映画とライフデザイン

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映画「BLUE GIANT」

2023-02-19 06:46:21 | 映画(自分好みベスト100)
映画「BLUE GIANT」を映画館で観てきました。


映画「BLUE GIANT」は以前ビックコミックに連載されていた石塚真一の同名漫画を立川譲監督でアニメ映画化したものである。恥ずかしながらこの漫画の存在自体知らない。そもそも長い間漫画雑誌はまったく読んでいない。ビッグコミックにさいとうたかをが亡くなってもまだ「ゴルゴ31」が連載されていることを知っていても、ほかに何が連載されているかも知らない。

そんな自分でも、プロのジャズミュージシャンを目指した成長物語のアニメ映画が公開されると知り気になる。今までこんな設定の作品ってあっただろうか?目の付け所がいい。しかも、映画ではアニメ映像に合わせて現役のジャズプレイヤーがバックで吹替え演奏しているとなるとアニメ映画はめったに観ない自分でも観に行きたくなる。結果、大正解だった。


高校時代からジャズプレイヤーを目指して、テナーサックスの練習をしてきた宮本大(山田裕貴)が卒業して仙台から上京する。行くあてもなく、大学に進学した玉田(岡山天音)の家に居候し、橋の下で練習を始める。ライブハウスで演奏していたピアニストの沢辺(間宮祥太朗)のプレイに惚れ込み、一緒にやろうと誘いジャズで身を立てようとする話である。

気分が高揚するすばらしい成長物語だった。
映画が始まり、いきなり、ジョンコルトレーン「インプレッションズ」の旋律が流れる。イイぞ!と興奮してくる。そこから主人公宮本大がサックスで身を立てようとする物語が始まる。大がそのピアノプレイに惚れたライブハウスで演奏している沢辺は、ピアノを4歳からやっている天才肌でプライドの高い男だ。大の演奏を聞いて一緒に組んでもイイということになる。こんなプロとしてモノになる寸前の演奏でも本物のプロのプレイヤーが吹替え演奏している。これがイカしている馬場智章のサックスソロが実にいい。


ピアノの上原ひろみを中心にオリジナルの曲を作ったのであろう。連載漫画では当たり前だが、音はない。普段漫画を読まない自分のようなジャズファンが聴いても気にいるような映画にしようとする意気込みが感じられる。登場人物が演奏する曲も練って作っている感がある。石原裕次郎時代の日活映画でジャズマンの成長物語があった気がする。でも、流れるジャズのレベルが違う。

物語の流れは比較的単純である。スポーツ根性モノ劇画のような成長物語だ。素人ドラマーの玉田がこんなにすぐうまくなるのかよと思ってしまうが、所詮はアニメ映画、いいんじゃないと受け入れる。実写でなくてよかったなとは思わせる。


元ジャズ歌手のジャズクラブの女性オーナーや無理やり出演させてもらったライブハウスのオーナー東京で一番のジャズスポットのオーナーなど登場人物も巧みに設定している。スポーツ根性劇画で甲子園出場を目指すが如く、10代のうちに「BLUE NOTE 」を意識した架空の人気ライブスポット「SO BLUE」のステージに出演しようと頑張るなんて話もいい感じだ。紆余曲折もいくつか用意して緩急をつける。実に楽しい。


コロナでジャズのライブステージができない時期もあり、酒を飲みながら楽しむジャズクラブ通いも減った。ジャズ人気に翳りが出てきている中でこの映画が公開される意義は大きい。映画館で周囲にいる若いカップルがじっと見入っている姿にジャズを知らない人たちもこれをきっかけにジャズを好んで聴くようになるのではと感じた。

大学時代から一緒にジャズクラブ通いを続けている仲間たちにも薦めたい。


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