映画とライフデザイン

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白い恐怖 イングリッド・バーグマン

2011-01-10 20:25:03 | 映画(洋画 69年以前)
アルフレッドヒッチコック監督によるサイコスリラーである。
1945年というと終戦の年。監督にとっては「救命艇」のあと「汚名」の前の作品でイングリッドバーグマンをメインにする。「カサブランカ」「ガス燈」と続き、前年にはオスカー主演女優賞を受賞。彼女にとっての絶頂時期で実に美しい。今回は精神科医を演じる。眼鏡をかけたバーグマンも知的魅力にあふれている。もともと世界大戦のあと精神分析が流行していたそうだが、その分析に関する話は中途半端になってしまった印象だ。


「緑の荘園」と呼ばれる精神病院の前院長が退任して、新院長ことグレゴリーペックが着任した。病院の女医ことイングリッドバーグマンはお固いと同僚から言われていたが、精神医として高名な彼に急激に魅かれた。ある日、バーグマンはグレゴリーが白と黒のストライブ模様に対して異常な恐怖を抱いていることに気づく。また、彼女はグレゴリーのサインが新院長の著書のサインと違うことに気づき問い詰めると、本物の新院長を殺害したと思い込んでいた記憶喪失の患者である事を突き止めた。そして彼はそのままニューヨークへと姿を消した。彼女は心を惹かれたグレゴリーの失われた記憶を追うことで、真実をつかもうとニューヨークへと旅立つのであったが。。。



「白い恐怖」「汚名」はいずれもイングリッドバーグマンが主演で、サイコサスペンスの色彩もあるが、どちらかというと恋愛映画の色彩が強い気がする。それもイングリッドバーグマンの美しさを強調しているからなおのこと感じるのかもしれない。ヒッチコックは美男美女を主演にもってくることが多い。イングリッドバーグマンのあとはグレースケリーと続いていくが、最大のお気に入りはイングリッドバーグマンだとも噂される。有名なイングリッドバーグマンの恋の逃避行でもっとも失望したのはヒッチコックだそうだ。相手役のグレゴリーペックは「ローマの休日」の6年前の作品で、まだ新進気鋭といった感じ。バーグマンからみて格下の印象だ。

恋愛映画的雰囲気を盛り上げるのが、ミクロスローザの音楽だ。彼はこの作品でオスカー音楽賞を受賞している。この後のスリラー映画の基本ベースとなったテルミンによる恐怖の雰囲気を醸し出しながら、基調はラブロマンス的なストリングスの音楽である。繰り返される主題に合わせて、そこにバーグマンが登場すれば、否が応でもロマンチックムードが盛り上がる。

しかし、ヒッチコック得意の小技は他の作品ほどは冴えない。この映画は「夢のシーン」がよく話題に出るが、そんなに凄いとは思えない。やはり彼の本領が発揮されるのは「見知らぬ乗客」からではなかろうか?それまでに6年を要してしまう。「白い恐怖」「汚名」の2作は、これでもかとイングリッドバーグマンに何度もキスの演技をさせるのが印象的だ。
コメント
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