映画とライフデザイン

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映画「アンナ・カレー二ナ」 キーラ・ナイトレイ

2013-04-03 19:58:18 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「アンナ・カレー二ナ」を劇場で見てきました。

言わずと知れた文豪トルストイの名作を映画化した作品だ。19世紀の貴婦人の不倫愛をトルストイらしいダイナミックな構図で描いた。ドストエフスキーは「アンナ・カレーニナ」を「文学作品として完璧なものである」と評して「現代ヨーロッパ文学のなかには比肩するものがない」とさえ言い切った。

予告編の時より、映像の華やかさに目がくらんでいた。
ジョーライト監督は「路上のソリスト」「ハンナ」いずれも好きだ。
花粉症にやられた目の調子も復活してきて、今月から映画も復活しようといざ出陣

1874年のロシアが舞台、アレクサンドル2世による帝政のころだ。
サンクト・ペテルブルクで社交界の華と謳われる美貌の持ち主アンナ・カレーニナ(キーラ・ナイトレイ)は、政府高官の夫カレーニン(ジュード・ロウ)と結婚し、息子にも恵まれ、何ひとつ不自由のない暮らしをしていた。ある日、兄夫婦が離婚の危機にあると聞き、仲を取り持つために兄家族が住むモスクワに向かう。モスクワへ向かう中、騎兵将校のヴロンスキー(アーロン・テイラー=ジョンソン)と出会ったアンナ。二人は一目見たときから恋に落ちてしまう。自制心を働かせようとするも、舞踏会で再会したときには燃えさかる情熱を止めることができなくなっていた。アンナは社交界も夫も捨てヴロンスキーとの愛に身を投じるが、それは同時に破滅へと向かうことになっていく……。

1874年といえばロシア革命まではまだ40年の月日がある。いわゆる帝政ロマノフ朝に陰りがさしているわけではない。皇帝アレクサンドル2世は農奴解放令を1861年に出しているが、その後の民衆反乱は鎮圧している。クリミア戦争こそ失敗すれども、権威が落ちているわけではない。1877年にはオスマントルコと露土戦争を戦い、地中海への南下政策を進めている。
皇帝をとり囲む貴族たちはその権力をまだ誇示している。
この映画では貴族たちが社交を楽しむ華やかな世界を美しく映像化している。
華麗なストリングス中心の音楽もすばらしい。
舞台となるセットがいくつも移りゆく、その中で立ち回る人妻アンナ・カレーニナが美しい。

まさにキーラ・ナイトレイには適役といえる。27歳というのは大人になりかけの女性の魅力を出すこともできる年頃である。不倫の恋といえば、たいてい予期せぬ懐妊が絡むものである。ここでもお決まりのように出てくる。それに対しての処置方法が現在と違うことにも注目したい。

意外にも夫役ジュード・ロウが寝とられ役のしょぼい役である。いつもの男っぷりの良さと比較すると、情けない役をいかにもらしく演じるところがいい。これはうまい。

ヴロンスキー役のアーロン・テイラー=ジョンソンは色男ぶりを発揮するが、「ノーウェア・ボーイ」のジョンレノン役とは少々驚いた。映画を見ている時にはまったくかぶらなかった。

この小説はアンナとヴロンスキーの不倫恋を描くだけでない。トルストイらしいスケールの大きい複層構造の恋物語である。農家を営むリョーヴィンと兄嫁の妹キテイの逸話が並行的に語られる。むしろそっちの方が興味深いという人もいる。でもここではちょっと弱い印象だ。何でかな?やっぱりキーラナイトレイの美しさが主題になってしまうからなのかな?アンナの魅力に取りつかれたヴロンスキーを好きなキテイがやきもきするシーンが象徴的だ。今がキーラの美の絶頂なのかもしれない。

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