紀州和歌山の山林王北林谷栄が誘拐される。身代金はなんと100億円。前代未聞の誘拐事件に全世界が大騒ぎするミステリーではなくコメディである。
和歌山の山奥に住む地主北林谷栄は静かに暮らしていた。そこに狙いをつけたのが大阪刑務所を出所してきたばかりの3人。彼らはスリやこそ泥の比較的軽い犯罪を犯してきた連中。リーダーは風間トオルである。風間は小さいころ新宮の施設にいて、そこに慰問に訪れた北林がいかにすごい金持ちかを知っていた。数週間自宅近くで潜伏した後、北林が孫娘と山歩きに抜け出すのをみて、誘拐を決行する。ストッキングをかぶった3人が山歩き中の二人の前に現れる。そのとき北林は誘拐話には従うが、孫娘は解放するように伝える。誘拐犯3人は彼女だけを連行するが、北林の指令で、北林の元の女中樹木希林のところに潜伏する。いくら要求するのかと北林は犯人たちに聞く。犯人たちは5000万円と伝えるが、自分の価値はそんなはした金ではないと、身代金を100億円に吊り上げさせる。警察側では、昔北林が世話をした緒方拳が和歌山県警本部長に出世していた。彼が陣頭指揮を執り、大捕り物が始まるが。。。。
北林谷栄はまだご存命のようである。しばらく出ていないが、若いころから長い間おばあさん役をしていた。貧乏なおばあさんもうまいが、富豪も演じるのもうまい。緒方拳はまだ若い。どちらかというと、今村昌平監督の悪役の方が似合う。数多くの脇役がここでも存在感を見せる。女中の樹木希林は最高のボケ振りである。
和歌山は海岸線を除くと、山が続くところである。まさにこの映画の舞台となる龍神村は奈良吉野の山々と接して本当の山奥だ。作者がこの場所に目をつけたのはよくわかる。確かに探し出すのは困難だろう。
その和歌山にこの映画ができたころ3年ほど仕事をしていた。異動のときは、いやだったが、みな人柄がよく気分のいい3年を過ごせた。山のほうでよくキャンプをやった。夏は水上スキーをやって楽しかった。この映画でもう少し美しい和歌山の海を見せてもらってもよかったかも?白浜を越えるあたりからすさみから串本にかけて海の色が本当に美しく変化する。和歌山市で仕事をしていたが、和歌山県というのは人口100万で半分以上は和歌山市周辺に住んでいる。あとはどこも過疎地帯。同県の新宮までは特急で3時間近くかかる。すごい広い県だ。なつかしくなった。
昨日和歌山のとき仕事で関係した人から桃を送っていただいた。おいしかった。おいしい桃は手で皮をむいて食べる。離れて15年たつが、本当に和歌山県人は人がいい。
新藤兼人監督の作品。小説に基づいている部分もあるが、戦後にまで話は進み、作家永井荷風の晩年を描く。津川雅彦は好演、何より墨田ユキが美しい。
結婚二度した後、気楽な独身生活をしている津川雅彦は、麻布の洋風住宅に住み、創作のかたわら、若い芸者の面倒をみてあげたり、銀座の女給宮崎美子に金をせびられたりしている。荷風の母親杉村春子には、理想の女性を捜し歩いているんだと言っている。
若い芸者が田舎に帰ると挨拶に来た後、荷風は花街で知り合った女性に似た美人が玉の井行きバスに乗っているのを見て、私娼の町玉の井にふらふら出かける。有名な「ぬけられます」の表示看板のある玉の井の中を歩いているときに雨が降ってきた。そのとき女郎墨田ユキに雨が降ってきたのでちょっと入れていってもらえません。と言われる。ついていくと一人の部屋にだどりつく。そこで意気投合する。美しい裸体を見せられるがその日は帰る。そして毎日のように通うようになるが。。。。
荷風の遊郭通いやレヴュー嬢を面倒みていた話は有名元慶応の教授、文化勲章受賞流行作家というプロフィールもあるが、資産家として死んだときにお金をたくさん残していたと言われる。まさに適役と言うべきか、この時代の津川雅彦はちょっとエロなおじさん役が実にうまい。杉村春子、新藤作品には欠かせない乙羽信子はじめ脇役陣は鉄壁 。
墨田ユキは単にきれいなだけでなく、情感あふれる演技はすばらしい。幼い顔をしているようで、きわどい色っぽさを見せる。 画像も美しく、脚本もよく、戦前遊郭の姿をうまく描いた傑作だと思う。
映画を見るピッチが以前に近づいてきた。「ロッキー2」「007」なんて映画でのウォーミングアップもうまくいっている。
飲み会もできる限り避けようとしていることもあるし、父にかかわる諸手続きもあともう少しのところまで来ているからであろう。
山田洋次監督「息子」を見た。
三国連太郎扮する岩手の田舎で農家を営む父のところへ、三国の妻の一周忌で3人の子どもが集まる。長男は東京でサラリーマンをして、浦安のマンションを買って所帯を持ってすんでいる。長女浅田美代子は岩手で嫁に行っている。次男永瀬文敏は東京で職を転々として落ち着かない独身。
話は主として三国、永瀬を中心に展開される。
永瀬は居酒屋の店員をやっていたが、あわずに尾久の鉄工所に働き口を見つける。そこではいかりや長介や田中邦衛が働いていて、個性的な社会を支える低所得者層をうまく演じている。永瀬はつらそうなのですぐやめようと思うが、配達先の事務員に美しい和久井映見を見つけ仕事への張りを見つけ続ける。
三国の一人暮らしを見かねた親族は千葉の長男のところへ行くことを勧めるが、三国は今のところで一人で住むといって譲らない。三国は上京して千葉の長男のところへ行った後、心配な三男坊のところに寄ろうとするが。。。。。
いかにもありそうな登場人物像で、不自然さがない。それぞれにエゴを持っているが、社会の中に流されている。でも三国が東京に行った後に岩手の自宅に戻った後の幻想的な場面はなんかつらいものがある。
なぜか三国が「ありがとう」を連発する。うちの父も死ぬ前ずいぶんと連発していたなあ。
山田洋次監督の作品はあたりはずれがない。
「フーテンの寅さん」「家族」「たそがれ清兵衛」みんな素敵な映画である。
根底に「やさしさ」に通じるものが流れている。ある意味それは松竹の伝統なのであろう。いつか監督のことを語ってみたい。監督は私の高校の大先輩でもあるし
飲み会もできる限り避けようとしていることもあるし、父にかかわる諸手続きもあともう少しのところまで来ているからであろう。
山田洋次監督「息子」を見た。
三国連太郎扮する岩手の田舎で農家を営む父のところへ、三国の妻の一周忌で3人の子どもが集まる。長男は東京でサラリーマンをして、浦安のマンションを買って所帯を持ってすんでいる。長女浅田美代子は岩手で嫁に行っている。次男永瀬文敏は東京で職を転々として落ち着かない独身。
話は主として三国、永瀬を中心に展開される。
永瀬は居酒屋の店員をやっていたが、あわずに尾久の鉄工所に働き口を見つける。そこではいかりや長介や田中邦衛が働いていて、個性的な社会を支える低所得者層をうまく演じている。永瀬はつらそうなのですぐやめようと思うが、配達先の事務員に美しい和久井映見を見つけ仕事への張りを見つけ続ける。
三国の一人暮らしを見かねた親族は千葉の長男のところへ行くことを勧めるが、三国は今のところで一人で住むといって譲らない。三国は上京して千葉の長男のところへ行った後、心配な三男坊のところに寄ろうとするが。。。。。
いかにもありそうな登場人物像で、不自然さがない。それぞれにエゴを持っているが、社会の中に流されている。でも三国が東京に行った後に岩手の自宅に戻った後の幻想的な場面はなんかつらいものがある。
なぜか三国が「ありがとう」を連発する。うちの父も死ぬ前ずいぶんと連発していたなあ。
山田洋次監督の作品はあたりはずれがない。
「フーテンの寅さん」「家族」「たそがれ清兵衛」みんな素敵な映画である。
根底に「やさしさ」に通じるものが流れている。ある意味それは松竹の伝統なのであろう。いつか監督のことを語ってみたい。監督は私の高校の大先輩でもあるし