映画とライフデザイン

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映画「銀平町シネマブルース」 小出恵介&城定秀夫

2023-02-17 20:03:27 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「銀平町シネマブルース」を映画館で観てきました。


映画「銀平町シネマブルース」は次から次へと驚異のスピードで質の高い新作を送り込む城定秀夫監督の新作だ。城定作品の常連とも言える俳優たちとともに小出恵介が主演で登場する。名画座のスカラ座に集まる映画好きの男女をめぐる人間模様の物語である。どちらかというと、ルンペンと生活保護の境目を生きる生活力のない面々の貧困ストーリーとも言える。

以前、転勤で埼玉の小江戸川越に2年半住んだことがあった。今や観光地化された蔵の町川越の一角に川越スカラ座があり、自分はそこから徒歩5分程度のところに住んでいた。今回、好きな城定秀夫作品というだけでなくスカラ座で撮影されたということも気になっていた。

銀平町に来た金のない男近藤(小出恵介)が公園である女性(浅田美代子)に声をかけられていくと、生活保護でしのいで行こうとする連中の集まりだった。そこには、似たような金欠男たちがたむろっていて、近藤のカバンを盗んだ男佐藤(宇野祥平)もいた。

そこでスカラ座という名画座の経営者梶原(吹越満)と知り合う。映画館の開館から60年も経つのに客が不入で給料をまともに払えないし、借金は積み上がる。それでも近藤はスカラ座でバイトして梶原のアパートに一泊1000円で同居する。傷を舐めやっているときに、スカラ座にたむろうメンバーで60周年記念デーをやろうと思いつく。


城定秀夫作品にしては普通の映画だった。
日本映画には貧困、生活保護のテーマが多すぎて嫌気もさす。日本の映画人ってみんな貧困のドツボにハマっているのかな?と思ってしまうような「いまおかしんじ」の脚本である。

演じるのは日本のインディーズ映画の常連たちである。その中で浅田美代子が生活保護者を騙して金を巻き上げる貧困ビジネスの親玉を演じているのが印象的だ。こんな悪党もできるのかと思わず吹き出してしまう。


映画の中の映画の手法を使う。
小出恵介演じる近藤が元映画監督で、離婚した上に1人で放浪してようやく青春時代に過ごした銀平町に戻る。ホラー映画界ではカルト的存在という設定だ。スカラ座60周年で上映するお蔵入りのゾンビ映画では元夫人が出演していて、この映画をきっかけに再会する。いつも不思議に思うんだけど、こういう自主制作の映画って何でいつもゾンビ映画なんだろう。

あともう一本の記念上映の作品は、城定秀夫監督「アルプススタンドのはしの方」でいい味を出していた小野莉奈が監督したという設定の作品だ。その2本を公開すると、観客も大勢きてめでたしという展開だ。2本ともいかにも商業ベースというよりも自主映画のレベルである。城定秀夫の近作に比べると、脚本の底が浅くて残念だった。

ロケ地の川越スカラ座は全面的に協力したようだ。いかにも昭和30年代にできた映画館である。川越市役所の近くにあり、周囲には老舗の料理屋がなぜか多い。スカラ座に隣接した洋食屋太陽軒も歴史を感じさせる趣きある建物である。以前は客は少ないさびれた店だった。川越にくる人が増えてからはかなり垢抜けた。


他にも川越のロケがあるかと期待したが、田舎の川風景や海が出てきてこれは明らかに違う。どこかな?とエンディングロールを探すと、木更津の文字はあったけど、どうなんだろう。

映画の持つ雰囲気はのどかだけど、他の作品をさておいてみる価値はなかった
コメント
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