映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

魂萌え 風吹ジュン

2011-01-27 20:57:01 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
「魂萌え」は桐野夏生の小説の映画化だ。定年を迎え夫婦ふたりで平穏な生活を送っていた妻が、63歳夫に心臓麻痺で急死される。平凡だった主婦に次から次に訪れる波乱含みの話だ。風吹ジュンが好演で、とりまくさまざまなキャラクターの俳優たちがおもしろい。



夫こと寺尾聰が定年退職を迎えた夜、妻こと風吹ジュンが祝宴の後片付けをしていると、夫が手を差し出す。2人はぎこちなく握手をした。その3年後の2月。寺尾が突然の心臓発作で帰らぬ人になる。葬儀が終わると、息子が日本に戻ってこの家で同居したいと言い出し、長女こと常盤貴子は兄の勝手さに憤慨する。その常盤も彼氏と同棲状態。その時、死んだ寺尾の携帯電話が鳴る。寺尾の死を知らなかった伊藤という女性こと三田佳子からであった。
寺尾は蕎麦打ちが趣味で、亡くなった日も「杉並蕎麦の会」に行ったと思っていた。だが、線香をあげに訪れた「杉並蕎麦の会」のメンバーによると、今年は1回も来なかったという。夫の嘘は三田という女性に関係があると直感し、風吹ジュンは三田佳子を呼び出す。翌日、線香をあげにきた三田は、明らかに年上だ。寺尾とは会社の同期で、10年も交際してきたという。驚くばかりだったが。。。



家の子供たちが自分勝手に相続しようとするのを目の当たりにして、主人公は腹たてて家出をする。
生まれて初めて入ったカプセルホテルで年老いた変人女性加藤治子に出会う。これが普通じゃないおばあさんだ。それに加えての主人公の3人の友達、それぞれ一世を風靡した今陽子、藤田弓子、由紀さおりの高校の同級生3人これも面白い。ケンカばかりしているけど、いつも一緒に行動を共にする。「杉並蕎麦の会」の人たちの会へ行き、なぎらケンイチや林隆三と知り合う。初老の恋愛話も混ぜてくる。いろんな個性が入り混じっていって、映画はドタバタしながらおもしろく展開していく。

きっと原作が丹念に作っているのであろう。
それに加えてベテラン役者さん達の個性が冴えていた。それぞれに好演だと思う質の高い映画だ。
最後は主人公の前途を応援してあげたい。そんな気にさせられた。

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花のあと  北川景子

2011-01-27 16:56:35 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
藤沢周平の短編を映画化した作品だ。男勝りの剣の腕をもつ主人公に北川景子が扮する。いかにも藤沢周平作品らしいほのぼのとしたムードで作品が流れ、起承転結がはっきりしている時代劇である。



藤沢周平いつもながらの東北の海坂藩。満開の桜の下、主人公こと北川景子は一人の若い武士、江口孫四郎と出逢う。その男は藩随一の剣士という噂だ。男に劣らぬ剣の腕を持つ北川は数日後、父の許しを得て、江口と竹刀を交えることとなった。激しく竹刀を打ち合ったが、剣の腕に差があり、勝てなかった。その時、真剣に女性の剣士に立ち向かった江口に対して熱い恋心が燃え上がった。


しかし、北川には家の定めた才助という風采の上がらぬ許婚がいたのだ。同じころ、江口にも上級武士の家への婿入りの話がでているのであった。北川は静かに江口への想いを断ちきった。数ヵ月後。冬になって主人公の元に、江口が江戸で自ら命を絶ったとの報が舞い込んでくる。驚く北川。江口が藩の名誉をそこない窮地に陥った末のことであったが。。。。陰謀であった。

満開の桜と雪山の美しい景色が印象的な映像である。男勝りの剣の達人という設定は珍しい。
難しい役を北川景子が上手にこなしたと思う。かなり剣のけいこを重ねたのではないか?
ストーリーは読みやすい。決着の仕方はちょっと不自然な気もする。でも時代劇はそんなものだろう。単純に見た方がいいかもしれない。
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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ 佐藤江梨子

2011-01-20 20:21:33 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」は佐藤江梨子が女優くずれの役を演じるコメディである。まさに適役といった感じだ。脇の俳優の演技も冴える。傑作という訳ではないが、悪くはない。



北陸石川県の田舎でトラックにある夫婦がはねられるシーンからスタートする。
死んだ夫婦には兄こと永瀬正敏夫妻と妹佐津川愛美が同居していた。その訃報を受け、長女こと佐藤江梨子が東京から実家に戻ってきた。女優になることを目指して上京していた佐藤江梨子は自己チュウの固まりのような女だ。親の仕送りで生活していた。4年前上京を父親に反対された佐藤江梨子は、父をナイフで切りつけようとして、止めに入った兄こと永瀬正敏の額に傷跡を作ってしまった。そして、家族の話を妹は漫画にして投稿してホラー漫画雑誌に掲載されてしまったのだ。それがあってか妹へ尊大な態度をとる。
北陸にいる間に東京の所属事務所をクビになった佐藤江梨子は、雑誌の記事を見て、新進映画監督に自己PRの手紙を送る。あとは実家でわがまま放題でぶらぶら。しかし、次回作のヒロインとして起用したいという文通相手の監督からの手紙が届き、佐藤江梨子は有頂天となる。でも一筋縄ではいかない。しかも東京から借りた金返せと男がやってくるが。。。。



もともとの原作があったわけだが、登場人物の人物設定が実におもしろい。
女流作家の作品だけに3人の女性のキャラが傑作である。
佐藤江梨子のおバカキャラの女優役はまさにはまり役だ。原作者のイメージ通りだろう。極度に自己中心に世の中がまわっているような人物。こんな個性を示せる俳優は他に見当たらない。おバカキャラが売りの里田まいではイメージが違う。
ただこのストーリーを仕切っているのは妹役だ。暗い人物設定で背も低く、バカでかい佐藤江梨子と対照的だ。でも賢い。姉の佐藤江梨子の常に後を追い、漫画のネタにしようとしている。彼女が描くホラー漫画を時折画面に出すところが御愛嬌だ。ラストにかけての展開がおもしろい。
永作博美が永瀬正敏の妻役だ。これがまた味がある演技をしている。もともとコインロッカー孤児で東京の施設育ち。お見合いで田舎に来たが、夫永瀬正敏はいつも冷たい態度をとる。しかも夜の接触もない。かといって帰るところもないわけだから、変人だらけの家族に音もあげず付き合っている。ある意味かわいそうな存在だが、そんなところを全く感じさせない。つらいことにもあっけらかん。
彼女は比較的シリアスな役が多いだけに何か面白い。

そういう配役の妙を感じた。
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接吻 小池栄子

2011-01-16 10:56:47 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
死刑囚の男に恋するOLを小池栄子が演じる。比較的淡々とストーリーが流れるが、土壇場で見せ場を作る。普段は大らかでおちゃらけているようなキャラの小池栄子が別の一面を見せる。

主人公こと豊川悦司は、住宅街で縁もない一軒家に侵入し、親子3人を惨殺した。警察とマスコミに自ら犯人であることを告げ、多くのテレビカメラに取り囲まれる中、身柄を拘束される。
自宅のテレビでその逮捕劇を目にした女主人公こと小池栄子は、謎めいた笑みを浮かべる豊川に惹かれる。小池は一家惨殺事件に関する新聞記事のスクラップを開始し、豊川に関する情報を集めはじめた。一方、逮捕後の豊川は、警察の取り調べに対し沈黙を貫いていた。拘留中の豊川に接見した弁護士こと仲村トオルが語りかけても、何一つ言葉を発しなかった。初公判から傍聴していた小池は、弁護士に近づき豊川への差し入れを取次いでくれるようお願いする。見ず知らずの豊川に対して親近感を抱いていると告白する小池は、仲村弁護士には奇異な存在に映ったが。。。。


映画の中の小池栄子は、親族と離れて暮らし同僚ともなじまない。つまらない毎日を送っていたところで事件の男に関心を示す。そういう孤独な性格の女性に個人的には親近感を覚える。キムギドク監督の映画で同じように囚人の処に通い詰める女性の題材があった。もしかして同じような展開なのかとも思ったが違っていた。最終的に何でこういう結末に向けて進んだのか?よくわからない。でも驚いた。

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サイドカーと犬  竹内結子

2011-01-12 17:32:01 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
2007年の根岸吉太郎監督竹内結子主演の人情物である。
母親が家出した後、姉弟の面倒を見るために通ってきた父親の知り合いの若い女性と子供とのふれあいを描く。淡々とストーリーは進むが何かじんわりとした余韻を残す。



はじめに不動産会社の営業として働く30になった女性主人公を映す。冴えない毎日を送っているようだ。彼女は弟から結婚披露宴の招待状を受け取る。そのためか不思議な気分になり会社を休む。そして、主人公は20年前の刺激的な夏休みを回想する。

小学4年生の夏休み、父と喧嘩の絶えなかった母が家を出た。その数日後に主人公の家に突然サイクリング自転車に乗ってヨーコさん(竹内結子)がやってくる。食事を作ってくれるそうだ。誰?と思いながら彼女と買い物に出る。ヨーコさんは煙草を吸い、さっぱりとした性格の女性だった。父は中古車を扱う商売をしていた。しかし、盗難車に手を出したり危ない仕事にも手を出していた。主人公には、ヨーコさんとの生活は驚きの連続だった。しかも、ヨーコさんは主人公を子ども扱いすることなく付き合ってくれたが。。。。

子供心は複雑である。何でか知らず、母親が家出する。そのすぐ後に若い女性が家の面倒を見にやってくる。姉弟は一瞬どうしていいのか戸惑う。新しいお母さんならそれはそれでしょうがないといった気にもなる。しかも、父親の仕事も決して順調そうではない。子供心に不安が募る。
そういった心境の中での子供たちのふるまいと親しくなろうとする竹内結子との掛け合いがいい。



末期の今村昌平作品のようなほのぼのとしたムードが映画を支配している。根岸吉太郎監督のやさしいムードづくりが冴えている。末梢神経に触れるような大きなアップダウンはない。でもなぜか心に残る。最終に近い場面で、娘が父親にからむ場面が出てくる。強烈にしんみりしてしまうシーンであった。

テレビ中継では江川投手を映し出し、阪神の岡田との対決との話をしている。単純に考えれば1980年だろう。それなりに時代考証は考えられていると思うが、ちょっと違うかな?と思われることもいくつかある。自分にとっては大学時代真っ最中、そういえばこの映画に出てくる竹内結子にそっくりのおおらかな年上女性に憧れた記憶がよみがえる。髪型がまだキャンパスにいた竹内まりあを連想させた。

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山桜  田中麗奈

2010-11-24 18:18:07 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
藤沢周平の短編を映画化した作品。田中麗奈、東山紀之のさわやかコンビで描く。



江戸後期、不幸な結婚生活に耐える主人公こと田中麗奈はある日、1本の山桜を見つける。花に手を伸ばすと1人の武士こと東山紀之が代わりにとってくれた。彼は今の婚家に嫁ぐ前に縁談を申し込んできた相手、手塚弥一郎だった。そのまま実家に気分良く戻る。実家には父の篠田三郎、母の檀ふみがいる。出戻りで今の嫁ぎ先に行ったが、意地の悪い姑にいじめられ辛い毎日を送っていた。その東山は悪政をたくらむ藩の重臣を斬ってしまう。重臣は夫がとりいっている上役であった。その話を聞いて彼女は動揺するが。。。

藤沢周平といえば、山田洋次監督の作品が完成度が高いし、単純に楽しめる。それと比較するのは酷かもしれない。どちらかというと田中麗奈ファンのためのような映画かもしれない。普通かな?
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ゼロの焦点  広末涼子

2010-11-12 05:14:54 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
「ゼロの焦点」は松本清張の北陸を舞台にしたあまりにも有名なミステリーである。それを広末涼子、木村多江、中谷美紀の3人若手女優を中心としたメンバーで映画化した。この小説に流れるムードは白黒のイメージだが、カラー作品でしか見せられない色を効果的に映像に用いて作り上げた。野村吉太郎作品というよりも横溝シリーズの市川昆のタッチに近いものがある。飽きさせないで終盤盛り上げていくのところは監督の手腕か?
最初に小説を読んだ時、非常に暗い気持ちになった。北陸の荒波を映像で見せられると、その気持ちに何かが加わる。後半戦を中心に何かジーンとくるものがあった。



お見合いでの結婚式から7日後、仕事の引き継ぎのため金沢に向かった鵜原憲一こと西島秀俊は予定通り東京へ帰ってこなかった。妻の禎子こと広末涼子は不思議に思い、夫の消息を追い金沢へと旅立った。ちょうど海から死体が発見されたが、無残な死体に夫の面影はない。夫の同僚の力を借りて行方を探しだす。夫の得意先なら手掛かりが得られるかとレンガ会社へ向かった。お世話になったらしい。そこで社長夫人の室田佐知子こと中谷美紀と受付嬢の田沼久子こと木村多江に出会った。しかし、手掛かりが得られなかった。一方、その失踪と時を同じくして連続殺人事件が起きる。いずれも夫に縁のある人であった。。。。。



ネタばれスレスレであるが、戦後日本がすべてを失った後、生活するために自分を売った女性たちのことが語られる。溝口健二監督の映画作品に出てくる女性像である。昭和30年代前半というと非常に微妙な時期であったと思う。もはや戦後ではないと語られ始めたというが、そのころの映画を見ていると、女性の弱さというものが語られる。同じ匂いを見せるととともに映画が盛り上がる。

現代版としての配役は適切だと思う。
演技および演出には問題ない。北陸の冬の寒さもよく画像でとらえている。雪景色が美しい。
凍える中、夫の行方を模索する主人公の様子がけなげだ。
でも映画を盛り上げたのは中谷美紀であった。妙に美しい。
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母べい  吉永小百合

2010-10-03 17:39:52 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
「母べい」は黒澤明作品のスクリプター(記録係)であった野上照代の自伝的小説『父へのレクイエム』を、山田洋次監督が吉永小百合を主演に迎えて映画化したヒューマン・ドラマである。突然夫が治安維持法で投獄される苦境の中、気高き信念を失わず、残された2人の娘を守るため懸命に戦中戦後を生きた一人の女性の姿を描く。

昭和15年の東京。主人公「母べい」こと吉永小百合は、文筆家で大学のドイツ文学の教員だった夫こと坂東三津五郎と2人の娘と共に暮らしていたが、家賃の支払いも滞り生活に窮していた。その上、戦時中の言論統制で夫の著述物の出版もなかなかされなかった。そんなとき、夫の著述が治安維持法に抵触すると、特高に逮捕されてしまった。不安と悲しみを募らせる母と娘たちだった。夫のかつての教え子こと浅野忠信や夫の妹檀れい、型破りな叔父こと鶴べいらが一家のもとに駆けつけ、吉永と娘たちを優しく親身に支えていくが。。。。



比較的思想の要素が強くなる作品である。戦前行き過ぎた言論統制があったのは、事実であるが、ちょっと批判表現がきつい気がする。大げさだと思う。脚本に左翼思想の偏りが強いので、喜劇的リズムが若干あるにもかかわらず、物足りない作品となった。
ここ数作、時代劇を撮ったりして思想の色合いが薄らぎ、傑作を連発した山田洋次監督作品だが、これはちょっといただけない。この直後の「おとうと」で思想がフラットになっているので良いけれど。。

個人的に見どころと思ったのは、おぼれている浅野忠信を吉永小百合が泳いで助けに行く場面だ。彼女は65にもなろうとするが、相変わらず水泳で鍛えているらしい。実際に泳ぐところを目にすると、一種の妖怪のようにも見えてくる。美貌衰えず本当に驚異だ。
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空気人形  ぺ・ドゥナ

2010-09-14 22:38:14 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
「空気人形」は「誰も知らない」の是枝監督のメガホンによる作品だ。韓国女優ペ・ドゥナを主演にして、ダッチワイフが人間として蘇生する姿を描く。映画はしっとりと流れていき、独特のムードを醸し出す。抜群!感動!といった作品ではないが、流れているやさしいムードで気持ちが穏やかになる。



古びたアパートで持ち主と暮らすダッチワイフことペ・ドゥナが、ある朝、本来は持ってはいけない「心」を持ってしまう。彼女は主人が仕事に出かけるといそいそと身支度を整え、一人で街へと歩き出す。アキバメイド喫茶風の服を着て街に出た彼女は、いろいろな人に出会っていく。ある日、レンタルビデオ店で働く純一と知り合い、その店でアルバイトをすることになる。昼間は仕事をするようになった彼女も夜は主人のダッチワイフのままであるが……。



韓国女優を主演に持ってきたのは正解だと思う。「リンダリンダリンダ」でも好演だったが、こちらの方がいい。役柄裸になるシーンも多々ある。小ぶりなバストが美しい。言葉のハンデを超えて、懸命に演技をした形跡がみられて好感が持てた。レンタルビデオ屋でバイトを始めて、古今東西の映画に関するうんちくを徐々に覚えていくシーンが個人的に好きだ。ビデオ店の店長が「仁義なき戦い」が大好きで、有名なテーマ音楽を彼女がまねて口ずさむのもなかなかいい。

あとは、いわゆる脇役の常連ともいうべき人たちが多々出てくる。みんな巧妙に演技をまとめていくので安心感があった。オダギリ・ジョーが発するセリフにはほっとさせられた。
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父と暮らせば  宮沢りえ

2010-09-03 05:09:51 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
終戦後3年たった広島を舞台に、宮沢りえが父原田芳雄との心のふれあいを描く作品だ。
もともとが井上ひさしの二人劇で、映画としてはセリフに頼りすぎて凡長な感じがした。しかし、流れるハートはやさしい。



昭和23年の広島。宮沢りえは、父原田芳雄と二人で暮らしている。宮沢は図書館に勤める。心の奥では原爆投下を生き残ってしまったことへの罪悪感をもっており、勤め先である図書館で原爆の資料を集める浅野忠信から好意を寄せられているものの、死者への申し訳なさから親密になれないでいる。原田芳雄は、日々の話し相手として助言を与えるが。。。。

実質演劇調で、長回しが多く二人には過酷な映画だったろうと思う。
予備知識なしで観た。むしろあったほうが感慨深かったかもしれない。
父と娘の交情にはほろっとさせられるものがあるが、演劇を観る訳ではないのでちょっと退屈になってしまう。厳密に定義付けをしなくてもいいとは思うが、セリフが多すぎるのは映画向きではないかも?心理描写にこだわるなら小説だし、映画はハートに響く映像、音響を求めるものでセリフは必要最小限に抑えた方がうまくまとまると私は思う。

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サヨナライツカ  中山美穂

2010-08-13 22:11:49 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
原作を読んでから映画というよりも、映画で初めて接することの方が多い。
「サヨナライツカ」は以前原作を読んだことがあった。中山美穂の夫でもある辻仁成の作品は芥川賞をもらった「海峡の光」を堪能してからしばらく追いかけていた。この本も読んでいた。性のとりこになった二人の男女の物語として印象に残った。あとで触れるが原作とは違う部分がある。その展開には疑問が残る。



航空会社のタイ支社に着任した西島にはフィアンセの石田ゆり子がいた。結婚は決めてきたが、半年ほどたってからの妻の移動が決まっていた。会社の仲間と飲み屋に行ったときに、「謎の女」と友人たちが称している中山美穂が席に寄ってきた。初対面であるが軽くお互いを意識した。その後彼が野球の試合で活躍するのを見に来ていた中山美穂が、いきなり彼の部屋を訪れた。そして二人は抱き合う。彼女はホテルの高級スウィートにずっと滞在していた。その後恋のはじめの強い吸引力にとりつかれて二人は逢引きを繰り返すようになるが。。。。

タイの街も映像にするときれいである。しかも、舞台になったホテルの素晴らしさにはうならされた。映像にこまかい気が利いている。



かなり激しい二人のからみがあると原作で知っていたので、実際にどう映像で表わすのか気になっていたが、さほど激しくはなかった。もう少し豊満な肉体であれば別だが、中山美穂の場合は人々の目にさらすほどのナイスバディでないので仕方ないであろう。最近の外国映画で同世代の美人女優が全裸をあらわにするのとは違う。
映画love letterでの中山美穂を絶賛した。でもここではその評価まではいかない。たしかに今でもきれいだ。相手とのトークは、30代半ばの女性との恋愛で感じさせる独特のムードを感じさせる。別に外してはいない。それでも昔の方が男性から見るとよいと感じるのかも?「遠い街のどこかで」のころの彼女の方が好きだ。

ネタばれに近いがあえて言及する。
原作と大きく違うのは、婚約者石田ゆり子と浮気相手の中山美穂を会わせることである。原作では二人は会わないし、婚約者は浮気相手の存在を知らないまま夫婦関係が進むのである。これは女性映画であることを意識したせいなのか?よくよく考えるとこの二人が一緒に散歩すること自体不自然である。辻仁成の男性目線での原作の方が現実的であろう。原作では空港での別れの直前まで、お互いの体が一つになったかのように交わっている。ここに凄味を感じたのであるが、ちょっと違う気がした。

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おとうと  吉永小百合

2010-08-05 19:53:06 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
山田洋次監督の現代劇で、吉永小百合と笑福亭鶴瓶が姉弟を演じる家族ドラマ。吉永の娘に蒼井優、思いを寄せる地元の青年を加瀬亮と新旧入り混じった俳優による作品だ。ぐうたら関西人を演じる鶴瓶のうまさが際立つ作品だ。

東急池上線沿いのある街で薬局を営む吉永小百合は、夫を早くに亡くし、女手ひとつで娘の小春こと蒼井優を育てていた。医師との結婚が決まった蒼井優の結婚式に吟子の弟笑福亭鶴瓶が突然現れた。彼は吉永の夫の13回忌に酔って大暴れしてから行方不明になっていた。飲むなという注意にもかかわらず、泥酔して披露宴を台無しにしてしまう。夫の親族に責められ、吉永親子は弟を叱責する。しかし、結婚式の混乱から蒼井優の夫婦関係がぎくしゃくしてしまって出戻ってくることになるが。。。。



自分の地元ということもあり、池上線の石川台付近が舞台というのがすぐわかる。坂の多い場所である。小津安二郎の「秋刀魚の味」でも池上線石川台駅のホームが出ていた。松竹と関係あるのかな?
吉永小百合の薬剤師というのはなかなか適役である。65歳を過ぎてみずみずしい美しさを保っているのは脅威である。でもここでの弟をかばうキャラはちょっと行き過ぎな感じがした。普通だったらかばえない出来の悪いおとうとを終始かばいまくる。この母性の強いキャラにサユリストたちはぞくぞくするのであろうか?



笑福亭鶴瓶は実にうまい。いい加減な関西人を演じさせたら、今彼をしのぐ人間はいないと思う。「ディア・ドクター」でもうまさが際立ったが、彼のキャラだけで映画を大きく盛り上げている。もともと喜劇が専門の山田洋次監督も彼とのコンビは気が楽であろう。脚本も担当している山田洋次は彼の大阪キャラを全面に取り入れている。渥美清にアドリブを語らせたごとく、彼にも好きにやらせたのだと思う。楽しみながら映画がつくれたのではないか?大阪でのシーンは主に特別施設が中心であった。ネタばれになるのであまり触れないが、こういう施設があるとは知らなかった。

若手の二人も主役を張れる実力を持っているだけあって安定感があった。
まずまずといったところであろう。

おとうと
吉永小百合の薬局店主とぐうたらおとうと
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透光の樹 秋吉久美子

2010-08-01 19:14:16 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
高樹のぶ子の原作を永島敏行、秋吉久美子の共演で描く2004年の作品である。撮影当時50歳だった秋吉久美子がかなり大胆な濡れ場を演じる。この年齢にしてこれだけの魅力を保っていられる秋吉久美子には脱帽である。


テレビの制作会社の社長である永島敏行は、撮影で金沢に来ていた。彼は15年前に刀鍛冶の男を取材に来た際、その娘に強烈に惹かれたことがあった。まだセーラー服の似合う高校生であった。その思いを持ちながら車で石川県の鶴来町に向かった。そして家に行くとすでに老いていた父親と出戻りの娘秋吉久美子が秋吉の娘と共に暮らしていた。永島は寝たきりになっていた父親と話すが、父親は彼を借金取りと勘違いした。一家は生活に困っているようだった。秋吉久美子の魅力に取りつかれた永島は、彼女の金銭面での援助をすることを約束した。そして二人は結ばれて行くのであるが。。。



ストーリーに大きな起伏はない。いかにも高樹のぶ子らしい匂いのするストーリーである。渡辺淳一の一連の作品の匂いも感じる。映画を観ていって、秋吉久美子が次第に大胆になってくる。彼女も息の長い俳優である。藤田敏八監督作品「赤ちょうちん」「妹」で若いころから脱いでいた。あれから30年以上たつ。かわいい顔とナイスバディのコントラストが印象的だった。こういう場合、普通は昔はよかったなんて話になるが、彼女の場合は違う。むしろこの作品のほうが狂喜に迫る魅力をぷんぷんさせる。50にしてこんな官能的な魅力を持つ女性はたぶんいないのではないか。
この映画の見どころはそれだけといっても過言ではない。
すごい!

ネタばれではないが、最後に15年後のシーンがある。これは絶対におかしい!
永島と秋吉は高校生のときから25年ぶりに出会ったという設定。それなら秋吉の設定は42から43歳の設定だ。そうすると、その15年後なら57から58歳となる。秋吉久美子の雰囲気が違いすぎる。70を大きく過ぎた認知症のおばあさんのようにしている。
いくらなんでもこれは不自然だ。余計だったなあ。
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鴨川ホルモー  栗山千秋

2010-05-18 05:46:56 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
鴨川ホルモーは万城目学によるベストセラーの映画化である。
本は読んでいない状態で観た。これはファンタジーなのか?
ふつうの青春物にとどまらない奇妙な映画である。
栗山千秋が美貌を隠して、メガネの京大生を演じる。しかも理学部生である。
不自然だけれどこれはこれでいいのかもしれない。イモ女ぶりを演じている。時折みせるキルビルの時のような表情はなかなかいい。



憧れの京大に入った主人公は得体の知れないサークルの勧誘を受けて、友人と二人で新歓コンパに参加する。
わけもわからず大騒ぎ、何のサークルかわからないし、どうしようかと思っていたら美女がいた。
その彼女が入部するという話を聞いて、入部を決断した。入部すると新刊コンパのメンバーはみな来ていた。中にはどんくさい理学部生栗山千秋もいた。
途中まで普通のサークルと思っていたら、突如としてお祭で驚きの洗礼を受ける。
ここは伝統的な鬼言葉を操るホルモーというゲームのサークルなのだ。

映画自体はわけもわからないまま展開していく。京都の街を舞台にしているので、数々の観光名所といわれるところが次々とでてくる。でもそれを美しいコンテで映し出すといったタイプの映画ではない。鬼語といわれる奇妙な言葉を発しながらの対決がテーマだ。
あとは美女栗山千秋の変身ぶりを見せるのがポイントであろう。今の日本を代表する美女だと思う。キルビルに続いて、海外から今後オファーが来るのは間違いない。彼女の切れ長の目には飛びぬけて幻惑させられる。
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ヴィヨンの妻  松たか子

2010-05-05 11:04:03 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
映画「ヴィヨンの妻」は太宰治の原作をよりリアルに作家太宰をモデルとしているようにつくられた作品である。心中を扱う話なのに、全体を流れるムードがほのぼのとしていて、激辛の韓国映画を見たあとであっさりとした日本料理を食べる味わいを感じた。それは究極のお嬢様松たか子のキャラなのであろう。


戦後まもない東京、放浪癖のある作家大谷こと浅野忠信が妻である松たかこと息子がいる自宅に帰ってきた。息子は病気の様子だが、診療を受ける金もない。そんなとき飲み屋の主人伊武雅刀と女将室井滋が金を返せとやってきた。浅野は飲み屋から5000円の大金を持ち逃げしていたのであった。当然浅野には金がなく、返済期限をつけられた。松たかこは5000円の返済を計るべく金の用意にまわったあとで、伊武の経営する飲み屋に行き「金の目当てがついた。もう少ししたら金は手に入る。それまで自分が働く」と言って給仕するようになる。美人の松たかこが女給をやるので店は大繁盛するようになるが。。。

傑作とまではいえないと思う。この映画は松たか子だけでもっている気がする。ここではダメ男浅野忠信は普通だ。本来台本の設定でいけば、疲れた匂いも残した女性が演じるのが普通かもしれない。(ひと昔前の田中裕子が適役かも?)それを名門出身のお嬢様松たか子が演じることでやさしい匂いがする。居酒屋が繁盛していく姿など、ほのぼのとするではないか。暗いドラマにしなかったことで、見る人たちを安心させる。

あとはクリスマスを祝う居酒屋でのシーンもいい。ジェームス・スチュワート主演「素晴らしきかな人生」や黒澤監督の「醜聞」のワンシーンが思い起こされた。
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