映画とライフデザイン

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映画「疑惑」 桃井かおり&岩下志麻

2014-06-01 22:33:34 | 映画(日本 昭和49~63年)
映画「疑惑」は松本清張原作の映画化で1982年度キネマ旬報日本映画4位となったサスペンス映画である。
松本清張といえば野村芳太郎監督である。まさに疑惑をかけられるのは桃井かおりで、弁護するのは岩下志麻である。

70年代後半から80年代にかけては、主演2人にとっては人気のピークである。ノリにのって芝居をしているという印象である。桃井かおり31歳、岩下志麻41歳である。桃井については被告人にもかかわらず、裁判の審議中にちゃちゃを入れるあばずれぶりが凄い。岩下志麻の弁護人ぶりもなかなか堂にいっている。中年にさしかかったころの美貌に目を奪われる。
最終の結末に疑問が残るけど退屈せず楽しめる。

富山の老舗酒造会社の社長夫妻がのる自動車が港の岸壁から海に突っ込んだ。妻は車から脱出したが、夫はそのまま海の中で車に閉じ込められ死亡する。
夫である酒造会社社長(仲谷昇)は元銀座ホステスの女(桃井かおり)と再婚したばかりで、妻の受取名義で3億の死亡保険金が掛けられていた。女は結婚前に犯罪歴があり、警察から保険金殺人を疑われる。妻は懸命に無罪を主張する。その後、事故現場周辺の目撃証言で逮捕される。
新聞や週刊誌などで悪女に仕立てられた妻には弁護人がつかない。結局引き受けたのは離婚歴のある弁護士(岩下志麻)であった。接見した弁護士と妻は一癖ある女同士いきなり衝突する。それでも弁護人は捜査資料を読み解き、妻の過去に注目するが。。。

1.桃井かおり
元銀座ホステスで、店に来た富山の金持から求愛を受け結婚する。金持ちの社長は7年前に妻と別れていて、さみしい社長の方から熱烈に求愛された。里子に出されていい育ち方はしていない。博多中州で水商売に入ったが、傷害事件を起こすなどまともな生活をしていなかった。

2.仲谷昇
富山の老舗酒造会社の跡取りで社長。妻とは死別していて、元妻との間に中学生の長男がいる。母親がまだ存命で、何かとうるさい。田舎では派手に遊べないけど、東京では大丈夫という感覚で桃井に言い寄る。気がつくと桃井に惚れて、お願いして富山に来てもらう。ところが桃井と家族とは合わない。財産は中学生の長男に贈与されることになり、その代わりに多額の保険に加入することになった。

焦点は車を運転していたのが誰かということ。
証人は妻が運転していると言うが、服装が微妙だ。現場には工具が置かれていた。警察は故意に妻が運転して海に突っ込んでフロントガラスを割って脱出したという。妻はそんな危険なことをわざわざするわけがないという。

岩下志麻が弁護士で出てくる。
配役的に?事件を解決してしまって勝訴は堅いだろうと自分は推測をたてるけど、桃井が証人にからんだり法廷で暴れまくる。桃井の元恋人がたまたま一度会った際に、エドワードケネディの自動車事故事件になぞらえて、保険金殺人を彼女が企んだと証言する。しかも、桃井かおりの法廷での心証は最悪である。岩下はどうするのであろう?


この映画ですごいなあと思うのは、実験を実際に何度もやっているということ
つまり、岸壁から海に向けて無人車を走らせ、フロントガラスがどうなるのか実験をする。普通はここまでしない。それによって、フロントガラスは車が海に突っ込んだ衝撃で割れたことが証明される。
なるほど、ではどういうことなの?
その伏線は映画の最初の方で見せていた。

最後まで気の強い同士の岩下志麻、桃井は争い合う。この演技合戦はすごい。
若き日の柄本明の新聞記者がいやらしく主人公と敵対し、「料理の鉄人」より10年以上前の鹿賀丈史のチンピラぶりも絶妙だ。戦後映画界を支えた多くの俳優が出演している。北林谷栄、小沢栄太郎、名古屋章なんかはなつかしい。山田五十鈴がみせる銀座のママ役の貫禄はさすがといったところだ。

でも元夫との間にいる夫側に育てられている1人娘の件が最後まで話題になる。これってストーリー全体に必要なのかしら?あとは保険金の扱いもちょっと疑問?あれほど騒いだのが何?という感じだけど

とはいうものの全盛時の大女優2人による良質のサスペンスである。

疑惑
岩下、桃井の演技合戦

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1 コメント

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封切りで見て大笑いしました (さすらい日乗)
2017-01-24 21:27:37
たぶん、封切りの日に有楽町のピカデリーで見て大満足しました。
この頃が野村芳太郎のピークだったと思います。
女優二人の争いが非常に面白かった。

この頃、松本清張は、野村に自作の『黒地の絵』の映画化を願望していたのですが、結局できませんでした。
これは二重の意味で間違った小説です。それは、祇園祭りの太鼓の音で黒人の囚人兵が暴動を起こし、日本人を襲うという筋です。
ここにはまず祇園太鼓についての誤解があります。祇園太鼓は本当は非常に静かなものなのです。もし、大きな音だとしても、それにアフリカ人の血が騒いで暴動を起こすなど、今では人種差別です。
結局映画化されなかったのですが、それでよかったと私は思っています。
映画化されていれば、オバマ氏には見せられない映画になったと思います。

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