映画とライフデザイン

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映画「アメリカから来た少女」

2022-10-08 19:32:35 | 映画(アジア)
台湾映画「アメリカから来た少女」を映画館で観てきました。


映画「アメリカから来た少女」は台湾映画、母娘3人でアメリカから台湾に帰国した13歳の少女が母国の学校生活に慣れずに戸惑う生活を描いている。韓国映画はちどりが好きな人はこの映画を気にいるかもしれないというコメントを見て気になり早速映画館に向かう。主人公と同じような境遇でアメリカで育った女性監督ロアン・フォンイーがメガホンを持ち、台湾映画界の各種映画賞を受賞したようだ。

2003年冬、母と妹とロサンゼルスで暮らしていた13歳のファンイー(ケイトリン・ファン)は、母(カリーナ・ラム)が乳がんになったため、3人で台湾に戻ってきて父と暮らす。台北の中学に通い始めたファンイーは、アメリカとは違う学校生活になかなか馴染めない。母に対しファンイーは反抗的な態度を取り続ける。親子の溝が広がっていく話である。


流れているムードは静かである。
比較的平坦な映画である。細かい逸話をいくつも重ねていくが、起伏は小さい。ちょうどSARSが流行した時期で、ストーリーに少しだけ織り交ぜる。自由なアメリカでの学校生活に比較すると、規則でがんじがらめになり戸惑う少女の心の動きと周囲から冷たい目で見られる姿を描く。病気で苦悩する母親は女のイヤな部分をここぞとばかり見せつけるので、自分はちょっと苦手。女性の方が気持ちが同化しやすいかもしれない。

「はちどり」は主人公の他に、漢文塾の先生という魅力的な女性を登場させたので傑作というべきレベルになった。オーディションで選ばれたケイトリン・ファンの演技はすばらしいが、映画としては「はちどり」と比べるとちょっと弱い。


⒈台湾の学校生活と意外な側面
アメリカではAの数が多いので、主人公ファンイーはいわゆる台北の名門校に編入できた。幼なじみとも仲良くなれた。でも、校則で髪を切らねばならずガッカリ、漢文の授業は苦手だ。しかも、母親の精神状態が不安定で家庭内がバラバラだ。とても勉強できるムードにない。成績もわるい。ここで、漢文の授業で点数が発表されて成績のわるい人は立てと言われるが、ファンイーは立たない。そこで女教師に体罰を受ける。この時代でもまだ残っていたのかと驚く。

さすがに大人扱いを受けた自分の高校では体罰はなかったが、昭和40年代半ば過ぎだった公立中学時代は、当然の如く体罰の嵐だった。別に部活動ではない。課題の出来が悪いだけで、美術の教師はお尻を竹刀で叩いたし、英語の教師も小さな棒で叩いていた。体育の教師は生徒をしょっちゅう殴っていた。当然その当時の教員は体育の教員を除き戦前派で軍隊こそ行くかどうかの境目くらいで、旧制中学くらいまで行っていた。戦前の体罰は自分の時代よりもひどかっただろう。

台湾は戦前は日本が統治していた訳で、この体罰の習慣も日本人教師が持ち込んだのであろう。映画の学校の保護者会の場面で体罰を肯定する発言が親から出ていたのには驚く。
今はどうなっているのであろうか。


⒉旧式のインターネットとSARS
2003年ってついこの間のような気もするが、はや19年経つ。ネット時代に入っているが、携帯電話も旧式だし、インターネットは電話回線で立ち上がりに時間がかかる。それでも、ファンイーは一人でネットカフェに入り、台湾の学校生活は不自由だとアメリカの親友にメールして愚痴をこぼす。母との衝突をブログ記事にして、学校の先生にもバレてしまう。

自分もSARSのおかげで毎年のように遊びに行っていた香港に行けなかった。ここでは、妹に熱が出て学校行事に行けるかどうかの問題が最後のストーリーの詰めの題材になっていく。


ここでは、父親の発言が気になる。台湾だけでは商売が成り立たないので、大陸に長期出張して家を空けざるを得ない。そもそも、そういう事情で母親と娘2人がアメリカに行ったのだ。現状、台湾海峡をめぐる事情も徐々に緊迫している。台湾人は当然現状維持を望むだろうが、そうはさせないと試みる。でも、台湾のビジネス上では大陸の影響を大きく受けるというのがセリフからわかり複雑な気持ちになる。

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