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映画「ロストキング 500年越しの運命」 サリー・ホーキンス

2023-09-23 18:09:22 | 映画(自分好みベスト100)
映画「ロストキング 500年越しの運命」を映画館で観てきました。


映画「ロストキング 500年越しの運命」は15世紀後半の英国王リチャード3世にまつわる伝承の真相を探った女性を追う英国映画である。手堅い演出のベテラン監督スティーブン・フリアーズがメガホンをとり、サリーホーキンスが主人公を演じる。サリー・ホーキンスは好きな女優である。美人ではないが、不思議な魅力がある。異類との恋を描いた「シェイプオブウォーター」の演技には感動した。サリーホーキンス、歴史ものという2つの観点でこの作品を選択する。これは成功だ。

世界史好きな自分でも、百年戦争からテューダー朝に至る15世紀の英国に関する知識は薄い。山川の教科書を見ても、王朝家系図にリチャード3世の名前はあるが、教科書の文章に彼に関する記述はない。もっとも、シェイクスピア劇の中では「リチャード3世」は4大悲劇の次によくとりあげられる。ただ、かなり悪人に扱われているので有名だそうだ。

フィリッパ・ラングレー(サリーホーキンス)は2人の子どもを抱えて働くシングルマザーである。職場での理不尽な待遇に不満をもっている。離婚した夫とはまだ良い関係だ。息子と一緒にシェイクスピアの「リチャード3世」を観劇した際にリチャードの扱いに違和感を感じて、リチャード3世に関する書物を読むようになる。すると、フィリッパの前にリチャード3世の幻影(ハリー・ロイド)が姿を現すようになる。


のめり込んだフィリッパは同じような同志が集うリチャード3世協会に入会した後、リチャード3世の遺骨が実際には川に散骨されたのではなく、昔あった屋敷の敷地内に眠っているのではと思い、大学教授リチャード・バックリー(マーク・アディ)の協力を仰ごうと行動を起こす。

感動した。すばらしい!
自分にフィットした作品で歴史好きには必見である。今年の自分ベストに入る快作だ。
目標に向かって突き進む女性を描いた映画はたくさんある。その中でも目標の難易度は高い。そもそも歴史や考古学にまったく無縁の女性が、500年以上前の王室の真実を追う訳だ。歴史学的にもリチャード3世に関する定説ができている。覆すなんてことは難しい。かかる費用を捻出するべく資金集めをするために大学や役所に乗り込んで行ったり、クラウドファンディングで世界中からお金を集める。

リチャード3世にのめり込む前に会社で冷遇されて、精神的に参っている上に持病もある。それでもくじけず前に進む。そんなフィリッパを演じるサリーホーキンスがすばらしい。適役だと思う。これだけ頑張っているのに、もともと資金を出すときに渋って、否定的だった連中が急に自分の手柄だと言い出す。われわれの周囲を見回してもよくあることだ。フィリッパ頑張ったねと言ってあげたい。女王陛下から勲章をもらったと聞くと救われる。


この映画も居心地のいい映画だった。話している英語が妙にしっくりアタマにはいる。英語能力がさほどでもない自分でもわかりやすい。これは英国のベテラン監督スティーブン・フリアーズがメガホンを持っているせいかもしれない。自分が中学や高校で英語の教師に習った英語と通じるものがあるかもしれない。アメリカ映画を見るときよりも英国映画を観るときに感じることが多い。英語の恩師を思い出す。

加えて、スコットランドのエディンバラの街並みやフォース鉄道橋などの背景も趣があり、流れる音楽から美術を含めて何もかもが良かった。


幻影としてリチャード3世を演じるハリー・ロイドがお茶目だった。幻影は肝心な時に主人公のそばに来てヒントをくれる。そんなファンタジー的要素でなごませる。それもこの映画を魅力的にしているポイントだ。女性の直感の凄さも実感する。

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