のファーストフード、銀行のキャッシュディスぺ―サー、ワタミや庄屋などの飲み屋チェーン、100円ショップ、こぎれいな美容院などに近年占拠されている。残っているのは刺身が売りの魚屋、一部の老舗和菓子屋くらいじゃなかろうか?この映画の風景とはまったく違う商店街になってしまった。

いったいこのレトロ商店街はどこだ!?思わずネットで調べると、三崎町だ。え!神奈川?
海も近いし、高低差が割とあって急勾配の階段もある。これほどロケ地に適した場所はないだろう。


2.ギャクの固まり
1分程度のギャグを次から次へと爆裂させる。長回しはほとんどない。そしてそれを連続させる。おもしろい芸もあればそうでないのもある。そのギャグは単なるしゃべりでなく、水でしけた最中や水に一晩ひたしたかりんとなどを映して、映像でしっかりわかるようにする。自分にはコーエン兄弟「赤ちゃん泥棒」のような切れ味を感じた。初恋の加東先輩(要潤)のヅラ場面もおかしい。↓



この映画のキーワードは「平凡」である。
スパイというのは平凡に生活するものだということで、主人公が黒いサングラスを「スパイぽい」と思って買ったら、目立つと指導する2人に怒られたりする。主人公は「そこそこ」の味がするラーメン屋が好きだ。いつもそこで食べる。実はそこの店主(松重豊)もスパイなのだ。彼によれば、おいしくするのは簡単だという。でも店が流行ってしまったら目立ってしまう。だから「そこそこ」のものをつくる。なるほど!
こういう生き方ってあるかもしれない。

この映画では俳優がいきいきと楽しんでいる印象がある。
上野樹里がかわいい。撮影した時はまだ18歳だったんじゃなかろうか?彼女が演じる主婦は平凡という設定だが、このかわいさは非凡だ。


蒼井優の個性もきわだつ。
ここでは奇怪な動きをする。地でいっている感じが好感持てる。


他にも岩松了などの脇役の活躍が映画をいい感じに仕上げている。
三木聡監督の映画づくりの極みがよく出たいい映画だとい思う。

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