映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

入学式の奇妙な写真 朱川湊人

2010-04-30 06:00:41 | 
毎日見ている日経新聞の裏面は文化欄になっていて、私の履歴書とエッセイが連載されている。今月の私の履歴書は有馬稲子さんで、月中一瞬ドキッとさせられたけれど、途中からは割りと普通であった。それを見ている時に何げなくエッセイに目をやったら、すごく素敵なエッセイで一気に引きずりこまれてしまった。4月18日にでていた。

入学式の奇妙な写真 朱川湊人である。

作者のプロフィルをみると、自分よりすこし年下で同じ大学の出身のようだ。直木賞をとっているらしい。顔写真は非常に温和な顔をしている。そんな印象だった。
読み始めて文面のもつやさしさに感銘を受けた。

内容としては、
両親が離婚して男ばかりの3兄弟の末っ子で父親に育てられた筆者である。見栄っ張りで宵越しの金を持たない出来の悪い親父であった。筆者が実力以上の第一志望の大学に受かってしまったときにその親父が歓喜して入学式についてきた時の話である。そもそも高校と中学校の写真を一枚のフィルムに収めるような親父なのに、入学式で写真を撮りまくる。そうして撮った写真の中に2枚ほど奇妙な写真があった。それは見ず知らずの他の新入生と一緒に撮った写真である。親父さんが勢いで横を歩いている人をつかまえて、写真を撮ったというのだ。結局2度とあわなかった人になったようだ。でもその2人とも満面の笑みをたたえている。入学が嬉しかったからそういうノリのいいこともしてくれたんだ。でもいい写真だと思っている。
という話である。読んでさわやかな気持ちになった。

すごく素敵な文章を書く人だと思って、会社の行き帰りに朱川湊人さんの本を読むようになった。期待にそぐわない素敵なタッチの文面である。また別の機会に詳細は伝えたいが、ストーリーの大半は自分が生まれた昭和30年代に時間をタイムスリップさせている。ノスタルジックでいい。
昨日「超魔球スッポぬけ」というエッセイを読んでいたら、その中にこのエッセイの原型となる文面が載っていた。そして古新聞を引っ張り出してもう一度よんだ。
しばらく彼を追いかけてみよう。

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