映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

醜聞(スキャンダル) 黒澤明

2009-12-24 20:09:13 | 映画(日本 黒澤明)
今日はクリスマスイブである。この映画がクリスマス映画というと語弊があるかもしれない。しかし、この映画の重要な場面に戦後間もない昭和24年のクリスマスの世相を描いたシーンがある。黒澤明監督が松竹で作った数少ない作品である。三船敏郎李香蘭から本名に名を変えた山口淑子の共演に志村喬が絡んでいく。

画家の三船敏郎は奥多摩で雲取山の絵を描いていた。そこを通りかかったのが、声楽家である山口淑子だ。山の上まで一人で歩いてきたが、荷物を抱えてどうしようかと思っている時、バイクで来た三船が見かねて送って行く。そして一緒に旅館に入る。美女の山口淑子は極端なマスコミ嫌い。取材で追いかけているカメラマンから逃げ回っている。そんな時たまたまカメラマンが三船と山口が同じ部屋に入るのを見つける。二人が並んだ瞬間に写真を撮る。

雑誌の編集室で現像してみると、山口の相手が著名な画家の三船だと分かる。編集長の小沢栄は話をでっち上げ「恋はオートバイに乗って」と記事を書かせる。雑誌は飛ぶように売れた。それに気がついた三船は単身編集室に乗り込み小沢を殴る。そして訴えようとしているときにうだつの上がらない弁護士志村喬が訴訟代理の売り込みにやってきたが。。。

法廷物というにはちょっと陳腐である。話にも多少の不自然さを感じる。三船と山口が主演であるが、情けない弁護士志村喬の話が中心である。双方代理という弁護士法違反に触れるスレスレの話だ。タイガーウッズのスキャンダルで米国も大騒ぎだ。今も昔も変わらないということか。

弁護士の娘が結核で病んでいて、その娘と三船との心の係わり合いがポイントだ。娘がいたから三船も代理を依頼した。クリスマスイブに声楽家の山口淑子がその娘のために歌を歌ってあげる。三船がオルガンを弾く。異様だけれどもいい感じ!
60年前のクリスマスイブの一光景だ。
その後酒場に三船と志村が向かう。場がクリスマスムードでも、ホステスの顔や髪の毛が戦後というより戦前に近い古さだ。酔客で左ト全がでてくる。来年は絶対にいい年にしたいとのたまう。そこで蛍の光を歌う。そのシーンが微妙に心に響く。

山口淑子はこの映画の後にアメリカに向かい芸術家のイサムノグチと結婚する。その直前であるから美しいのは言うまでもない。エキゾチックで日本人離れしている。この時点だけをとらえてみれば、明らかに三船よりも李香蘭で一世を風靡した山口の方が格上。その山口と仲良くオートバイに乗った三船はさぞかしご満悦だったのでは。。。。

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